第5話 別世界の街→少しの違和感



兵A&B「「シャベッタァァァアアア」」


まずっ。いや、誤魔化しだ!


なんか売れそうなもん、ないか!?


そうだ!


ミネルヴァリストから選択し、

空間に赤い光の穴が開く。


でん!


「これなんかどうですか?(無言の圧)」


兵B「あっ、ああってなんじゃこりゃ!?」


兵A「ダイヤモンド!?

  でかっ!拳くらいあるぞ!」


兵B「ちょっと待ってくれ!こんなもん

  詰所をひっくり返したって

  買い取る資金なんぞ出てこないぜ!?」


兵A「取り敢えず金は出す、

  さっさと宝石店にでも売ってこい!」


と言う感じに詰所を追い出されてしまった。


ガラス塊なんだけどなー。

ダイヤモンドとかの塊もあるけど。


町の人に貴金属店の場所を聞き、

小粒のダイヤを売ってきた。


結構な金になって、嬉しい。


さて、身分証とか作るには

どうしたらいいんだ?


色々なゲームの定番では、

傭兵センターとか

ハンターギルドとかあるんだけど。


駐屯所に戻り、先程貸して貰った銀貨五枚に

少し色をつけて返しながら、聞く。


「身分証を作れるところって

 ...どこかないですか?」


兵「うーん...住所があるのなら市役所だが、

 無いのなら傭兵ギルドだな。

 旅のお供に便利だぞ。

 この大陸なら全ての国で使える」


「ありがとうございました」


兵「いいってことよ。

 この噴水通りをまっすぐ

 3キロ、右斜め前の道を4キロだ」


いや遠いな。


でも街って言ったらそんなもんか。でも、

めんどくさい!


しかもあんたら(住人も含め)、

やたらめったら動き遅いのにそんなん1日で

行けんのか!?


それはさておき裏路地に入り、屋根に登る。


クラウチングスタートの姿勢をとり、駆ける。


(ひゃほぉぉぉおお)


内心で歓喜の雄叫びをあげながら、

全力ダッシュした。















そういえば、

星の大きさが完璧に同じなんて事は

確実に無いんだ。あまりにも俺の状態が

地球や船内と同じすぎて忘れていた。


むしろそうなら動きの遅さのわけも

納得なんだが...


一旦立ち止まり、問いかける。


「ミネルヴァ、この星の重力ってどんな感じ?」


【この星の重力は船内及び星名 地球 よりも

 小さい物です】


「へぇ、やっぱりか。でも、

 それにしちゃ俺が

 普通に歩けたり落ちた時も

 それなりのクレーターとか出来てたけど」


【私が普段船長の感じている重力程度の

 圧力をかけていました。

 お気に召さなかったでしょうか】


「いや、ありがとう。お陰で過ごしやすい」


【恐縮です】


走るのを再開する。


...やだ何うちのミネルヴァちゃん、

超有能なんだけど?

頬ずりしたい衝動に駆られる。


と馬鹿なことを考え走る。


ふとミネルヴァに頼み

少しだけ負荷を緩めてもらう。


そしたら、屋根のとっかかりに足をかけて、

超前方に向けてジャンプする。


すると一気に

七〜八メートルの距離を飛べた。


速さはあんまし変わってないけど、

こっちの方が楽しい。


着地と同時に屋根を蹴り、さらに跳ねる。

すっごーーい!たのしーーーーい!














着いたな。


ゲームの異言語瞬時翻訳機能がまたも役立つね。


看板の文字がすらすらっと読める。


さっきの兵達と会話できていたのがこれだ。


九年前くらいに実装され、製作陣はその機能で

なんかの賞状もらってた様な。


まぁいいや。


「ここが傭兵ギルド」


筋肉「おうニィちゃん。どいてくんな」


筋肉達磨でいかついスキンヘッドの

和かなおっさんが

後ろで待っていた。


「お、おう」


少し圧されてそそくさと数歩どく。


相変わらずの遅さではあるがのっしのっしと

擬音のつきそうな体格ではある。


だが地球の人たちに比べてスカスカなんだろな...

筋肉。と骨。


ぷにぷにしてそう。


それどころか俺が道を歩けば地面沈むからな。


いかに軽い人たちなのかわかるだろう。物理的に。


やっぱり軽いドアを開き、

カウンターにまっすぐ向かう。


ギシギシ木製の床がなっているが、気にしない。


新規登録ってここで出来るんだろうか?

本部に行かなきゃだめなんて事はないよね?


なかったら良いなぁ。



「傭兵ギルドはここで合ってる?

 新規登録したいんだけど」


受「合っております。登録には銅貨五枚を

 頂いているのですが、

 よろしいですか?」


「大丈夫」


受「少々お待ちください」


若い男性職員がカウンターの向こうに消えていく。


カウンターにもたれようとしたが、

ひずみかけたのでやめておく。


数分後...


受「お待たせいたしました、

 こちらのカードに登録させていただきます。

 書類に必要事項をお書きください。

 代筆も出来ます。

 名前以外は書かなくても

 問題はありません」


「わかった」


種族、名前、年齢、

使用武器、得意項目の五つ。


種族、人間...だよな?

名前、朱孤。

年齢、なんかそういう

機械があったら面倒だから

実年齢の32歳。

使用武器、銃及びナックルグローブ。

得意項目、力仕事、中〜近接戦闘、殲滅戦。


最後ちょっと初心者っぽくないけどまぁ良いのだ。


あくどいやつに利用とか

隷属とかされそうになっても

力技で破ればオッケーなのさ。


受「確認いたします...?

 銃、とはなんですか?」


「あー、金属の礫を高速で飛ばすもの」


受「そんな物が...受諾しました、登録します。

 少々お待ちください」




?「おいそこの赤髪ィ。

 そんなほそいヒョロヒョロな体で得意項目

 力仕事だあ?冗談はやめておけよ」


なんだこのデブ。気持ち悪い笑みを浮かべ、

手に持った片手斧を揺らしている。


受「困りますバートさん、新人に絡まないで下さい」


バ「絡んでるたぁ人聞きが悪りぃなあ?

 俺はじょ・げ・ん

 してやってんだよ〜!?」


「何が助言だ、デブ。

 ただ絡んでるだけじゃないか。

 それに俺はお前よりも強いし力もあるさ」


俺が一言放った瞬間、空気が凍りつく。



モブ「おいあいつ、バートに口答えしたぞ」

モブ「おいおいおい、アイツ死んだわ」

モブ「勇気あんなぁ」

モブ「ただの蛮勇だろ」

モブ「にしてもバートも毎度ながら屑だな」

モブ「でもあいつが力仕事できる様にも見えんぞ」

モブ「「「がやがやがや」


周りの話を聞いてわかったが、

やはりこのバートという男、

普段から悪質な行為を重ねているらしい。


善意じゃなくて良かったぜ(?)。


「改めて言うが、お前の様な豚に

 指図される謂れはないね」


ならば容赦なく行くと言うのも

礼儀の一つじゃないか?(錯乱)


再び空気が凍りつく。


バ「んだっ、ぁんだと〜!?」


「何度も言わせるな、デブ。

 黙っていろと、そう言ったんだ」


バ「くぉのやろぉぉおおお!!」


相変わらずこの世界の住人は動きが遅いな。

突進してくるものの

地球の子供の走りよりも遅い。


「欠伸が出るぜ」


言ってみたかったんだこれ!


今の俺は地球と同じ負荷がかかっている。

素早く...なくても余裕で

軽く顎の下に潜り込み、


ジャンプと同時に顎を殴る。


しょ〜○ゅ〜けん!


回転しながら右手を上げて飛び上がった。


実際に地球でゲーム通りの動きをすると、

物理的に顎が爆散するらしいので、

絶対に真似しない事。いいね?


これは、重力の軽い

ここだからできる事なの。

それは置いといて。


あごを強打すればどれだけ鍛えた人でも

脳震盪を起こすらしい。


空中でそれを思い出した。


ていうか逆に感触が軽すぎて

それ程の威力は無いのか?

と気付いてしまうほどに軽い。


圧はかけれても地面にいる時限定なのか、

ゆっくり目にスタッと床に降り立つ。


いや、床が撓んでなんかない。

ないったらない。


「「「「「「「「「「おお〜」


沢山の人達から声が。なんか目立ってる...

って元からなんだけど。


片手で持ち上げて、ギルドの外に投げ捨てる。



「えー...続けていい?」


受「申し訳ありませんでした。

 こちらが貴方のカードとなっています。

 機能の説明をしても

 宜しいですか?」


バートとやらが職員達によって

ズルズル運ばれていく。


「はい、お願いします」


受「わかりました。機能についてですが、

 全部でつあります。

 機能その1、身分証ですね。

 機能その2、ギルド提携の銀行口座を得れます。

 機能その3、傭兵ギルド提携店での割引。

 機能その4、依頼の受注権利です。

 これに関してはカードランクが関係するのですが...

 そしてその5、ギルド内の施設利用権です。

 以上五つとなります」


「ほほう、なるほど」


見た目はドッグタグだ。

機能はテンプレ、しかも結構便利なんだな。


「じゃあ、これで手続き完了かな?」


受「いえ、あと一つ…

一定の期間依頼を受けずにいたり、

年会費を払わないでいると、

カードの機能は凍結されます。

年会費は銀貨一枚、登録し直しは

銀貨一枚と銅貨一枚となっております」


「オッケーだ」


受「はい。では、

 これから宜しくお願い致します」


「ああ」

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