頼むから俺の前にいる女は泣き叫ばないでください〜ヤンデレ部下と3馬鹿魔法少女は俺の邪魔をするな〜

第15話 光の魔法少女vs部下

光の魔法少女を遥か後方に吹き飛ばしたの部下は、じろりとボスの方を見た。

「なーに敵といちゃついてんすか。」

部下は憎しみを込めた声でボスに話しかける。

ボスは部下に手を貸してもらい立ち上がる。

「無理矢理やられました。俺は悪くないですよ。」

ボスは震えながらなんとか声を上げた。

ふーん、と言いながら部下はモクモクと立ち上がる砂煙をじっと見つめる。

刹那、煙の中から光の鎖が飛び出す。

部下の反応は早かった。光の鎖を咄嗟に掴むと、力の限りに引き抜いた。

鎖の先端には錘がついている。

ダミーだ。そう思った時には光の魔法少女が背後に回っていた。

部下に向けて放たれる閃光。

しまった。ダメージを覚悟し、目を瞑る部下。

しかし、部下に衝撃は訪れない。

恐る恐る目を開ける部下。

部下の目の前には、身を挺して自分を守るボスの姿があった。

「ボス！どうして！！」

部下は思わず叫ぶ。

「大切な人を守るのは当たり前じゃないですか。」

ボスは言う。

2人の様子を見て、光の魔法少女は胸がざわついていた。

しばらくぼーっと様子を眺めていた光の魔法少女であったが、彼女は自分でも自分を制御できないまま閃光を部下に向けて放っていた。

その無自覚な魔法は、誰の思いも知らぬままするりと飛んでいった。

ボスは部下を咄嗟に庇い、閃光から遠ざける。

光の魔法少女は、へたり込んでしまった。

魔力切れだ。お互いに決着がついた。

ボスはすぐさま状況を判断し、逃げることに決めた。部下にそっと耳打ちし、アイズに目配せをする。

魔法少女をそのままに、部下とボスはアイズに捕まる。

光の魔法少女は、その時たしかに「待って」と言ってしまった。

しかし、その言葉がボスに届くことはなかった。

ボス達は既に遥か上空に舞い、風のように去っていった。

かくして、3人の魔法少女の初めての勝利でこの戦いは幕を下ろした。