第1話 さよなら幸せだった日常
平凡な日常だった。
毎日高校に通って勉強をして友人と遊んで・・・
代り映えのしない平凡で退屈でそして幸せだった日常。
このまま普通に続くものだと何の根拠もなく思っていた。
でもそんな日常は終わりを告げた。
脈絡もなく唐突に。
そんな誠の最近の趣味は友人とのオフラインゲームだ。このオンライン全盛の時代にあえてレトロなゲームを家に集まってわいわい遊ぶ。そんなことをここ一ヵ月ほど毎日している。来月に控えた定期テストへの不安を心の隅に追いやりつつ、今日もまた授業が終わり机の上を片付けている友人に声をかける。
「ショウ、早く帰ろーぜ」
声をかけられた友人
「すまんマコト。モモちゃんに呼び出されてるから今日は厳しいかもしれん...」
モモちゃんとはこのクラスの副担任
「呼び出しって何かやらかしたのか?」
そんなことないだろうと思いつつとりあえず口にする。
「そんな訳あるか!・・・放課後ここに残るよう言われてるけど、理由まで訊いてないからどのぐらいかかるかわからん」
心外だと言わんばかりに言い返してくる。
その答えに笑いながらどうにかできないか考える。昨日ついにゲームがラストダンジョンに入ったところだ。出来ることなら今日中にクリアしたい。しかし、ずっとただ待っているのもつらいものがある。
「じゃあ30分くらい時間つぶして様子見にきてそれでも終わりそうになかったらそのまま帰るわ」
「申し訳ない...!」
そういって謝るショウに大丈夫だと返して教室から出ていく。
(まあ時間つぶせる場所なんて1つしかないよな)
外で待とうにも6月に入り蒸し暑くなってきた状況では厳しい。となると30分程度いることが出来て涼しい場所なんて図書室ぐらいしかない。そう考えて図書室につくと一番窓際の席に着き課題を広げる。やることもないしなと思いつつ課題を進めていく。
課題がある程度進んだ頃、予定の30分が過ぎていることに気付く。課題が終わらなかったことに心の中で溜め息をつきながら教室に向かう。
教室前の廊下につくと中の様子をうかがうためにドアのガラスから中を覗き込む。
すると自分の席について項垂れているショウと他にも何人か残っているのが見えるがモモちゃんの姿は見えない。不思議に思っているとショウがこちらに気づき手招きをしてくる。とりあえず中に入ってショウのところに行く。
「モモちゃんが来ない.....」
ショウは悲しそうに呟いた。
どうやら自分が30分課題をしながら待っている間、ショウはすぐ来るだろうと思って何もせず待っていたらしい。
「マジかよ...じゃあ今日は厳しそうか...」
そう言った瞬間
「ごめんお待たせーー!!!」
と叫びながらモモちゃんが勢いよく入ってくる。
「みんなごめんね。教頭先生に捕まっちゃって...」
謝りながら教卓に向かうモモちゃんを確認して教室を出ようとする。
すると突然教室の床が輝きだす。教室にいる全員が驚愕し戸惑っていると輝きはどんどん増していき、目も開けていられないほどになる。そして一瞬の浮遊感に襲われると光が徐々に収まっていく。
目を開けるとそこには、
雲一つない青空と一人の少女が立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます