第25話

〈伊織視点〉






優君の家は調味料だけではなく料理道具も

揃いが悪かったから結局私のマンションで

夕食を作って…そのまま泊まって行った…





職場は近いけど出勤時間は優君の方が1時間

ほど早く彼を見送ってからいつも通りの

電車に乗って会社に向かう…






ユウ「婚約指輪…

  早めに仕事上がれる日に一緒に見に行こう」






昨日彼から言われた言葉を思い出して

自分の左手を見ながらなんとなくため息がでた…





(順調なはずなのに違和感しかない…)





普通…お見合いで好感触だとしても

1~2週間後位に二人で食事とかをしながら

少しずつ相手の事を知っていきながら距離を

近づけていって、同棲や式の話をしだす

ものだと思うんだけど…




優君とは元々顔見知りだと言う事もあるが…

一気に距離を近づけてくるから

まるで若いカップルがノリで一緒に暮らし始めて

「結婚したいねー」と口にしているような

そんな印象を受けている…





( 深く考えすぎなのかな… )




【掴んでみるか?】




喫茶店であの言葉を言った優君の目は

真剣でちゃんと考えてくれている事は

分かるんだけど…




彼は同棲も指輪もペースが早すぎて

「結婚、結婚」と言っていたコッチが

戸惑ってしまう位だった…





「・・・・腰痛いし…」





お見合いしたその日に彼の家で抱かれて

夜も私の家に泊まって何もないわけが無く…





(なんだか若い盛りのついたカップルみたい…)






まぁー彼から抱かれるのが

初めてなわけじゃないけど…

思っていたのと違う現実に違和感しかないのだ…




メッセージの通知音が鳴り開いて見ると

今まさに感じていた違和感の相手からで







【上司に報告したから

  伊織も早く報告して仕事辞めろよ】





「・・・・早くない?」






驚きながらも

自分の口角が上がっている事は分かった…




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