第49話

〈伊織視点〉








山「店長、お疲れ様でした!笑」






「ありがとう、副店長!笑」






今日は山ちゃんと私が早上がりになっていて

二人で久しぶりに飲みに行く約束をしていた







山「まさかあの相席屋で会った優さんと

  伊織さんがそうなるなんてなぁー」






「・・・あの時は少し山ちゃんを恨んだんだよ?笑

  美味しいディナーはカラオケになるし

  別の席は30代だらけでチェンジしたくても

  直樹君気に入ってたみたいだったし…」






山「でも!結果的には?ですよね?笑」






「まぁ…そうなんだけど…」







そう言うと笑いながら酎ハイをゴクッと

豪快に飲んで「ドンドン飲みましょ!」と

二人でこの数年間の懐かしい話をして盛り上がった






お酒の入った女同士の話は中々止まらず

いつの間にかダラダラと飲んで食べてを繰り返して

店員がラストオーダーを聞きにきた






「えっ!?そんな時間??終電もうすぐ??」






山「ふふふ…帰りましょーか!

  あのカッコ良くて

  無愛想な彼氏が待ってますよー!笑」






「プッ!!無愛想?笑」






山「あの人、伊織さん以外には

  無愛想なんですから!

  前にドーナツ屋に入って来た時も

  伊織さんいないって分かったらコウですよコウ!

  無駄足だったか、みたいに窓の外見て!笑」






「初めてきいたよー?笑」






山「伊織さんの前じゃどうなんです??」






「んー??可愛い?笑・・・でもたまに生意気!」







お酒が入っていて二人ともいつもより

少しだけテンションが上がっていて

会計を済ませて駅まで走るのも面倒になり

タクシーで帰ろうかと話ながらお店の外にでると






ジン「おっ!

  二人ともだいぶ出来上がってるね?笑」






仁君の声がして周りをキョロキョロと

首を振って見渡すけど…





「・・んっ??・・いないよー?」






ジン「ひゃーははは!笑

   優!伊織さんって酔うとこうなのか?」






引き笑いをしている人を見ると…仁君で

その隣には優君と…直樹君がいる…





3人はお店の前のガードレールに腰をかけていて

引き笑いしている仁君に少しムッとした

私は目の前まで歩いていき





「生意気よ!」と彼の額を人差し指でツンっと

押すと3人とも目を丸くして驚いている






山「外の夜風が…きもちーですね?笑」






山ちゃんは後ろで全く関係ない事を言っているから

私よりも少し出来上がってるんだろう






ユウ「・・・後輩の女、大丈夫か?」





「そんな失礼な呼び方しないで!山ちゃん!」






優君の「後輩の女」呼びに怒ってそう言うと

彼は少し呆れた顔で「どんだけ飲んだんだ?」と

聞いてきながら腕を引いて顔を覗きこんでくる





山「いっぱーいですね!笑」





後ろでニコニコ笑っている山ちゃんの姿を

見ながら数年前に戻ったみたいだなと思っていると





ナオキ「彼女は僕らが送り届けますから」





直樹君が「安心してください」と言って

きたけど、可愛い後輩をよく知らない

男の子達と帰らせて大丈夫かなと心配になり






「・・・・送りオオカミにならない?」






ナオキ「・・・・・・」






ジン「ひゃーはははは…伊織さん面白いな!笑」






真剣に聞いたのに直樹君は固まってるし

仁君はまた引き笑いだし…

とムッとしていると腰に優君の手が回ってきて






ユウ「・・・結構飲んでるみてーだな…笑」






と下から立っている私を見上げて

少し笑いながらそう言う彼が…

急に可愛いく見えてきて…







店長という苦しかった立場から開放され

お酒で楽しくなっていた私は…


夜だし… 人も少ないし…と思い


優君の首に腕を回して抱きついた…







仁君達の笑い声や冷やかしの声が聞こえて

くるけどもう眠りたくなってきて

そのまま彼に甘えた…






眠る前に耳元で「お疲れ様」と

彼の優しい声が聞こえた気がした…






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