「赤いたぬき」と「緑のきつね」

特技は穴掘りナノ

第1話 「赤いたぬき」と「緑のきつね」

 俺の名前は、星野敬太、国立大学文学部の3年生だ。


 今、俺の両親は、アメリカのニューヨークに出張中だ、

だから、高校3年生の妹、星野夢見と二人暮らしだ。


 一応、俺も妹もそこそこ学業の成績は良い。


 今日は、2021年4月16日(金)だ、

明日からは、学校も休みで、妹と近所のスーパーに来ている。


 日本のスーパーは大抵、金曜日から日曜日まで、

ちらしを打って特売をしている。


 さらに、メーカーが売りたい、新商品なんかも並ぶ。


 スーパーでは、そういった商品が、エンドゴンドラ、

と呼ばれる、目に付き易い場所に、祭事として並べられる。


 大抵は、飲料、菓子、インスタントラーメンが並ぶ。


 俺は、インスタントラーメンは、日本が世界に誇る、

発明品だと思う。


 そんな俺は、スーパーのエンドゴンドラを見た。


 「お、今回の特売は、赤いきつねと緑のたぬきか」

 「ちょうど、家のストックが無くなってきたので買っておくか」


 「おーい、夢見、お前の好きな、赤いきつねが特売になってるぞ」


 「あ、買う買う、あれ御出汁が効いていて美味しいんだよね」


 実は、俺はどちらかと言うと、緑のたぬきの方が好きだ、

まあ、両方特売しているみたいだし、両方買えば問題ないか。


 俺は、まず赤いきつねを手に取った。


 「ん? なんかこれ違くないか?」


 「赤いたぬき? はあ? たぬきは緑だろ」


 「おい、夢見これちょっと見てみろよ」

 「赤いたぬきて書いてあるぞ」


 「えー、どれどれ?」

 「あ、本当だ赤いたぬきって書いてある」


 「あ、これ前にやっていた赤緑合戦 のやつだ」


 「何それ? 俺知らんぞ」


 「家に帰ったら、説明するから、これ大人買いしよ!」


 妹の夢見は、手を振って店員を呼んでいる。


 「これ、箱買い出来るんですよね」

 「これとこれ、1ケースづつください!」


 「はい、かしこまりました」


 「おいおい、誰が持っていくんだよ」


 「もちろん、お兄ちゃんに決まっているじゃない!」


 こうして、俺は家まで荷物持ちをさせられた、

店員さんが、丁寧に持ちやすいように紐掛けをしてくれて助かった。


 家に帰った、俺たちはさっそく食べるべくお湯を沸かし始めた。


 「あ、これ赤いたぬきが熱湯5分で、緑のきつねが熱湯3分なんだ」


 「お兄ちゃん、どっち食べる?」


 「そうだな、そばの緑のきつねかな」


 「じゃあ私は、赤いたぬきの方にするね」


 「じゃあ、出来るまでの間に、説明してあげるね」


 「2018年から始まった『あなたはどっち!?食べて比べて投票しよう!』

というキャンペーンがあって」 「赤いきつねが、2年連続で優勝していて」


 「『赤いたぬき天うどん』や『もっと赤いたぬき天うどん』ていう限定品を出してるの」


 「で、今年が、第3回目で、常勝赤いきつねが、今回も勝つと思われたんだけど」

 「なんと、びっくり、緑のたぬきが、僅差で雪辱して優勝したのよ!」


 「あ、そっちの緑のきつね、もう時間じゃないの?」


 「おお、そうだな、じゃあお先にいただきます」


 「それで、たぶん今回緑のたぬきから、和解案が出て」

 「赤いたぬき」と「緑のきつね」が出たんだと思うわ。


 「だから、パッケージに和解記念て書いてあるじゃない」

 

 「おお、確かに書いてあるなあ」


 「それで、お揚げと天ぷらを交換した訳だ」

 「でもよう、これただ交換したんじゃないぞ」


 「そっちも、もうできてるんじゃないか?」


 「俺の緑のきつねの方は、ちょっとだが小えび天ぷらが入っているぞ」

 「そっちは、どうだ?」


 「あ、こっちは、刻んだお揚げが入っているよ」

 「なんか、トッピングが増えていて、ちょっと得した気分」

 

 「これ開発した奴、結構、芸細かいなあ」

 「こうゆうところが、日本人のこだわりなんだよなあ」


 「うん、そうだね、ちゃんとつゆも合わせてきているみたい」

 「こっちは、こっちで美味しいね」


 「そうだな、美味しいな」

 「日本に生まれてよかったな」


 「両親について、アメリカ行っていたら、

これ食べられなかったね」


 満足した2人は、その後もあーだ、こうだーと、

喋りながら就寝しゅうしんしましたとさ。

 

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