第三章 はじめての海賊(3)

 出港まえ、リスが教えてくれた数少ない情報は以下の通りになる。

 まず、船な五日間。それから、陸を丸一日かけて横断する。

 そこから、さらに船でビットの島へ渡る。その船については、ビットが地元の漁師に頼んでくれるらしい。つよいあてがあるみたいだった。

 ビットは約三か月かけて、いくつもの大陸を横断し、海を渡って俺たちの島に来たといっていた。

 てっきり、俺はその順路をさかのぼってゆくと思っていたが、リスに鼻で笑われた。「あわれな頭脳め」と、愚弄を放った後でいった。

「船でゆく」

 港で、その乗るだろう船を目の前で言われたので、わかりやすかった。

「あんたもそのくらいの金ぐらいあるでしょ」

 たしかに、あった。毎日、竜を払って働いている。ビットのとも合わせても、船賃ぐらいは充分に持っていた。

「だいたい、わざわざビットの来た道をさかのぼるなんて、そんな体力と精神を全力で使いそうな過酷な旅したら到着して白い竜とやり合えないでしょ」

 ごもっともだった。

「で、確保した客室は二つね」リスは指を二本あげてみせた。「あたしがひとりで一部屋使うから」

 乗る前、そうか、と思っただけだった。

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