第24話

〈ジン視点〉







事の発端は朝のミーティング後に

優が課長に言った一言だった…







ユウ「課長、個人的な話なんですが

  先に伝えておいた方がいいかと思いまして

  婚約して来年には式を挙げる予定なんですけど

  会社的に避ける時期ありますか?」





課「えっ!?中須君彼女いたの??」






フロアが一気に騒がしくにり「えー?」と

女性社員の悲鳴に近い声が響いている…




そして、俺と直樹も口を半開きにして

なんとも間抜けな顔をして二人で向き合った…






ナオキ「・・・え?」





ジン「いやー・・

  昨日会いに行くとは思ってたけど…

  えっ!?婚約してきたのか??」






課長は

「だって先々週聞いたらそんな人いないって」

と困惑している様子で皆んなの前だという事も

忘れているようだ…






ユウ「・・・昨日、見合いをしまして…」





課「見合い??中須君が??その若さで??」





優がいかに小声で話そうが直ぐに

課長の倍以上の声量で復唱されているから

全て筒抜けになっている…






女「えーお見合い!?なんで、なんで?」





女「どっかのいい所の令嬢…とか??」





ジン「・・・・・・・・・」





令嬢どころか酷い会社に社畜として勤めている

年上の女性だなんて誰も想像しないだろう…





( ・・・・伊織さんは…本気で優と?? )





昼休憩になった瞬間、直樹と二人で

優を連れ出して「どうなってんだ?」と尋ねた







ユウ「・・・・しょーがないでしょ…

  結婚しなきゃ一緒にいれないんだから…」





ジン「しょうがないってお前…」





ユウ「先輩の言う通り…

  気になってたんですよ…多分…ずっと…」





ナオキ「でも、結婚なんて…

  まだお互いをよくも知らないのに…

  もし、ダメになったらどうするんです…」





ユウ「・・・・・・・・」





ジン「破談になって泣くのはお前じゃなくて

  彼女の方なんだぞ??」






伊織さんは今年29歳だと言っていた…

もし、しばらく付き合ってダメになったら

貴重な20代の時間がなくなるし

次の結婚相手を探す時に少なからず

29歳と30歳では差が出てくるような気がした…




彼女と優の年齢を考えても別れてから

泣く事になるのは…伊織さんだと思った…






ユウ「・・・多分逆ですよ」





ジン「えっ!?」





ユウ「破談になって泣くのは…俺でしょ…」






そう言いながら定食を食べている

優の顔は少しだけ悲しそうだった…





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