異世界帰りの美少女亜神は最強の神技「時空間操作」を使って人類の守護者になってみる

第74話 水無瀬亜希子

【３５７日目　１０月３１日　午後７時半頃　千葉県木更津市】

「そういえばアリスちゃんって時空神なんでしょ？　さっきの『治癒』って凄い魔法だった。聖属性なのかな？　だったら時空属性の魔法ってあるの？　例えば『火弾』が火属性の魔法、みたいな？」

　……魔法の話……ちょうど良い、時空属性の解説をきっかけにしてあの話に持っていこう。

「えーと。いちおう私の認識では『治癒』は聖属性でも魔法でも無いよ。生命体干渉と時空間操作を組み合わせた神技だよ。

今まで美咲ちゃんには詳しく説明してなかったけど、私が美咲ちゃんに転写した魔法とか身体強化の魔術ってのはね、標準宇宙の基本構造に後付けされたアプリケーションみたいなもので、その大元は神力なんだ。

時空間操作、エネルギー操作、ベクトル操作、物質創造、生命体干渉、精神構造体干渉そして神域干渉。これらの神技を組み合わせて、ごく弱い力で行使できるようにパッケージ化したものが魔術なんだ。

で、時空属性の魔術ね……時空間操作の割合が多い魔術から順に並べると反応速度、遠視、神託、回復、闇弾、ってところかな。

でも、実は時空間操作の割合が最も多いというか、ほとんど神技であると言える魔術があるんだ。

それは美咲ちゃんが使える『神楽』の瞬間移動だよ」

　私は美咲ちゃんをビシッと指差しながら魔術「神楽」の特殊性を指摘した。

　だって瞬間移動なんて今の私にも出来ない超超技術だからね？　まるっきりレベルＳクラスの神技だから。神としてのレベルがアップした後は私も出来るようになるけどさ。

「時空間操作系の魔術は破格の性能のものが多いけど特に『神楽』『反応速度』『遠視』はぶっ壊れ性能だと思うよ。この三つを全部使える巫女の美咲ちゃんは凄いんだよ！」

「えへへ、そうなの？　ちょっと嬉しいかも！　私を巫女にしてくれてありがとうアリスちゃん！」

「ははは！　どういたしまして！　

あ、そうそう、時空間操作系の魔術で破格なのがまだあったわ。『老化緩和』。

これはある意味ぶっ壊れもいいとこだね。これも美咲ちゃん持ってるからね？」

「そうなの？　そういえば確かに持ってるけど、どんな魔法なのかは詳しくは知らなかったな。どんな魔法なの？」

「エヘン。では美咲ちゃんが持ってる『老化緩和６』について説明しましょう。

例えば私が１００歳まで生きる基礎的な生命力があったとします。すると。老化緩和６を使うと生存可能期間が６４００年となります。

今私が老化緩和６を使うと身体年齢１７歳が６３００年続きます。その後に普通に老いていく。分かります？」

　私の説明を聞いていた美咲ちゃんと美咲ちゃんのお母さまの二人が驚愕のあまりフリーズした。

……

……

「……それは、わたし水無瀬亜希子が使えば４５歳が６３００年間固定されてその後普通に老いていく。合ってます？」

　美咲ちゃんのお母さま、水無瀬亜希子さんが遠慮がちに聞いてきた！

　お母さまは「老化緩和」持ってないから関係は無いんだけど、こんな話聞いて平静ではいられないよね。そりゃそうだよ。

「はい。その通りです。合ってますよ♡」

　私は大きく頷く。

「あのーアリスさん？　お願いなんですけど……私にも頂けませんか？　その魔術？　美咲も持ってるらしいし娘が使える『破格な魔術』は母親として確認しておく必要があるかな〜なんて。お願い？」

　美咲ちゃんのお母さまは私に可愛くお願いしてくれた！

　まあ、これは想定内。こんな破格のぶっ壊れ魔術は欲しくなるよね？　無理もないです。

　最初から上げるつもりだったし美咲ちゃんとほぼおんなじ顔で可愛くお願いされたらお断りなんてできません。進呈させていただきましょう。でも、こっちからもお願いをーー

「はい、実はですね。お母さまにちょっとお手伝いして欲しいことがあるんですけど、それで良ければ老化緩和、その他の魔術もお渡ししましょう。まずはこれを。

お母さまに魔術転写ーー『ステータス』『念話』『神託』」

名前　水無瀬亜希子　

種族　人（女性）　

年齢　４５歳　　体力Ｇ　　魔力Ｆ

魔法　ステータス５　念話５　神託５

身体強化　ー

スキル　ー

死霊スキル　ゾンビ化Ｃ　ゾンビ修復Ｃ

　　　ゾンビ再生Ｃ　ゾンビ強化Ｃ　

称号　主婦　元死霊使い

「いまお母さまに魔術を三つ転写しました。美咲ちゃん、お母さまに魔術の使い方を説明してくれる？

あとこれをお渡ししておきます」

　私は「魔法を使えるようになる淡く輝く球体」を亜空間ルームから取り出すと美咲ちゃんのお母さまに手渡した。首にかけるペンダントタイプ。

　さて、美咲ちゃんが魔術の説明をしてくれている間に東京のエマ園長たちに電話して状況確認でもするかーー

♢

　エマ園長との電話が終わった後でお母さまと美咲ちゃんには、お母さまが保有している死霊スキル（ゾンビ化Ｃ　ゾンビ修復Ｃ　ゾンビ再生Ｃ　ゾンビ強化Ｃ）と称号（元死霊使い）の事を検証したいので協力して欲しいことをお願いした。要するに死霊スキルを持っていてくださいという事。

　二人は暫く話し合ってたけどお母さまの心は決まってたみたいで是非お願いしますとの事だった。そこで美咲ちゃんからお願いが。

「それでね、アリスちゃん。亜神アリスの使徒、巫女の枠は厳しいのは分かってるから御子柴くん達の『司祭』みたいなのでいいのでお母さんに何か肩書き貰えないかな？　できればカッコイイやつで」

「うーん。肩書き……たぶん戦闘には加わらないから軍団の階級は変だろうし。

……そういや御子柴君と伊集院君は『司祭』だったから彼らの上位者として彼らに対する指導をしていただくというのはどうかな？　

美咲ちゃんのお母さまなら彼らも文句言えないだろうし。このまま彼らを野放しにしておくと伊集院君が亜神アリス教の教皇になりかねないからね、不安を感じざるを得ないよ。

だから、えーっと。『司教』ですね。美咲ちゃんが巫女だからちょうど良いかも？」

「うわー素敵な肩書きをありがとうアリスちゃん！　お母さんもよかったね！　『司教』様だって！　カッコいい！」

「アリスさんありがとうございます。この水無瀬亜希子、『司教』として頑張ってお手伝いしますよ！」

「はい、よろしくお願いします！　

ではお母さまに魔術を転写しましょう。女性だし主婦でもあるので巫女である美咲ちゃんタイプの構成にしておきますね。要するに攻撃魔法を使えない巫女タイプです。美咲ちゃんが魔術の使い方を教えてあげることができて都合も良いです。

……では、お母さまに魔術転写ーー『巫女』タイプの魔術セットを転写！」

　私は二人にニッコリと微笑んで魔術の転写を開始する。

名前　水無瀬亜希子　

種族　人（女性）　

年齢　４５歳　　体力Ｇ　　魔力Ｆ

魔法　回復５睡眠５ステータス５

　　　暗視５遠視５隠密５浄化５結界５

　　　探知５魔法防御５念話５飛行5

　　　神託５悪魔通信５竜通信５

身体強化　筋力６持久力６衝撃耐性６

　　　睡眠耐性７麻痺耐性７毒耐性６

　　　恐怖耐性９嘔吐耐性９

　　　反応速度５防御７老化緩和６

スキル　ー

死霊スキル　ゾンビ化Ｃ　ゾンビ修復Ｃ

　　　ゾンビ再生Ｃ　ゾンビ強化Ｃ　

称号　主婦　元死霊使い

　　　亜神（時空）アリスの司教

名前　水無瀬美咲

種族　人（女性）　

年齢　１７歳　　体力Ｇ　　魔力Ｆ

魔法　神楽５回復５睡眠５ステータス５

　　　暗視５遠視５隠密５浄化５結界５

　　　探知５魔法防御５念話５飛行5

　　　神託５悪魔通信５竜通信５

身体強化　筋力６持久力６衝撃耐性６

　　　睡眠耐性７麻痺耐性７毒耐性６

　　　恐怖耐性９嘔吐耐性９

　　　反応速度５防御７老化緩和６

称号　リーナ・フィオーレに憑依している地球人水無瀬美咲の魂の複写元となった人物。

　　　亜神（時空）アリスの巫女長

　よし、ちゃんと出来た。さっきエマ園長に聞いたら木更津方面に死霊使いは居ないらしいので、念のためにお母さまにも亜空間コントローラーとＭ４カービン型個人携行神器そして戦闘用軍装を渡しておけば自己防御能力としては大丈夫でしょう。早く東京に戻ろう。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

以上で第５部　死霊使い編は終了。

次話　

幕　間　「０７５　ハロウィンの夜」　

第６部　首都緊急事態編「０７６　魔女の箒」