第21話

〈伊織視点〉







あの後引っ越す予定の優君の部屋を

見に行くことになり彼のマンションで

ゆっくり映画でも見ようという話になって

レンタルショップにやってきた






「私コレはブラジル編が1番好きなの」

 




ユウ「・・・5部作がか?なんでだ?」





「実は初めて見たのがコレからなの!笑」





ユウ「話分かったか?笑」





「最初は全然分からなくて、あらすじ聞こうにも

  映画館だから話かけれないし…」






(しまった)と思った…

この映画を見たのは

当時付き合っていた彼氏とだったから

あんまりそんな話しない方がいいのかな?

と思ったけれど優君は普通に笑っているから

(まっいいか)とあまり深く考えるのをやめた






「そう言えばいつ私の事見てたの?」





ユウ「コレを借りてた時だ」





「いつ?何度か借りてるから…」






そう…このカーアクション映画を

私はある事がある度に借りていた…

売り上げの穴埋めをしなきゃいけない度に…




車を持っていないから普段自分が出来ないような

スリルのあるこの映画を見てストレスを

発散させていたんだろう…






優「・・・・何度か見たが…

  初めて見たのは全巻借りてた時だ」





「・・・そう…なんだ…」






あれは…初めて穴埋めでコース契約

させられた日だったな…






ユウ「・・・・・・・」






「・・・あっ!?・・あの日変質者いたんだよね」






ユウ「変質者?」



 



「そう、ほら!

 後ろがラブストーリーの棚じゃない?」






ユウ「・・・・・・・」







「私の後ろでずっとラブストーリーのDVDを

  真剣に選んでて途中コッチをチラチラ見て

  くるから怖くなってきて…

 しかもそいつが手に持ってるの

 結構過激なシーンもあるやつだったから

  もう気持ち悪くて怖かった!」






ユウ「・・・・へぇ…」



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