夢と違うじゃねえかよ
ちょっと前に夢を見た。
夢の中でコンビニに行ってたんだ。駐車場に白いミニバンが止まってて、サングラスをかけた男が運転席で携帯をいじってた。
俺は気にせずコンビニに入って、雑誌を立ち読みしてからチューハイを取って、レジに行ったんだ。それで、つまみにチキンが欲しかったから店員に声をかけたんだよ。
「チキン1つ」
「少しお時間いただきますが、よろしいですかー?」
「お願いします」
後ろのフライヤーで上げてるのが見えたから、そんなに時間はかからないと思ったんだ。
先に会計を済ませて、チキンが揚がるのを待ってたら、入口から男が入ってきた。さっき駐車場で携帯をいじってた奴だったな。
そいつが、手にチェーンソーを持っていた。コンビニ強盗だったんだ。
俺は丸腰だったから、逃げる間もなくめった切りにされて……。
そこで目が覚めたんだ。
ヤバいぐらいリアルな夢でな。起きた瞬間、体がくっついてるかどうか確認したよ。痛みもあった。夢で良かったと、本気で安心したよ。
だけどな、それだけじゃ終わらなかったんだ。
夢を見た次の日のことだった。
仕事帰りにチューハイを買おうと思ってコンビニに行ったら、駐車場に白いミニバンが止まってたんだよ。まさかと思って運転席を見たら、サングラスをかけた男が携帯をいじってた。
俺は夢を思い出して、念の為に仕事道具を入れたバッグを持ってコンビニに入った。それで、雑誌を立ち読みしないで、すぐにチューハイを取ってレジに行ったんだ。
「チキン1つ」
「お時間いただきますが、よろしいですかー?」
「お願いします」
後ろのフライヤーで揚げてるのが見えたから、そんなに時間はかからないと思ったんだ。なのに店員の奴、もたもたしてて中々チキンを出してこない。
そうこうしてるうちに、入口から男が入ってきた。さっき駐車場で携帯をいじってた奴だ。そいつは手にチェーンソーを持っていた。夢と同じになっちまったんだよ。
もうしょうがねえからさ、俺も仕事道具が入ったバッグを開けたよ。それで中からチェーンソーを取り出し、エンジンを掛けてチェーンソーを構えた。強盗に来た男は物凄いビックリしてたよ。
「夢と違うじゃねえかよ!?」
そんな事言ってたかな、あの男は。俺は素早く間合いを詰めると、男のチェーンソーのエンジン部分に自分のチェーンソーを振り下ろした。男のチェーンソーはあっさりぶった斬られて動かなくなった。
それで男は腰を抜かして、コンビニの店員が警察に通報して、一件落着ってわけだ。
だからさ、これがチェーンソーを持ってた理由なんですよ、おまわりさん。
免許もちゃんと見せたでしょ? 勘弁してよ本当に……。何で俺が強盗と間違われて警察に捕まらなきゃいけないんだよ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます