第13話

〈伊織視点〉








「レンタルショップで見た事あるの?」





ユウ「・・・・そこだけじゃねーけどな?」




「・・・・・スッ・・ストーカーじゃないよね?」





私は彼と会った場所を全部思い出してから

(もしかして?)と思い少しかまえた…





ユウ「・・・・立ち飲み屋は

  お前が見えたから入ったけど他はタマタマだ」





「・・・あっ…そう…」





ユウ「住所がちけーから生活圏内が同じなんだよ」





「あぁ…」と納得したものの

何でここいにるのか理由を聞いてないと

思いまた不審な目を向けた…






ユウ「・・・お前が今日ここに参加する事

  知ってるやつがいるだろうが…」





「・・!?・・・山ちゃんね…」






山下には仕事を辞めたくて

今日コレに参加する為に

休みを貰いたいと話していた…






「・・・・・何しに来たの?」





嫌がらせや冷やかしにしては

電車で5駅は離れているこの場所に

来るのは少し手が混んでいる…






ユウ「・・手元の紙をよく見ろ、なんて書いてある?

  お見合いプロフィールだろうが?

  なら、俺が何しに来たか位分かるだろうが!」






少し機嫌を悪くしたのか

怒ったように答える彼に

「参加者なの?」と質問すると

目を閉じてため息を吐いていた…






ユウ「・・・・俺の職業と収入に問題は?」





「え?・・・・え!?・・君の会社あそこなの?」






彼の会社はサロンの近くにある有名な証券会社で

年収もビックリな額だった…






ユウ「子供は一人っ子よりかは

  兄弟がいた方がいいだろうから

  3人欲しけりゃ3人作ればいい」





「・・・・・・・」






ユウ「あとは何だ?条件あんだろ?」





「・・・・・君・・もしかして…

  お見合いしに来たの……私と?」





ユウ「だからそう言ってんだろ…」






彼の目はバカにした感じもなく

真剣なんだということは分かったけど…






「え??なんで?

 だって結婚は考えた事ないって…」





ユウ「あぁ…ハッキリ言って今もぼんやりだ」





「・・・・はい?」





タンタンと答える彼の返答に少しイラっとして

「とりあえず、付き合いましょう」

的な感じなのかと思い相手にしていられないと

腕時計で時間を確認した…







ユウ「だけどいつかは結婚するんだろうし

  俺も条件満たしてればいいと思ったんだよ」

 





「じょっ条件?」






ユウ「お前に条件があるように

  俺にだって条件位あるんだよ」





「・・・・・・・」






35歳以上の男性から見たら

ギリギリ20代の私はまだ条件的に

OKそうだけど26歳のこんな高収入の彼に

私のお見合いプロフィールが

条件を満たすとは思えない…





ユウ「映画の趣味は合いそうだしな?笑」





「・・・そんなの沢山いそうだけど?」





ユウ「あとは…わりかし自炊してるのは

  スーパーで見かけて知ってる」





「・・・・やっぱり…ストーカー…」





ユウ「部屋は…店長してるんなら

  片付けられないなんて事はねーだろ?」





「・・・・私じゃなくても良さそうだけど…」






彼のあげる条件は誰でも該当しそうな内容ばかりで

とても未来の相手を決めるものでは無い気がした…






ユウ「俺はあの日言ったはずだぞ?」





「・・・・何を?」





ユウ「身体の相性を…確認させてもらうってな?」





「・・・・・・」





確かにあの時そんな事を言っていた気が…

ホテルに連れ込む為の何だか分からない

口説き台詞かと思って

気にも止めていなかったけど…





ユウ「俺にとっては一番重要な条件だったしな…

  確認しなきゃ結婚なんて踏み切れねーよ」





「身体の相性が・・・一番重要??」





ユウ「重要だろうが?棺桶の中まで一緒にいなきゃ

  いけねーのに相性悪かったらお互い

  外に相手作っちまうかもしれねーだろ?」





「・・あっ…そう…ですか…」






いい事を言ってるんだろうけど、聞いていて

恥ずかしくなっていく自分がいる…




つまり…私は彼が棺桶の中に入るまで

浮気をしないと…認めてくれる位には…

相性が良かったという事なんだろう…





( なにそれ… )






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