第16話 魔法少女たちの帰路
ボスとの戦いを終えた魔法少女達はいつものように帰り道を歩いていた。
「それにしてもすごかったですわ!まさかエイムが光の魔法少女になれるなんて!」
青の魔法少女が興奮した様子で話す。
「本当だよ〜。これで当分、あの人達も悪さができないだろうね。」
緑の魔法少女も嬉しそうに話す。
ただ、1人。当の赤の魔法少女のみが浮かない顔をしていた。
彼女は光の魔法少女になるための条件をあの戦いで知ってしまった。
敵のボスに恋心を抱いてしまった自分自身について。ボスにときめくと光の魔法少女になれるという条件。その全てが彼女を複雑な心境にさせていた。
そして、赤の魔法少女が1番気になっていたのが、部下とボスの関係であった。
赤の魔法少女が部下に向けて閃光を放った時、ボスは部下を身を呈して庇った。
その後、彼は、大切な人を守るのは当たり前だ。と言った。
大切な人、というのはあの女の子が部下であるからそう言ったのか、それとも......。
いやいや、そんなはずはないと首を横に何度も振る赤の魔法少女。
そもそも魔法少女と敵のボスが結ばれていいわけがないんだ。早くこの気持ちと決別しなくてはならない、と赤の魔法少女は思った。
しかし、その一方で、胸中には黒い感情が溜まっていく。そして、その黒い感情は日に日に私の身体の自由を奪い去っていく。
「なーんてね。」
赤の魔法少女は、誰にも聞こえないよう小さく呟いた。
きっと戦闘と魔力切れで疲れているから、こんな風になってしまうのだろうと、赤の魔法少女は自分を落ち着かせる。
それに、私には信頼できる仲間がいるのだ。と赤の魔法少女は、楽しそうに話している2人の仲間を見つめる。
視線に気づいた2人の魔法少女は、赤の魔法少女の手をそれぞれ片方ずつ掴む。
「エイムー!私も光の魔法少女になる方法を教えて欲しいですわ!!」
「あ!ずるいよ!私にも教えてー!!」
2人は赤の魔法少女の両の手をぐいぐいと引っ張る。ふふふ、と赤の魔法少女は楽しそうに笑いながら
「秘密だよー。」
と言った。
えぇーーー!と2人が絶叫する中、赤の魔法少女は軽やかに駆け出した。
何事もなく日々が過ぎていきますように。赤の魔法少女は心の中で願った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます