■09 花見計画

「花見……いいですね!」


愛花は桜並木の途中にあった公園を思い出しながら俺の提案に賛成してくれた。


「あとちょっとしたら桜も枯れてしまうだろうし、じっくりと見ておきたいだろう?」

「もちろんです!」

「よし、どうせだから、みんなも誘ってみようか。愛花、梓ちゃん達の予定を確認してもらえるか?」

「わかりました」


愛花は軽く返事をすると、スマホを取り出し梓ちゃん達に連絡を取っている。




俺は樹や豊崎にメッセージを送ってみる。

―――――――――

『明日なんだけど、愛花と花見しようか。って話になったんだけど、参加できそう?』

『おぉ、楽しそうだな。こっちは春休みの勉強で気が滅入っていたところだ。是非参加させて頂きたい!』


『おっけー。明日の12時に学校の桜並木で集合な』

『了解だ』

―――――――――

樹の返答で、俺自身も春休みの勉強が残っている事を思い出し、軽く気が滅入ってしまった。

それはそうと、樹はとりあえず参加するようだ。




豊崎からも返答が帰ってきた。

―――――――――

『明日なんだけど、愛花と花見しようか。って話になったんだけど、参加できそう?』

『いきなりね。参加できなくもないけど、何時からする予定なの?』

『12時ぐらいかな。昼間が一番花見が楽しめる時間帯だって』

『りょーかい。それなら私も参加させてもらうわ。場所はどこでするの?』

『学校の桜並木の途中にある公園でする予定』

『あ、あそこね。りょーかい。何か用意するものある?』

『敷物とかは小物は俺たちが用意するから、花見で食べる弁当ぐらいは必要かな』

『わかったわ。それじゃまた明日ね』

『ほい』

―――――――――

豊崎も参加できるのを確認すると愛花に視線を移す。


「兄さん、梓ちゃんもアリサちゃんも参加してくれる、とのことでした」


愛花の方も参加してくれる様子だ。


「ちょうど部活メンバーが集まる感じになったし、梓ちゃんにも今日の進捗もついでに話しておこうか」

「そうですね、部活動もどんなものになるのか楽しみです!」

「だな、それじゃ食べ終わったことだし、俺が片付けておくよ」

「分かりました。いつもありがとうございます兄さん」


愛花と食後の話もひと段落したので、俺は食事の後片付けをし始める。




朝もそうだったが、食事の片付けは基本的に俺がするようにしている。

美味しい食事を作ってくれる愛花に少しでも感謝を伝えたいと思い、少し前から行っている習慣だ。

俺は食器洗いや片付けを終えた後、机に座ってテレビを見ていた愛花に声をかける。


「明日の花見の弁当だけど、今日買った食材じゃ足りるか? 足りないなら買いにいくけど」

「問題ないと思います。あ、でもお弁当作りすぎちゃった時は……またお願いさせてもらいますね」

「おっけ。それじゃ俺は部屋に戻るから何かあれば呼んでくれ」


俺は愛花にそう伝えるとリビングから出て俺の部屋に向かう。

部屋に入り机を確認すると、早朝のまま何も変わらない状態で宿題の山が転がっている。

俺はため息交じりで机に座り、宿題に手を付け始めた。




ひと段落したタイミングで俺はコーヒーを入れようとリビングへと足を向ける。

リビングに到着すると、テーブルに突っ伏して寝ている愛花がいた。


「愛花―、そのままだと風邪引くぞー」

「……う~ん……」


全く起きる気配がない。

俺は起こさないようにテレビを消し、すぐさま風邪をひかないように棚からブランケットを取り出し愛花にそっとかける。

ふと愛花の寝顔が視界に入る。……うむ、天使の寝顔とはまさにこのことだな。




静かにコーヒーの用意しながら時計を見ると短い針が9時を指しており、集中して勉強をしていたようだ。

すると、愛花の目を擦りながら体を起こす。


「……あれ? 兄さん?」

「あ、すまん。起こしちゃったか?」

「私、寝ちゃってましたか。それにこれ……ありがとうございます兄さん」


愛花はブランケットを掴むと俺に向かってお礼を言ってきた。


「どういたしまして。眠たいなら自分の部屋で寝た方がいいぞ」


俺は、沸騰したお湯をコーヒーの粉を入れたマグカップに注ぎながら話す。


「そうですね。それじゃお風呂に入って早く寝ちゃおうと思います」

「わかった。俺も後で入るから風呂あがったら残しておいてくれ」

「りょーかいです兄さん……ふぁ……」


愛花は小さく欠伸あくびをしながら脱衣所に向かっていった。

それからコーヒーの入ったマグカップを持って部屋に戻り、宿題に戻ることにした。




しばらくするとドアのノックする音が聞こえてきた。


「兄さん、今大丈夫ですか?」

「大丈夫だぞ」


扉が開くとパジャマ姿でタオルを首にかけた愛花は入ってくる。


「勉強していたんですね、さすが兄さんです」

「春休みの宿題の残りだけどな」


愛花は髪を下した状態で普段と見た目が違い、更に風呂上りで色っぽい。

俺は愛花に動揺しているのを気づかれないように要件を聞く。


「それでどうかしたか?」

「はい、お風呂を頂いたので兄さんも寝る前に入ってくださいね」

「わざわざ悪いな。後で適当に入って片付けておくよ」

「よろしくお願いします。それじゃ私はそろそろ寝ますね」

「おぅ、温かくして寝ろよ」

「……おやすみなさい兄さん」


愛花が部屋を出て行ったあと、部屋の中に愛花の残り香が残る。

それから間もなく、良い感じに眠気が襲ってきたので風呂に入ることにした。

俺は体をサッと洗い、湯船に入る。湯加減などは丁度良く非常に気持ちのいいフワフワ気分でお風呂を堪能した。




部屋に戻った俺は、机の上に置かれた春休みの宿題を片付け、ベットに腰掛ける。

昨日とは違って寝落ちではないので、明日の朝はしっかり起きる為にも目覚まし時計をしっかりとセットしておいた。

部屋の明かりも暗くしてベットに入り込み、目を瞑り意識を手放す。

明日は花見だ。最高に楽しみである。


――――――――――――――――

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