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 夜中にやって来る巨大キツツキが私の身体をつつくので、きっとあざになっているだろうと思うけれど、身体の裏側にある痣を私自身は確かめることができない。それで私は私の痣がせめてうんと綺麗な色で、私の背中を彩っていてくれればいいと願うようになる。いつか雑誌で見かけた外国の庭の、可憐なすみれの花のことを思い浮かべて、私の背中にも同じように美しい花が咲いているのを想像する。私の悲鳴を養分にして、私の骨を軋ませて、私の内臓を絞り上げて、花は育つ。花は誰に見られなくとも花で、そこに咲いている。そのことを教えてくれたのは誰だったろう? いつかの私は長い山道を下っていて、踏み外さないように自分の靴の先ばかり見ていた。けれど、ふと道を外れた木立の奥へと目をやれば、輝くばかりに白い百合が咲いていた。その清廉さは、誰かに見い出され、称賛されるためではないのだった。私が見つける前から、見つけなくとも、通り過ぎてからも、花は勝手に咲いて、勝手に枯れていくのだ。そのことを知っている私にはもう、どんな寂しさも恐るるに足りないことである。だけど、あの百合の花を指さしたのは、誰だったのだろう? 服に跳ねた泥ばかり気にする私を呼んで、無邪気に微笑んだ、あのひとはいったい誰だったのだろう? そうして、何故そのひとは、今はもう私の隣にいないのだろう? 答えはすぐそばにある気がするのに、部屋じゅうに甘い匂いが漂っていて、私はそれ以上考えることができない。背中の花がとうとう香るようになったのだ。だとすれば憂うことなど何もない、苦痛はすべて背中の花が吸い上げて、見たこともないすみれの色に変えてくれる。私はすっかり安心しきって、あの大きな鋭い嘴を、両手を広げて待っている。


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2022.9.19 #?????? ガーデンヴァイオレット

ガーデンヴァイオレットは『無い』色とのことです。

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