第45話

〈伊織視点〉







仁君と別れてから

優君と一緒に電車に乗って帰り改札を抜けると






ユウ「伊織ん家で飯食っていい?」





と彼が腕を軽く引いて

伺うように首を軽くかかげてから聞いてきた






「・・・・・なんか…あざと可愛くなったね?笑」






そう言って笑うと彼の可愛らしかった態度は

一瞬にしてなくなり眉間にピクッとシワが入って

不機嫌そうな顔をしている…






ユウ「・・んだよ…」






「可愛いかったから…ツイ?笑

 夕飯はオムライスと…野菜スープ位なら

 冷蔵庫にある材料で、出来そうだけど

 それでいいならどーぞ?」






ユウ「今から作ってくれるのか?」





「あっ…直ぐ食べたかった?」





ユウ「いや…この時間から急に手料理

  食わして貰えるとは思ってなかったから…」





「??・・何食べる気だったの?」






ユウ「伊織が一昨日見てたカレーのレトルト

  でもって思ってたんだが……」






そう言いながら腕から手に握り変えてきて

「帰ろう!」と手を引いて歩きだす彼に「え?」

と背中に問いかけると






ユウ「伊織が作ってくれるんならソッチがいい!」






歩きながら顔をコッチに向けて

そう言った彼の顔は笑っていて…

私の好きなあの笑顔だった…





( 本当に私次第だったんだ… )






彼の好きな銘柄のビールはないから

近くのコンビニに寄ると雑誌コーナーの前で

急に彼が立ち止まり





ユウ「誕生日プレゼント何がいい?」






と急に言い出したから、どうしたんだろうと

彼の目線の先にある女性雑誌の特集タイトルを

見て「あぁ!」と納得した






「昨日もう貰ったよ?」





ユウ「・・・何にもやってないぞ?」





「昨日は映画に食事に沢山して貰ったよ

  映画なんてチケット2回分だし!」

 





そう言うと「アレは違う!」何がいいと

言って引き下がらない彼は雑誌の特集に使われているジュエリー的な物を言っているんだろう…





「あっ!じゃーさっそくおねだりしようかな?笑」





そう言って彼の手を引いて冷凍庫のガラス扉の前に

連れて行き「コレ買って」と有名アイスブランドの

6個入りの箱を1個取って渡すと

少し呆れた顔をしてコッチを見ている





「・・・・・ダメ?」





彼の真似をして首をかかげてから

聞いてみると「可愛いからムカつく」と言い

私の手から箱を取って

ビールと一緒にレジへ持って行った





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