第17話 空の上で
所変わって、命からがら魔法少女達から逃げたボス達は、アイズの上に乗って空中を移動していた。
「ボスが敵といちゃつかなければ私が勝ってたのになー。」
部下がわざとらしく言う。
「あれはしょうがないだろ。無理矢理やられたんだ。」
アイズの手前、部下にも悪の長らしく話すボス。
まぁ、でも...。そう言って、部下は顔を赤らめる。
「私を守ってくれたのは、かっこよかったですよ。」
部下の一言でボスも顔が赤くなってしまった。
「あぁ。」
ぶっきらぼうに答えるボス。一方で、内心はとても温かい気持ちに満ちていた。
しばらく空を飛んでいると、アイズが質問する。
「お二人はどういった関係なんですか?」
唐突な質問に慌てるも、悪の組織の長たる頭脳を回転させ、すぐに答える。
「普通の上司と部下だよ。」
その答えに不満そうなのが部下だ。
ふーん。と言いながらボスの横腹をつねる。
ボスは痛みには慣れている。絶対に声を出さないように気をつけながら、息を深く吐く。
「もっとアイズに言うことはないんですかー?」
部下はますます力を込める。
顔には一切出さず、心の中で痛みに絶叫しながらもボスは必死に考える。
「そうだな。部下はよく働いてくれるし、とても頼りになるよ。」
ボスは、命からがら答える事ができた。
まだ、足りないんだよなぁ。そんな声が部下から聞こえ、つねる指が増える。
あぁーーーーーー!!高い声がボスから出た。
その声は、空に吸収される。
いくらボスがMであると言っても、耐えられる痛みには限度がある。
痛みからの解放を求め、ボスは必死に部下に目配せをする。しかし、部下はそっぽを向いてつねるばかりだ。
「ちなみに、部下さんはボスをどう思っているのですか?」
アイズが尋ねる。
「そうですねー。」
しばらく考え、部下は答える。
「自分の命よりも大切な人ですよ。」
おぉぉぉ....!!アイズは機械の瞳を輝かせた。
そう言われると悪くない気がして、ボスは痛みを忘れ、一言だけありがとうと言った。
なんだかんだと時間が経ち、いよいよボスのアジトが見えてきた。
しかし、どこか様子がおかしい。
ボスがアジトの扉を開け、中に入っていくと、
広間には人が溢れかえっていた。
「おい、何があった?」
ボスが周囲の黒服達に問う。
「ボス!その...人質を連れて来たんですが...。
なんと言いますか...。とにかく見てみてください!」
黒服達は、皆似たような不思議な事を話す。
ボスはいまいち事情がわからず、この黒服の群れの最前線に立った。
すると目の前にいたのは、グレーの触覚が生えた少女。
有り体に言えば、宇宙人がそこには立っていた。
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