第31話

〈伊織視点〉







あの後優君から何通かメッセージが送られて

きていてどれも誤解だと弁明の内容だった…





【気にしてないよ】と返信すると

仕事終わりに下で待っていると届いて

「はぁー」とため息がこぼれる…

 




なんだか学生時代の恋愛みたいな

やり取りに少し疲れていた…





(・・・もうすぐ29の女にはキツイ…)





それに今日は仕事終わりに

三村さんを食事に誘っていた…

仕事を辞める話しと…謝ろうと思って…





【今日は仕事後に用事があるからゴメンね】

と返信してからまた次の予約のお客様の対応に入った…





今日は山ちゃんとシフトを入れ替えてもらい

早番で仕事を終えてから三村さんとの

待ち合わせ場所に向かった…




(・・・三村さん…怒るかな…)





お店の前に着くと後ろから「伊織さん」と

呼ばれる声がして振り返ると三村さんが

小走りで走ってきた…





三「遅くなりました」




「まだ10分前ですよ?笑

  ・・・さっ早く入りましょう!!」





ゆっくり話せるようお店の個室を予約していて

結婚の準備の話しを聞いたりしながら

注文をして食事の終わりに話を切り出した…






「今日誘ったのは…お話があって…」





三「・・・何かありましたか?

  伊織さん…この前お店で会った時から

  様子がおかしかったですから…」





「・・・・謝らなきゃいけない事があります…」





私は三村さんに背中の産毛はまだあるけど

気になるほどではない事と脱毛をするなら

産後の方が良いことを泣きながら説明し

ひたすら謝ってコースの契約解除をすすめた…




三村さんは何も言わずにずっと黙ったまま

話を聞いていて私が話し終わると






三「・・・そう…ですか…

  少し…ショックでしたけど…

  伊織さんじゃなかったら…

  きっとこんな風に本当の事

  話してくれなかったんだと思うし……

  話してくれて…ありがとうございます…」






「いいえ、私じゃなかったら最初の段階で

  きちんと説明していたはずです…すみません」





三「・・・・コース解除します…

  そして、産後にまた考えてみます…」





「本当に申し訳ありませんでした…」





三村さんとお店を出て別れる時に

彼女はいつものように「また」とは言わずに

「それじゃ」と帰って行った…





「・・・・自業自得だ…」






泣き崩れた顔で電車には乗れずタクシーで

マンションまで帰ると入り口に優君がいた…


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