第23話

〈伊織視点〉






「・・・手料理作ろうにも、何もないから

  食材を買いに行かなきゃ作れないわよ?」





ユウ「じゃー買い出し行くか」





そう言って財布をポケットに入れて

出掛けようとする彼の後ろ姿に「はぁ…」と

呆れた、ため息を吐いてからバックを手に取ると





ユウ「いらねーから置いてけ」


 



と言って私の手からバックを取り上げると

ポイっとソファーの上に投げて

手を引いて玄関に歩いていく…





前のカラオケ屋の時といい

(金は男が出す物)みたいな昔ながらの男というか…

変な所は年下君じゃなくなる優君だった…





よく行くスーパーを一緒に見て周りながら

「何が食べたいの?」と聞くと

彼はフッと笑い出して

私の手を引いて豚肉コーナーに連れて行った







ユウ「いつも作ってる豚バラの料理作れよ」





「・・・・本当に見られてたのね…」





ユウ「必ず豚バラ買うくせにいっつも悩んでたしな」





「1番安くて色んな料理に使えるからよ…」







店長になってからは気軽に色々買えなくなって

出来るだけお金のかからない自炊になっていった



(本当は牛肉が1番好きなのに…)







ユウ「へぇー・・料理の腕はまだ知らないからな」





「・・・条件の一つじゃなかった?」





ユウ「・・・・・ふっ…見せてみろよ腕前を…笑」


 





優君は私の顔をジッと見た後に

さっきまで見ていた映画の台詞を言って笑っている







「口に合わなかったら?」





ユウ「練習すればなんとかなるだろう?笑」





「・・・・条件に合わなかったら?」





ユウ「・・・1番の条件を満たしてるから問題ない」





「1番って・・・はぁー・・最低…」







午前中の喫茶店で言っていた言葉を思い出して

また呆れるため息が出た…

優君はククッと歯茎を見せながら笑っていて






ユウ「他は何を買うんだ?調味料みたいなのも

  俺の家にはほとんどないぞ?」





「・・・・・威張っていう事?」





ユウ「フッ…とりあえず全部買ってた方がいいな」





そう言って籠に調味料をどんどん入れていきながら

隣を歩いている彼を横目で見た






( ちょっと…夫婦っぽいかも… )



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