第3話

〈伊織視点〉





山下とは平スタッフの時に一時期毎日のように

サロン近くの繁華街にある相席屋に通っていた…






山「最近出来た所もありますし!

  ただ酒飲んでまたカモ見つけましょうよ!笑」


 



「懐かしいね?笑」






私達は…中々最悪だったと思う…

チラシ配りに出て美味しそうなお店に目をつけて

仕事後に相席屋へと繰り出して行き

いい感じの雰囲気になれば大抵男性側が

「ちゃんとしたご飯食べたくない?」

と下心を持って外に連れ出そうとするから

それに「はい」と可愛く頷き

「行きたいお店があるんです」とお目当てのお店に

連れて行き高い食事をご馳走してもらった後は

「終電が!」と逃げるように帰って行っていた…






(・・・・まぁー若い時しかできないし…)





この仕事のおかげもあってか…

割りかし同年代の女子よりも綺麗な方だと思うし…






「・・・・・・行き・・ますか?笑」





山「久々の出陣ですね?笑

  いいお店はもう目をつけてますから!」






そう言いながら20時になるとバタバタと

店じまいをしてから事務所でバッチリメイクを

してから二人で山下の言う新しい相席屋に向かった





「ここ??今までと雰囲気違うね?」





前行っていた所はもう少しオシャレな雰囲気で

店内に大きな液晶や水槽があるようなお店だったが

今日連れてこられたのは居酒屋風のお店だった…






山「前の所よりも年齢層が少し上なんですよ!

  まっその分、40代のオヤジもいますけど

  お財布の中身も確実ですし?笑」


 



「山ちゃん、悪い子になったねー?笑」





山「先輩から教わったんですよ?笑

  飯男は3人、足男は1人作れって!!」






当時24歳の私は20歳の山下にそんな事を

教えていたと思い出して苦笑いが出た…




(最低な先輩だな…)




掘り炬燵風の席に座って5分もしないでいると

男性スタッフが近づいて来た…




ス「男性3人なんですけど…いいですか?」




山「いいですよ?ねぇ?」





ご飯をたかるだけの私たちには

人数はあまり関係はないから「うん」と頷き





「お腹空いたから早めにご飯にうつりたいね」





と山下に小声で伝えて二人で笑っていると

さっきのスタッフに連れられて3人組の

サラリーマンが席にやってきた





「こんばんはぁ」





と笑顔で顔を向けて固まった…


(・・・・・えっ!?・・)





山「こんばんは!!お願いします」





ジン「こんばんは!いやーこんな綺麗な人達も

  こうゆう所来るんだね?笑」




山「えー?早速お世辞ですか?笑」





ナオキ「飲み物頼みましょうか?」






私は通路側に座っていてさりげなけく目線を

スタッフに向けようとしていると…



 


ユウ「初めて会う人や再会する人に

  挨拶をしましょうっていうのも

  まさか、習ってないんですか?」





「・・・・宜しく…お願いします…」





山「え??知ってるんですか?」


 




社長のパワハラの記憶の方が強くて忘れていたけど

今日のランチの時に目の前の失礼な年下君に

気分を害された事を思い出した…






ジン「なんだ?知り合いか?」





「いえ、今日たまたまランチに入ったお店で

  席が隣だったんですよ」




ジン「へぇー・・凄い偶然だね?笑」






「ハハ…」と笑いながら早めにスタッフに

チェンジの合図を送ろうと思っていると

私の手元にスッとドリンクメニューが差し出され

嫌々ながら顔を上げるとニヤニヤと楽しそうな顔を

して「好きなのどうぞ」と言ってくる…





「・・・・君…いくつ?」





初めて会った時から失礼な発言しか言ってこないし

今じゃ人を馬鹿にしたように眺めている姿に

ムッとしながら尋ねると





ユウ「・・・・・・」





ニコニコしていた顔は真顔になって

私の顔をジーっと見てきた…





「・・・・・なっ何?」





こんな風に人からジッと目を見られたのは

久しぶりでなんだか緊張してメニュー表を

持ち上げて顔を半分ほど隠してから問いかけた…






ユウ「・・・・お姉さん…より年下ですよ?笑」





「・・・・・年上って分かってて…アレなの?」






横では山下がお連れの二人と楽しそうに

話しているのが見えて、このメンバーで食事には

行きたくはないなと思いながら

目の前の子に視線を戻すと






ユウ「俺…あんま歳気にしないんで」





「・・・・・・・・」






そう言って私の手からメニュー表を取り上げて

「なんにすんの?」と敬語もなく話し出した…





乾杯をしてから20分ほど経ち山下が真ん中の

席に座っている直樹君を気に入ったのは

なんとなく分かりチェンジもできないでいた…





1番奥に座っている仁君は27歳で

直樹君は25歳で…

私の目の前に座っている失礼なヤツは26歳らしい





(皆んな年下じゃ頑張っても意味なんてないし…)





お手洗いに立ち上がり店内にいるお客さんを

物色していると山下の言う通り他の席は

30代の男性も結構いるみたいで

20代は私達にいるあの3人組位だ…





「はぁー・・・」





最初に回ってきたのが30代だったら

私ももう少し楽しめてあわよくば彼氏候補が

できたんじゃないかなとすら思っていた




(今日は山下の為に諦めるか…)





どっちにしろセット買いもしなきゃいけないから

居酒屋風だろうが奢ってもらえるのは今は

とても有難いしなと考えながらトイレに向かい

用を済ませて出てくると30代半ば位の

サラリーマンが立っていてペコッと会釈をしてきた





男「こんばんは…えっと歩いてるのを見かけて…

  綺麗な方だなって…」




「あっ…ありがとうございます…」

 




男「何番の席ですか?…迷惑じゃなければ…

  チェンジ希望を出したいをですけど…」





「えっ!?えっと…」





見た感じスーツもいい感じだし多分…

いい会社かな?

年齢も30半ばなら結婚も考えてるだろうし…

私的には優良物件だと思うけど山下がなぁ…





ユウ「おい!店変えるって言ってるぞ」





失礼男が登場して一気に現実に戻され…

「行くぞ」と促されて男性に「すみません」と

頭を下げながら後を追った…




(あぁ…もったいない…)





お会計をしてくれている3人を他の席の

女の子達が見ているのが分かり改めて3人に

目を向け(あー確かにカッコイイけど…)

と思いながらも婚活中の私には関係もないし

年下だと分かっている分次に連れて行ってくれる

お店に期待もなく…早く帰りたかった…





ナオキ「さっ!!行きましょうか?」




山「何処にいくんですか??」





と可愛く問いかけている山下を見て

(いい店はどうしたのよ?)と思いながらも

後輩の恋は応援したいし黙って付き合う事にした








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