第12話 異世界でも中間管理職?
マル秘 おまけ★には、こんなマル秘が載っていた。
【ヴェスファードのチートその①無限収納機能『ぽいっとボックス』
亜空間に収納重量無制限、呼べば亜空間から瞬時に取り出し可能!生ものや食べ物を入れても零れない空間安定機能、腐らない時間停止、防腐機能搭載!但し動物や人間は入れちゃ駄目だぞ☆彡
ヴェスファードのチートその②検索機能『ウキウキペディ』
困った時は検索を呼び出しましょう!異世界の情報も随時更新中!勿論この世界の情報も最新の情報をご提供!但し年齢制限のある検索はNGだよ☆彡
ヴェスファードのチートその③全魔法使用無制限機能『マジックかけ放題』
魔力量は∞、苦手な属性も皆無!全属性に対して魔力抵抗値は最大。魅了や毒、呪い耐性も最大値だよ☆彡攻撃魔法の最上級位の暗黒魔法と大浄化魔法が使えるオマケつき】
う~ん?チートの説明ページは、ほぼ私のと一緒だけどこの最後の暗黒魔法と大浄化魔法ってなんだ?浄化は兎も角、暗黒は絶対にヤバイと文字からも滲み出る何かで、不安を煽られる。
そして殿下の小説本には、私の袋とじには無かったページが続いている。
【ヴェスファードにお願いしたいこと】
「!?」
その一文に驚いて本から顔を上げると、ヴェスファード殿下の顔を見た。
殿下は優雅に足を組まれていて、私をニヤニヤしながら見ている。
「本のおまけを先に読んでも構わないし、俺の話を先に聞いても構わないよ?どうする?」
私は本とヴェスファード殿下の顔を交互に見比べてから、決めた。
「殿下のお話の方を先にお伺いしても宜しいでしょうか?」
殿下は頷かれた後に姿勢を正してから、真っ直ぐに私を見た。
「まず先に……この話はあの付喪神の話を聞いて、俺が推察した考えが入っていることを念頭に置いてからよく考えて聞いて欲しい」
殿下の推察?何だか分からないけど、取り敢えず頷いて見せると殿下は話し出した。
「付喪神から自分が死んでしまった事、召喚やら小説やら荒唐無稽な話を聞き終わった後にこう告げられた」
殿下は一旦ここで言葉を切るとお茶を一口飲んだ。
「この話をするのは転生待ちの人の中で俺が一番最後だということらしい。まず最初は女性から順に話をして転生先を決めて行った。そして女性陣の一番最初の人物と話していて気が付いたと……物語のシナリオに影響の無い人物を転生先に選んではいたが、それでは絶対にシナリオが破綻してしまう。小説から生まれた神である我が身は物語の中のキャラクターの想いも吸収して糧にしているので、小説の中の世界が崩壊するようなことになると、神自身も消滅してしまう可能性があるという事……ということを付喪神に聞かされた。さて……ここで何か気にならないか?リジューナの順番が来るまでに一体何があったのか」
何故か問い掛けてきたヴェスファード殿下の言葉に、暫し考え込んだ。
女の子から先に、転生や召喚の話をしていったってことよね?それで悪役令嬢の疑い?のある、リジューナ=オーデンビリアが皆から避けられたと。ん?……えっ?ちょっと待ってよ?
何か……誰か忘れてない……女性?この小説の中の話を先ずは誰に話すかって言ったら……
「主人公の真緒が最初?」
思わず呟いた私に、ヴェスファード殿下は満面の笑みを見せた。
「そう、そうなんだよ!付喪神は主人公として召喚してしまった女性にまず最初に会って今回の説明をしたそうなんだ。そこで大きな間違いに気が付いた」
「大きな間違い?」
ヴェスファード殿下が前のめりになったので、私もつられて前のめりになった。
「一般人が台詞丸暗記でましてや、演技をつけてなんて演じることなんて出来ないことを……だよ!」
「そう……そうかっ!!」
そうだ、忘れてたっ!!主人公の真緒のモデルになった女の子を本当に召喚してしまった、と自称神様が言ってたじゃないかっ!!
「その女性の事を便宜上、真緒と呼ぶことにするね。その真緒にこの事態を説明しながら付喪神自身もこのままではマズいと思い始めたんだって。真緒に台詞を覚えてキャラクターになり切って欲しいと言ったら無理だと、言われてしまったそうなんだ」
「そりゃそうでしょ……」
自称神様の無茶な言い分もおかしいとは思うけど、一般人の真緒にキャラクターを演じろなんてハードルが高過ぎる。
「そうだよなぁ、そんな細かい人間の機微が分からないあたりが付喪神なのかな~とも思うんだけど、それでだ。付喪神は真緒に何とか主人公として物語の中でシナリオ通りに生活して欲しいと願ったそうなんだが、真緒は小説を読んでもくれないし、全く話を聞き入れてくれなかったそうだ」
「あ……お察し」
ヴェスファード殿下も、唸りながら腕を組んでソファーに深く腰掛け直した。
「ホントそうだよぉ~真緒から早くイケメンと会わせろと騒がれて渋々転生の手続きをしてから、暫く悩んだそうだ。それで思いついたと言っていた」
「何を思いついたのでしょう?」
「適材適所」
「はぁ?」
「主人公は諦めて、周りを地固めする作戦にすることにしたんだって」
「地固め……」
ヴェスファード殿下はお手上げ~みたいなポーズをした。
「はぁぁ~死んでからも出来ない部下の尻拭いをさせられるなんて、お互いツイてないよね」
「……」
これは……私とヴェスファード殿下が
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