第54話

〈ユウ視点〉






ユウ「伊織も迎えに来てくれるか?」






日曜日に夕飯を食べながら

ファミリー向けアニメを見ていると

雨が降り出して傘を持っていない父を

駅まで迎えに行くという話で…





伊織が仕事を辞めてから一緒に帰る事もなくなり

傘を持って迎えに来て久しぶりに

一緒に帰れたら嬉しいと思いそう質問してみた






「んー??

 コンビニで傘買って帰った方がいいよ!」






ユウ「・・・コンビニでわざわざ買うのか?」





「だって、うちから優君の会社の駅まで

 往復580円かかるし、コンビニ傘と

 あんまり値段変わらないから…

 消耗品の傘を買った方がいい気がする!」

 




ユウ「・・・・・・」






「優君の会社から駅までも少し歩くし…

 傘届けに行くので2時間近く家事が止まる事

 考えたらコンビニで傘を買って帰ってくる間に

 家で夕飯作ってる方がよくない?」






ユウ「・・・・そう…だな…」






伊織の言っている事はよく分かるが…

最近は俺に甘えてきたりもするし

「好き」だと言ってくれてからは

伊織にとって特別な存在になったんだと

感じる時もあったから…

甘い返しを期待していたが…





伊織は俺の気も知らずに

アニメを見ながら呑気に笑っている…





前回の職場でキツい生活をした事もあり

伊織は金銭面にシビアだ…

食費も5万円分渡しても特売だのを梯子して

好きな刺身だって買ってこない…




( まぁー俺は美味いからいいんだが… )





伊織の用意する食卓はメインの御菜に

汁物にサラダか酢の物などが必ずあり

バランスは取れている気もするし





伊織にもう一度目を向けると「ん?」

と顔を掲げてコッチを見ている






ユウ「・・・・・デートしてぇんだけど…」





「・・・・・毎週してるじゃない?」






伊織が言ってる毎週は…

新居で使う家具や家電品の買い出しの事で…





( デートか…あれ??? )






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