異世界帰りの美少女亜神は最強の神技「時空間操作」を使って人類の守護者になってみる

第69話 右手の怪我

【３５７日目　１０月３１日　午後７時頃　千葉県木更津市】

　千葉県木更津市の県立Ｋ高校に通う高校二年生、水無瀬美咲（１７歳）は女子バスケットボール部で部活に一生懸命の女子高生である。

　色白でスポーティ、健康的な美少女であるうえに性格が良くてフレンドリーな美咲は学校でも男女を問わず人気者で高校生活を謳歌していた。

　しかし美咲にはクラスや部活の友達、そして両親にも秘密にしていることがあった。

　類まれな美少女高校生、水無瀬美咲は亜神（時空）アリスの「巫女」なのである。

名前　水無瀬美咲

種族　人（女性）　

年齢　１７歳　　体力Ｇ　　魔力Ｆ

魔法　神楽５回復５睡眠５ステータス５

　　　暗視５遠視５隠密５浄化５結界５

　　　探知５魔法防御５念話５飛行5

　　　神託５悪魔通信５竜通信５

身体強化　筋力６持久力６衝撃耐性６

　　　睡眠耐性７麻痺耐性７毒耐性６

　　　恐怖耐性９嘔吐耐性９

　　　反応速度５防御７老化緩和６

称号　リーナ・フィオーレに憑依している地球人水無瀬美咲の魂の複写元となった人物。

　　　亜神（時空）アリスの巫女長

　今年の５月。転校して今は埼玉県Ｔ市に住んでいる親友の如月茜ちゃんから紹介してもらったアメリカ人高校生アリス・コーディ、実は異世界からやってきた亜神（時空）アリス。彼女に気に入られて「巫女」にしてもらえた。

　ステータスの称号には「亜神（時空）アリスの巫女長」となっているのは「巫女」の責任者って意味らしい。アリスちゃんの「巫女」は地球では私だけだから責任者と言われてもピンとこないけど。

　それ以来、女子バスケ部の部活がない時は埼玉県にあるアメリカ大使館直営保育園で如月茜ちゃんと一緒に保育のバイトをしている。

　この保育のバイトは意外と楽しかった！　もしかして、私って保育士に向いているのかな。

　いままで将来やりたい仕事も夢もあんまり真剣に考えてなかったけど、このまま大使館のバイトを続けて保育・幼児教育系の大学に行って、保育士か幼稚園教諭になるのもいいかな～

　今は大使館公用車に乗ってアクアラインの海底トンネルを抜けて海ほたるを通り過ぎ海の上を走る高架道を走っている。自宅到着まであと２０分くらいかかるかな……

　大使館直営保育園へのバイトの行き来は大使館の公用車で送迎という特別待遇なんだ。

　申し訳ないから辞退しようとしたけどアリスちゃんが「いいよいいよ、車使わなかったら片道３時間くらいかかるよ？」って言われて甘えてしまっている。凄く助かってる。

　大使館公用車がいつものように自宅の前に停車してくれたのでお礼をいってから下車して自宅に入っていく。

　夕方の５時にバイトを切り上げて帰宅したけど時刻は既に夜の７時。埼玉県と木更津は遠いからしょうがない。

「ただいま～　疲れた～！　お母さん、晩御飯は何～？　この匂いはカレーかな？」

「おかえり美咲ちゃん。晩御飯はみんな大好きカレーですよ～　お父さんはお仕事で名古屋に行ってるから来週の火曜までは居ないからお母さんと美咲の二人だけよ。手を洗って着替えてらっしゃい」

「うん、わかった」

　自分の部屋に行ってからリビングのテーブルの椅子に座っていただきますをして晩御飯を食べ始める。

「あれ？　お母さん、右手の甲どうしたの？」

「ああ、これね。今朝家の前あるいてたらね、カラスが襲い掛かってきたのよ。顔に向かって飛んでくるから手で防いだら爪で引っかかれたみたいで血が出ちゃった」

「ええ！　大丈夫？　病院行った？」　

「日曜日だから行ってないけどね。ま、大丈夫よ。ちょっと引っかかれただけだから」

「ふーん、大丈夫かなあ。病院に行った方が良いと思うけど。カラスってばっちいよ？　病気になるかも」

　とか言いながら、カレーを食べながらちょっと考える。

　私は亜神（時空）のアリスちゃんに「巫女」にしてもらった。巫女って称号だけ見ると病気を治したり怪我を治療したりできるように見えるけど、回復系で使える使える魔法は「回復５」という魔法だけ。

「巫女」は魔法「神楽」を使って魔力の全回復と神の降臨（瞬間移動）という二つの特殊魔法が使える特殊なジョブなんだ。

　この「回復５」は自然回復速度を加速させるだけで病気やケガを確実に治せる魔法ではない。アリスちゃんなら生命体干渉「治癒」という神技が使えて、どんな病気も怪我も、たとえ死んでいたとしても生き返らせることが出来るらしい。凄い。

　……カラスの爪で引っかかれた怪我なんてヤバいよね。なんで病院に行かないんだろう？　そうだ！　私は「浄化５」という魔法を持っている。これは殺菌とかできる魔法なんだ。

　以前に部活のとき擦りむいた膝を「浄化１」で殺菌して「回復５」を掛けたら一時間くらいできれいに治ってしまった。茜ちゃんにちょっとした擦り傷はこのやり方で問題ないって教えてもらったから試してみたんだ。

　私が魔法を使えるってのはしばらくは秘密にしたいからこっそりお母さんに「浄化１」をかけてあげよう。「回復」は回復速度を早めるから目に見えて変だって気づくかもしれないから様子見で。

　魔法「浄化」は指向性の魔砲弾を狙ったところに打ち出す準攻撃魔法だ。

　通常の攻撃魔法の魔砲弾はそれ自体に破壊力があるんだけど「浄化」「睡眠」「麻痺」などの準攻撃魔法の魔砲弾には破壊力は無い。全部茜ちゃんに教えてもらった。

　ちなみに攻撃魔法の魔砲弾の破壊力はこんな感じらしい。

　攻撃魔法のレベル毎の破壊力

レベル４攻撃魔法　７．６２ｍｍ小銃弾

レベル３攻撃魔法　９ｍｍ拳銃弾

レベル２攻撃魔法　２２口径拳銃弾

レベル１攻撃魔法　非殺傷ゴム弾

レベル０攻撃魔法　攻撃力なし

　この破壊力に加えて魔法属性効果が追加される。光弾の場合には目が眩む閃光を発するし風弾の場合は大きな爆発音だ。

　「浄化」の魔砲弾って、淡い光を放つんだけど、部屋が明るいし魔砲弾の速度もそれなりに早いから気付かれないと思う。

　レベル１攻撃魔法の弾体速度は時速１２０～１３０ｋｍ程度、普通の高校野球のピッチャーの球速くらいなんだって。それに消費魔力も私の総魔力の0.2パーセント程度しか消費しないから微々たるもの。２分くらいで自然回復してしまう。これも茜ちゃんが言ってた。

　ではお母さん、消毒してあげるよ。声を出さずに……「浄化１」

「浄化１」の魔法弾がお母さんの右手の甲に着弾する。

「ギャー！！！！」

　お母さんが凄まじい叫び声をあげて椅子から転げ落ちて苦しみだした！