第2話 異世界に召喚されました
「ハーーーイ!!
地球の皆さんこーんにーちわー!!!!!」
目の前に突如現れた、金色の髪をもつ白いワンピースの美しい少女は快活に声を上げる。歌のお姉さんを意識しているようにしか思えないがそんなことに突っ込んでいる余裕は当然なく、体が固まってしまう。横にいるショウや他のクラスメイト達も突然のことに声を上げることができない。
全員が固まっていると痺れを切らした少女は不服そうに文句を言う。
「なんだよー。皆ノリ悪いなー。
そこはしっかり挨拶返してよね、まったく」
そんなこと言われてもと思っていると少女は続ける。
「まあいいや。じゃあ改めて。
地球の皆さんこんにちは。
ここは君たちの世界から見て異世界。
名前はエルノア。
そして僕はこの世界の神ニア。
君たち9人を召喚した張本人だよ。
皆よろしくね♡」
信じられないことを口にする。異世界?神?そんなものは漫画や小説の中の話だ。現実のものではない、、、はずだ。だが、現にさっきまで教室にいたはずなのに気づいたら違う場所にいる。
少し落ち着いて周囲を見渡してみると神殿のような場所にいることがわかる。白と金を基調にした高級感のある床や柱、少女の後ろには玉座のようなものも見える。屋根や壁はなく、雲一つない青空が広がっている。ただその青空は横にも続いており、この場所が空中に存在していることに気づく。
そこまで考えた時点で固まっていたモモちゃんが皆を守るように一歩踏み出し声を上げる。
「しょ、召喚ってどういうことよ!?
そもそも異世界って...いったい何なのよ!?」
その通りだ。この状況はあまりにも意味が分からない。そう思って自称神様の少女の顔を見ると楽しそうな顔で質問に答える。
「召喚っていうのは言葉の通りさ。ある目的があって君たちをこの世界に呼んだんだよ」
モモちゃんは戸惑いながらも尋ねる。
「目的?」
待ってましたと言わんばかりの顔で少女が答える。
「そう!目的っていうのはね、
君たちに殺し合いをしてもらういことだよ」
そのあまりにも恐ろしい答えに再び全員が固まってしまう。
殺し合い?なんだよそれ...理解できない。できるはずがない。今のいままでただの高校生だった自分たちにいきなりそんなこと言われても意味が分からない。
「なっ、なんでそんなこと........」
モモちゃんがなんとか声を絞り出す。
「そんなの暇だからだよ。」
少女は当たり前だと言わんばかりにあっけらかんと答える。
暇だから????
この少女はいったい何を言っているのだろう。一瞬自分の耳がおかしくなったのかと疑ってしまう。
しかし、そういうわけではないらしく、クラスメイト達も激昂して声を上げだす。
「ふざけんな!!!ぶっ殺すぞ!!!!」
「そうよ!いいから家に返して!」
周囲がざわつき始める。
すると少女の顔がどんどん曇っていき、ついに
「うるさーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!」
少女がそう叫ぶと同時に周辺に雷がいくつも降り注ぐ。
その衝撃に声を上げたクラスメイトが腰をぬかす。
「まったく、次は当てるよ?
別に君たちの代わりを召喚する事も出来るんだから無駄に死にたくなかったら静かにしてよね」
不機嫌そうに少女は続ける。
「僕は暇なんだ。
ずーーーーーーーーーーーーっとこの世界を管理してきたけどもう飽きちゃった。
エルノアの子たちだけの殺し合いなんてもう見飽きちゃったし、魔王作ったり、勇者を召喚して戦わせたりしたけどそれも終わって暇なんだ。
でも、勇者召喚はなかなか面白かったからたくさん召喚したらもっと面白いと思ったんだ!」
話しながら気分がよくなってきたのか少女は少しずつ笑顔になっていく。
「だからそう簡単に家に帰したりもしないよ?
それじゃあせっかく召喚した意味がないからね。
帰りたかったら勝つしかないよ」
意味の分からない理不尽なことを言われているが先ほどの雷の恐怖で誰も反論できない。
「もういいかな?
じゃあそろそろルール説明をしようか」
誰も何も言わないのを見届け少女は楽しそうに話し出す。
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