第14話 光の魔法少女
2人を助けなければいけない。それは絶対だ。
赤の魔法少女は1人思考していた。
2人を助けるためには、私があの男に勝たなければならない。
勝利条件について確認する赤の魔法少女。
一方でこんなことも考えていた。
でも2人はあの男に抱きしめられている。私は抱きしめられていない。
赤の魔法少女の中に、黒い炎が灯そうになる。
慌てて否定し、ボスを拘束することを決意する。
青の魔法少女も緑の魔法少女も拘束し終えたボスは、既に赤い魔法少女にゆっくりと迫っていた。
すぐさま赤い閃光を放つ赤の魔法少女。ボスは軽々と避ける。
「君はこんなものだったか?」
ボスは煽り、赤の魔法少女は唇を噛む。
もうどんな手を使っても手詰まりだった。
いや、それは彼女自身に言い訳をしていただけなのかもしれない。
赤の魔法少女はインファイトという選択肢を選んだ。
低い姿勢でボスの懐に潜り込む、赤の魔法少女。
そのまま打撃を連続で放つ。
それら全てを相殺し、最後にデコピンをお見舞いするボス。
あうっと後ろにのけぞった赤の魔法少女の後ろ手を拘束するボス。
赤の魔法少女は全てを悟り、崩れ落ちそうになった。
おっと危ないと、赤の魔法少女を抱きかかえこむボス。赤の魔法少女は顔が真っ赤になった。
ボスは耳元で
「そんなに悪いようにはしないから、安心しろ。」
と囁いた。
赤の魔法少女に幸福感が駆け巡る、本当はこれを求めていただけだったんだと彼女は気づいた。
そこから彼女の中で何かが弾けた。
赤の魔法少女が光に包まれる。
自身の腕の中で発光する美少女にボスは目を離せなかった。
赤の魔法少女の服と雰囲気が変わった。急いでボスは手を離し、距離を取る。
「信じられない!これは...光の魔法少女!」
青の魔法少女が叫ぶ。
魔法少女の間に伝わる光の魔法少女の噂。
発動条件や何もかもが謎に包まれているこの現象に青の魔法少女は興奮を隠しきれなかった。
赤の魔法少女、もとい光の魔法少女はすっとボスを見つめた。
鋭い眼光にボスはたじろぎつつ、僅かに興奮を覚えてしまった。
自身の動揺を隠すように、ボスは言う。
「所詮は見掛け倒しだろう?ここらで本当に終わらせてやるよ。」
真っ直ぐ光の魔法少女に突っ走るボス。
瞬間、ボスの目から光の魔法少女が消える。
気がつけば、ボスは地面に押し倒されていた。
光の魔法少女はボスを見下ろしている。
「私達の勝利よ。」
静かな声で光の魔法少女は言った。
青と緑の魔法少女が歓声をあげる。
その歓声を尻目に、光の魔法少女は身動きの取れないボスにぐっと体を近づけ話す。
「あなたには、ついてきてもらうからね。色々準備したいこともあるし....」
ゴニョゴニョと照れながら何かを言う光の魔法少女。ボスは悔しさを感じながらもどこか幸福な感情と快楽に包まれていた。
緑と青の魔法少女の拘束を壊す光の魔法少女。
敵のボスを生捕りにできた達成感に彼女たちの顔は晴々としていた。
ボスは残った力でアイズに逃げろと目配せをする。
アイズはただただ俯くことしかできない。
その目配せに気づいたのは光の魔法少女だった。
すぐさまボスをギュッと抱きかかえ、急いで帰還しようとする。
その時だった。かつて感じたことのない衝撃を体に感じた光の魔法少女。
そこには殺意よりも速く敵との距離を詰めた部下がいた。
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