第2話  樹君

 翌朝、カリカリタイムを終えると、ママさんが、用意してくれた新鮮な水を飲みます。


 元気いっぱいになった僕は、外にお出かけしました。


 お日さまは、少しずつ空を登って行きます。


 樹君の家には、何度か行った事があります。樹君と由香里ちゃんは、隣同士で幼なじみ、そして今は彼氏と彼女の関係です。


 今日は、学校が、お休みなので、この時間は、まだ家で寝ているはずです。


 樹君のお母さんが、いつもの様に、朝早くから、家庭菜園の世話をしています。今年もたくさん夏野菜が、採れそうです。


「ニャー」


 樹君のお母さんに挨拶をします。


「あら、テオちゃん。おはよう。早いわね。そうか、またあの二人は、ケンカしちゃったのね。樹の様子がおかしいと思ったわ」


 樹君のお母さんは、菜園につながるバルコニーの窓を開けてくれました。


「ニャー」


 お礼を言って、家の中に入っていきます。何度も来たことがあるので、樹君の部屋までは、迷いません。


 樹君は、呑気に寝ていました。由香里ちゃんを泣かした事を少し反省して貰う事にしました。


 僕は、樹君の頬に手を置き、爪を立てました。


「痛い!」


 飛び起きた樹君は、僕の顔を見て、気まずそうに、頭をかきました。


「テオか。昨日は由香里の方が悪い。と言っても駄目か。お前は、どんな時でも由香里の味方だからな」


 僕は、樹君の目を見据えました。


「分かったよ。直ぐに、謝りに行く」


 樹君は、服を着ると、僕を抱き上げ、隣の家に向かいました。

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