第4話 男の浪漫(?)→別世界の街
うーん、考えたけど結局のところ
このまま遊び呆けるってわけには
いかないんだよな。
食料には限りがあるし。
という事で、
近くの人間の住んでる所を探そう。
とはいえ、マップで一発なんだけどね。
コックピットに座り、
AIに探してもらう様頼む。
操縦桿を握り、動かそうとして...
〔warning!
本来あるべき記憶が存在しておりません。
修復しますか? YES or NO〕
またぁ?って、当然か。
「俺」は操縦方法知らんし。
YESっと。
〔記憶及び身体技能の修復が終わりました。
個体名「朱弧」の
操縦技能及び船の取り扱い記憶が
回復しました。特別措置を終了します〕
船の取り扱いってなんだ船の取り扱いって。
たしかに覚えてない事は多いけどもよ。
とはいえ、操縦の仕方はこれでマスターだ。
ゲームみたく変態軌道を取ることもできる。
あくまで重力や大気がない所でだけど。
でも取り敢えずはゆっくりでいいからなー、
とか思いつつ前進させる。
なんのとっかかりもなくすーっと動き出し、
まさに思い通りって感じだ。
ブレーキかけてみても、
少しのラグはあるものの文字通り超少しだ。
1メートルか2メートルくらいしか
惰性で進んでないんじゃなかろうか。
それも逆噴射すらしてないし。
やっぱりいいなぁこの船。デザインも好き。
っと、そんな事言ってる間に見つかったし。
言ってないけど。考えてただけだけど。
【右斜め前14キロメートル先、
平野に小規模の街があります】
カーナビか。いやまぁ便利だけど。
早速その方向に向かって進む。
雲も濃いし、1キロ前くらいでおりて歩きゃ
いいだろ。
数秒で移動が終わり、降りる用意をする。
インナーっぽいTシャツに
革っぽい、裾丈が股辺りまで届く
フード付きローブ。
軍服っぽいズボンにコンバットシューズ。
ご丁寧に俺のベルトは
例のロゴ金具がついている。
ホルスターに先程のレールガンを装備し、
ウエストポーチに
予備のマガジン類とグレネードも
きちんと安全ピンさして入れといた。
それと、ベルトの金具には
アーミーナイフが鞘ごと
つけてある。
これで、いざと言うときの接近戦も
大体大丈夫である。多分。
もしも武器の携帯がダメな感じでも、
ローブが深いからなんとか大丈夫だと思う。
ついでにアクセサリーのペンダント。
少し赤みがかった金属でかっこいい。
この船の管理デバイスを懐に忍ばせ、
チェーンでベルトにつなぐ。
そして、この体になってから
ちょっとやってみたい事って言うのが
やっぱりあるんだな、これが。
馬鹿でかい滑走路(?)
から少しだけゲートを開けて飛び出す。
「ひゃぁあっふぉおおおおお!!」
そう、滑空...
おお〜、ここが別世界の空。
あばばばば!
やっぱし風がすごい!
そりゃあ滑空してんだから
そうなんだろうが、
むしろこの程度で済んでる
この体って末恐ろし〜。
「気持ちいいいい!」
高所恐怖症ではない。むしろ楽しい。
たっかい橋もむしろ
揺らしてみようとかするタイプである。
それで一回橋渡りきってから
クッソ怒られた事ある。
着地?問題nothing!
きちんとパラシュートは用意...
忘れた。
あああああああぁぁぁぁ!!
数百年後、
そこに出来た謎のクレーターの由来について
学者達は非常に頭を悩ませるのだが、
その事を朱弧は知らない。
ちゅどぉぉおん...
おろ?痛くない。
いや、痛いって言やぁ痛いんだけど、
なんというか...
ベットに寝転がってて落ちた、
くらいの衝撃しかないのである。
やっぱり怖かったわ、この体。
え、学者さんとかに捕まって
解体&研究とかされないよね?恐っ。
それはともかく、服や装備達にも傷はゼロ。
全く、頼もしい限りだぜ...
ともあれ、街に向かって歩き出す。
さっきはただのアクセサリーと
言ったペンダントだが
実はミネルヴァAIに
話しかけることもできる。
俺か俺が認めた奴にしか反応しないぜ!
高性能なんだぜ!
え?そんなん最近ではスマホで
もうやってる?
あ、そうですか。Sir〇さんですか。
独り茶番は置いといて。
「ヘイミネルヴァ、近くの街を教えて」
【了解致しました。
近隣の街を再検索します...】
「わー!ごめんごめん!
さっきのところでいい!
いいから!」
【了解致しました、
街までの方角を示します】
うん、ていうか見えてるんだけどね。
そう言うまもなく、ペンダントが浮かび
見えている町の方に向かって軽く引っ張る。
「おっけおっけ、あー。わかってるって」
そう言うとペンダントは
ストンと胸に落ちた。
1キロくらいなら普通に歩いても
数分で着く。
ゆっくり行こう。
へぇ、結構壁が高ぇなあ。
本当に“小規模”の街なのか?
疑ってかかろう。
日本の都市や街とかゲーム内の街
とかと比較してる可能性も高い。
壁の周りを回って入り口を見つける。
おおう、結構列が長えな。きちんと並ぶよ?そりゃ。
そして並んでる人達を見て気づく。
荷物ないから俺超怪しまれるじゃん!
しかも見た感じばりっばりの
幌馬車とか商隊とか
中世後期とか西部劇っぽい格好の人しか
いねぇし!
しかも身分証的な奴も
この世界観のお金もゼロだし!
完全にやっちまった...
ん?でも荷物が少ない人もちらほらいるな。
ワンチャンいけるか...?
ていうか随分皆さん動きが遅えな?
そしてついに来た俺の番。
兵「次の奴...っておい、
手ぶらだし護衛も荷物持ちも
いないし武器もないし偉く軽装だな?
何もんだお前?」
わぁお、優秀。
まぁ、そうでなくても怪しいわな。
「あの」
兵「いや、駐屯所で聞く。後がつまるからな」
おぅふ。
連行...って訳ではないが
事情を聞いてもらえるらしい。
おお、やっぱ優秀。なのか?
兵A「これをつけてください」
そう言われた出てきたのは、
ペンダントと同じ様な色の指輪だ。
飾りっ気もなくシンプルイズベストな感じだ。
左手の人差し指にはめる、がブカブカだ。
まてよ、今はめさせたって事は嘘発見器みたいな物?
兵B「じゃあ質問するぞ、なんでそんな格好と
状況なんだ?」
「えーとですね、
気づいたら元の場所から移動してて
同じく気づいたらここの周辺にいました」
必殺!
嘘ではないが事実そのままでもなぁい!!
兵B「嘘じゃないって事ぁ...
転移トラップでもくらったか?
にしてはダンジョンに挑む様な格好でも
なさそうだし」
ダンジョンあんのか。そんなことより、
「これは装備なんですよ、
こう見えて。試します?」
兵B&A「「嘘じゃない。まじで?」」
「はい」
兵B「武器は?」
ひょいっとレールガンを取り出す。
「これです」
兵A「見た目はえらく良いが...まぁいい。
嘘でないならな。遠い文化の国からでも
きたんだろ。入国分の金は?」
「無いです」
兵B「戦いに行くのに金持っていく様な奴
いないしなぁ」
兵A「なんか金になりそうなもんあるか?
代わりに売ってくる事ならできる。
例えば...そのペンダント。
マジックボックスとかで
中になんか入ってたりしないのか?」
おお、大当たり。
ミネルヴァは倉庫への転送及び
こちらへの転送もできるのだ。
「確かに取り出せますけど」
指輪に変化なし。じゃあ、
「ミネルヴァ、倉庫のリスト」
【了解致しました、
倉庫のリストを表示します】
兵A&B「「シャベッタァァァアアア」」
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