第2話
〈伊織視点〉
失礼男にムカムカとしながらも
もう一つの仕事を辞めたい理由である
社長の元に早足で向かった…
エレベーターに乗りサロンのある
9階のボタンを押してため息を吐く…
(今日の売り上げいくらだっけ…)
エレベーターから降りてお店に入ると
副店長である山下が近づいて来て
「今の段階の売り上げとまだ来店されてない
お客様達を含んだ今日の売り上げ見込みです」
とメモを渡してきて目を通しながら
(やばいな…)と思っていると山下も分かっている
ようで曇った顔をしている・・・
私が24歳の時は上の先輩ばかりで
売り上げに悩んでこんな顔をした事はない…
山下にも副店長という役所を与えられていて
毎日ため息ばかりだ…
(・・・まぁー経営者にも問題があるんだけど…)
「ありがとう!・・・多分夕方まではコッチに
戻れないと思うから任せるね!!」
山「・・・伊織さん…」
副店長の山下とはお互い
店長、副店長になるまでは
ただのスタッフとして毎日ふざけ合って
ランチをしたりしていて仲も良く…
「伊織さん」と慕って呼んでくれていた
今はめっきり「店長」呼びが多くなったけど…
山下が「伊織さん」と呼んで
不安な顔をしているという事は
社長の機嫌の悪さがMaxなんだと分かる…
「大丈夫!お願いね?」
そう言いながら山下の肩をポンっと叩いてから
社長のいる隣の事務所へ歩いて行く…
「ふぅー・・・」と息を吐き
事務所の扉をノックしてから「失礼します」と
言いながら部屋の中へ入っていく
社「呑気にランチになんて行く位なんだから
売り上げノルマは大丈夫なんだろうな?」
挨拶をする前に社長から嫌味な質問をされて
軽く下唇を噛んでから「すみません」と謝罪する…
社「なんの謝罪だ?ノルマは大丈夫なんだろ!」
「すみません…まだ半分です」
私の言葉を聞いてテーブルを
バンッと叩く音が聞こえた…
山下のあの様子じゃ、社長は店舗に顔を出して
売り上げを聞いていたはずなのにワザと
あんな言い方をする…
社「ここの家賃いくらか分かるよな?」
「・・・・80万です…」
社「・・・・脱毛機械の値段も分かるよな?」
「・・・・・・・はい.」
社「お前が店長になってから赤字続きだぞ!
どう責任とるんだ?」
「・・・・・・・」
社長の言葉に奥歯をギュッと噛んだ…
私が店長になると同時にサロンは
今のテナントに移転して広くなった…
カウンセリング室は2部屋あり
施術室は6部屋もある広いテナントで
隣の広い事務所まで一緒に借りていて
テナント家賃が80万円だった…
(機械2台しかないのになんでこんな広い所…)
スタッフは4人だけで機械は2台…
施術ベッドも2台で活用してない部屋が
4部屋もありどうみても計算が合わない…
ましてや移転のオープン告知や
チラシ配布などもしないで
「口コミが客を呼ぶんだ!」と連呼していた
社長だが…移転の口コミって…だれがすんのよ…
店舗の電話も話し中で繋がらないともったいない
と言い出して回線を2台もひいていた…
(マイナスばっかりだよ…)
確かに店長としての私の力不足もあるが
前の狭い状況と同じスタッフ人数と機械で
前のサロンの3倍売り上げろと言う方が無茶だ…
社長の知り合いの会社から化粧品を
仕入れて物販販売しているが…
イマイチ売り上げもあがらない
社「どうするんだ?」
「・・・・・・・・」
つまり私にあの化粧品や他の販促物を
購入しろと言っているんだろう…
(もう何度目よ…)
社長はこうなると「買う、契約する」の言葉を
言うまでひっこまない…
「私がセット購入します…」
(・・・・・なんの為に働いてるんだろう…)
前の店舗の時は楽しかったのに…
最近では頭が痛い悩みだ…
直ぐにでも辞めたいけど売り上げの穴埋めで
貯金もスカスカだ…
他のサロンに転職してイチから働くには
年齢も厳しいし何よりも結婚をして
もう退きたいのに転職するのもどうかと思いながら
今日までこの社長の下で働いている…
社長の嫌味な説教は18時前まで続き
「社長仲間と会食があると」と出て行った…
重い足取りで店舗に行くと山下が
「大丈夫ですか」と駆け寄ってきた
「大丈夫、社長は飲みに行ったよ」
山「・・・・はぁーあのスケベジジイ…」
「・・・・・・・・」
社長は飲み会後に…
風俗に行って楽しんでるらしい…
山「・・・・店長…・・いや、伊織さん!!
今日仕事終わったら久々に行きませんか?」
「・・・・ご飯?」
山「伊織さん彼氏と別れたんでしょ??」
「・・・・・相席屋の方ね?笑」
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