第55話

〈ユウ視点〉






ジン「おっ!雲予報だったのに降ってきたな?」






15時過ぎにコーヒーを飲みに

休憩室へ行くと先輩もいたようで

窓の外を見ながら俺にそう声をかけてきた






ユウ「・・・帰る時までに止むといいですね?」





ジン「本当だな、コンビニ傘が家にたまってて

  もういらないよー!笑」






先輩の言葉に日曜日の伊織との会話を思い出し

「さっそくかよ…」と笑いがでた…




あの時はショックを受けたが…

俺たちが帰る時間帯はまさに帰宅ラッシュ中で

迎えに来る時も混んでいるだろうし

この雨の中、歩かせるのも可哀想だ…

伊織の言う通り、コンビニ傘が一番妥当だなと

思いながら窓の外を眺めていた





定時に仕事を終え外をみるが、相変わらずの雨で…

コンビニに寄って帰るかと思いながら

フロアを抜けてエレベーターに乗り込み

伊織に〈今から帰る〉と連絡を入れようと

スマホを取り出して固まった…





【近くにいるから終わっら連絡ちょうだい!】





エレベーターの中で思わず「え?」と

独り言を呟いてしまう位に驚いた…

エレベーターから降りると歩きながら直ぐに

電話を発信させ伊織が待っているコンビニに

走って向かった






「お疲れ様、ハイ傘!」





ユウ「・・・ありがとう…どっか行くのか?」






伊織は明らかに装いきの服で髪も綺麗にセット

されていたから、どこかに行くのかと思い聞いた






「うん、前から気になってたお店があってね

  電話したら空いてるって言うから

  優君迎えに来たついでに今日は

  外で食べて帰ろうかと思って!!」





ユウ「行きたい店あったのか?早く言えよ」





「やりくりして大丈夫そうだったら行こうと

 思ってたの!ご褒美的な感じで?笑」





ユウ「・・・・食費から出す気か?」





「うん!だって食事だもん」





ユウ「・・・・・・・」






伊織は変わっている女だ…

普通そうゆうのは交際費だろと思ったが

横で「この為に頑張ってたんだから!」と

笑いながら話す姿を見ていたら一緒に笑っていた…






「迎えに来て直ぐ帰ったら

 電車代だってもったいないし…

 なによりも、混んでて嫌じゃない?

 食事してからだとちょっとすいてるしねっ?笑」





ユウ「・・・・・・」







雨の日に傘を持って迎えに来てくれたし

仕事帰りにオシャレな店で久しぶりに

デートみたいな事もして…



少し思っていたのと…違う所もあるが…

俺の願いが2つとも叶えられた日だった…




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