第2話 まさかの新しい妹!?
明日は新しい母親との出会いに
翌日、学校が終わり急いで自宅に帰る。リビングの時計に素早く目を向けると時刻は丁度五時。
予約しているレストランまでは自宅から車で二十分弱で着くので、充分に部屋でくつろげる。
真は部屋に入り、ベッドに横ばいになり身体を休めることにした。
しばらくすると玄関のドアが開かる音が聞こえる。
父親が帰ってきた。部屋の壁に掛けられている時計を見ると六時を回っていた。
真はベッドから起き上がり、部屋から出て父親を出迎えた。
「お帰り、親父」
「ただいま、真。もう少し経ったらレストランに行くから準備しとけ」
「わかった」
父親は帰るとそのまま自室に入り、今夜着ていく服に着替えに行った。
真はスーツは持っていなかったため、学生服で行くことに決めていたので準備する必要は無かったのだ。
「そろそろいくぞ」
真は頷き、父親の車の
走行中の車から窓ガラスに目を向けると、ビル街の窓明かりがイルミネーションのように点々と囲んでいるような景色。
それからレストラン近くのパーキングエリアに車を止め、目的地まで歩くことになった。
目的地にたどり着いた真は今更、急に緊張がくる。
「こんばんは」
透き通った美しい女性の声が聞こえ、真は声のする方へ目を向けると黒髪の
「こんばんは
「初めまして
緊張のあまりか若干、口調が硬くなってしまった。なぜなら真が想像していたより遙か上をいくレベルの絶世の美女だったからだ。
服装はネイビー系のストレッチスーツにスカートの丈の長さが膝を少し隠すぐらいの丁度良い長さで、黒髪のロングヘアに二十代のような肌艶をし、スタイルもモデル並みの体型をしている。
「初めまして瑠依子といいます。ほら、あなたも挨拶しなさい」
なんのことかと思った真だったが、瑠依子の後ろに現れた人物に目が飛び出すほどの
白のパーティードレスに身を包んだ少女が現れた。
瑠依子と同じく髪が長いが前髪は片目を隠し、顔はそこそこ可愛く、瑠依子ほどではない体型だが真の通う高校の女子生徒よりは発育はとてもいいし、薄い桃色の綺麗な肌艶をしている。
「…………初めまし……て……
細々とした声音でうまく聞き取ることができなかった。
真と同じく人付き合いが苦手なタイプだと思った。
「あの……その子は」
クスッ、と美しい笑顔で瑠依子は微笑み、
「この子は私の娘です。一応、真くんとは歳は同じだけど、生まれたのは美琴のほうが遅いから妹になるね」
「そうなんですか。俺に妹ができるんですねハハハ――父さんちょっといいかな?」
真は父親の肩を強引に引っ張り瑠依子と美琴に聞こえない所まで連れて行く。
「なんだよ真!」
「なんだよ、じゃねえよ。娘までいるとは聞いてないぞ!」
「……あっ、言ってなかったけ」
(この父親は肝心なこと言わないとは……)
新しい母親ぐらいなら別に問題ではないのだが、娘がいるとなると話が変わってくる。真は大の女性が苦手なのだ。
学校でも常に男子生徒しか話さないし、女子生徒が近くにいると自らその場から離れて距離を置くのである。
これから血の通ってない少女と一生暮らしていくとなると緊張のあまり息が詰まりそうになる。
「あの。そろそろ中に入りませんか?」
瑠依子が困った様子でこちらに話しかけてきた。
立ちっぱなしで瑠依子達を待たせるわけにはいかないので話しを切り上げて、四人はレストランの店内に入ることにした。
中に入るとそこは日本にいるとは思えないほどの洋風の建築が施され、いかにも高級な装飾がされていた。
店の家具などは本場イタリアから購入し、内壁などのデザインもイタリア風に作られているので、イタリアに旅行に来ている感じに陥ってしまう。
ここで食事ができるなんて最高の気分になるはずの真だったが、ここの代金は全て新しい母親になる瑠依子が出してくれるとなると浮かれることができない。
それに新しい妹の美琴にも第一印象は最悪だと思われているに違いない。真は心の底から落ち込んでしまう。
料理は全てコース料理なため、食べ終わる頃に次々と高級料理が運ばれてきた。
真はこうゆう高級レストランには行ったこがない。せいぜいファミリーレストランぐらいな為、食事のマナーがわからない。
それに比べて瑠依子と美琴は緊張もせずフォークとナイフを使いこなし食事をしている。
「真君。あまり料理に手を付けていないけど、嫌いな物があった?」
「いいえ、そんなことないですけど、緊張してあまり喉が通らないだけですからご心配なく」
「緊張しなくてもいいのよ。これから私と美琴と仲良くやっていきましょう。さあ、どんどん食べなさい遠慮しなくていいのよ」
「そうだぞ。お前は遠慮しすぎるところがあるからな。」
「父さんはもうちょっと遠慮しろよ、バカ!」
「父に向かってバカとは何だ!」
二人の言い合いに瑠依子は微笑む。
その姿を見た真と父親は肩をすくめてしょんぼりした。
それからは瑠依子と食事をしながらたくさん会話をし、段々緊張が解れてくる。
だが、娘の美琴は一言も会話ができず最後のデザートを食べ終えて、店から出ることになった。
瑠依子達は電車で来たとのことで、父親が自宅まで送ることにした。
二人を車に乗せたのはいいが、瑠依子は助席で美琴と真の二人は後部座席に乗ることになった。
走行中も父親と瑠依子は仲良く会話を弾ませていたが、残り二人はお通夜状態みたいに会話ができず無言のままだった。
瑠依子の指示もなしに快適に車を走らせる父親を見て、どうやら以前に何度も自宅へとお招きされているんだとわかる。
車が止まり瑠依子達の住んでいる建物を見て、何度も目をぱちくりさせた。
何十階もある超高層マンションが目の前にそびえ建っていたのだ。
しかも瑠依子達は、そのマンションの最上階に住んでいるらしい。
まさかの逆玉になった親父を只々感服してしまう。一体どうゆう経緯で瑠依子と出会ったのだろう、と気になった真は二人きりになったら話を聞こうと思った。
「今日はありがとうございました。またね真君」
「はっ、はい! こちらこそありがとうございました。それとこれからもよろしくお願いします」
「はい。――ほら美琴も挨拶しなさい」
「…………ありが……とうござい……ました……」
瑠依子は美琴に挨拶するように
お互い挨拶もし終わったし、父親は車を発進させてその場から去り自宅へと帰るのだった。
新しい家族との再会で真はうまくやっていけるのか不安を抱きながら後部座席でその思いを抱いていた。
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