第3話 人権シンガイなんてケンポー違反よ!
「ちょっと
「どうしたんだい
「なんか弁護士さん?がトーベンショ?を作ってくれたら、訴えを取り下げ?取りやめ?でなんか裁判なくなっちゃったみたい」
「……どうせ司法書士か何かの口車に乗せられて濫訴してたんだろうな……」
「そんなことより、大変なのよ! 彼、バイト先でいわれなき差別を受けてるのよ!」
「どこでそんな難しい言い回しを覚えてきたんだい。差別って? 部落問題とか?」
「飲食店だから髪を染めるのはダメっていうのよ!」
「……今回は法律関係なさそうだね。じゃあ僕の出番はナシっと」
「関係大アリよ! こんなのケンポー違反じゃない!」
「はい?」
「個人にはシソーシンジョーの自由ってやつがあるのよ! お店がバイトに髪を染めるなって言うなんて、キホンテキ人権に反した差別だわ!」
「……そうですか」
「人権シンガイよ! 絶対に訴えてやる!」
「彼氏さん、別の職場に移ればいいじゃない」
「なんで悪いことしてない彼のほうが我慢しなきゃいけないのよ! 店長のほうがキホンテキ人権をソンチョーすれば済むことだわ!」
「彼氏さんが解雇とかの実害を受けたら労働審判で争えばいいよ」
「解雇? クビになってからじゃ遅いのよ! 今すぐケンポー違反で裁判を起こして差別をやめさせなきゃ!」
「律子ちゃん、君は一体どこまでのレベルで法律をわかってないんだい?」
「そう言われると思って今回はちゃんと勉強してきてるもんね! ケンポーに反する行為は裁判でイケンシンサをしてもらえるのよ!」
「はいはい、それどこかの裁判所で聞いてみたの?」
「彼の元カノの件が終わったときに、ショキカン?の人に言ってみたんだけど……カンイ裁判所?じゃ受け付けられないって」
「弁護士さんの事務所で恥をかく前でよかったね」
「まだサイコーサイがあるわ! サイコーサイは憲法に違反してないか判断してくれるんでしょ!?」
「なんで律子ちゃんは中途半端にそんなことだけ知ってるんだよ。知らないなら何も知らないで通してよ」
「彼氏の一大事だから頑張って勉強したのよ!」
「わかった、わかったから、君はこの入門書で
「……ケンポーの……
「……はぁ……こんな子にも基本的人権が保障されてるって世も末だよ。おっといけないいけない、差別は憲法違反だ……」
【問題】
・律子ちゃんがどのレベルで法律をわかっていないのか検討してみましょう。
・憲法の私人間効力を認めるロジックとして、間接効力説、直接効力説のどちらが優れているか検討してみましょう。
・国家同視説(ステイトアクションの法理)について、米国の法体系と比較しながら日本での適用の可否を検討してみましょう。
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