第52話

〈伊織視点〉









初めて彼に「好き」と言った次の日

私達はまた不動産屋へ行き…





ユウ「直ぐ子供は出来る」





と言い出した優君は

3LDKの間取りの部屋を指定して見て回り

スタッフの方も…






ス「料理をよくされるならキッチンの広さを

  考えると3LDK位のお部屋の方が

  奥様もやりやすいかと思います」






ユウ「キッチンはお前に任せる、好きな部屋を選べ」






「・・・(奥様…)・・・キッチンは…

 出来たらカウンターキッチンがいいかな…」






私がそう言うと優君は嬉しそうに笑って

スタッフの人と話だし私達が住む部屋は

再来月完成予定の新築マンションに決まった






ユウ「伊織は退去まであと1週間と少しだろ?」





「うん…延ばせるか聞いてみるね」







二人並んで歩きながら帰っていると

優君が腕を掴んで







ユウ「そのままでいい、来週からは引っ越すまで

  俺の家に一緒に住めばいい」





「・・・・うん…」





ユウ「・・・・妙に素直だな?笑」





「・・・・・・・」






自分でも驚いてる…

今までは抱擁力のある年上が好きだったし…

年下の優君に甘えるのは少し抵抗があるけど

素直に甘えると彼はちゃんと甘やかしてくれる




そして、何よりも…

彼は嬉しそうに私の好きな顔で笑ってくれる…






ユウ「そーいや、カウンターキッチンがいい理由は

  料理しながら俺を見たいからか?笑」





「・・・・半分は…正解だけど…」





ユウ「・・・・もう半分はなんだ?」





「・・・・・友達が言ってたの…

  カウンターキッチンの方が…

  子供が乳児とか幼児の時は様子を見ながら

  家事ができるよって……」







彼は少しだけ驚いた表情を見せたけど

直ぐにニッと笑って






ユウ「一週間前とは偉いな違いだな?笑


  お前は昨日やっとアノ言葉をくれたが…

  俺はもう「好き」じゃなくなってる」






「・・え??」






ユウ「・・お前が同じ気持ちになったら口にするよ」





「・・・・・・・・」






彼の言葉の意味が分かり

胸の奥がまたギュッとなった…






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