第21話 告 白

【139日目 東京時間4月25日(月)1400頃 北太平洋上空】



「……アリスちゃんアタシに何か重大な隠し事があるんだね?」




「あうあう、そそんなことないよう。茜ちゃんに隠し事なんて〜」


「アリスちゃん? アタシをよく見て。アタシもアリスちゃんに言ってないことがあるのよ。別に隠していた訳じゃないけど言わなかったのはアリスちゃんと同じだから。『ステータス5』を使って私を見て」



 私とミラ副園長は一瞬硬直して茜ちゃんを見つめる。茜ちゃんのステータス!



名前 如月茜

種族 人(女性) 

年齢 16  体力G  魔力F

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 隠密5窃盗5気配察知5

   お宝探知5罠解除5死んだふり5

   身体強化5毒耐性5麻痺耐性5

   加速5短剣術5格闘5投げる5

   アイテムボックス5鑑定5

   異世界言語(万能)

称号 帰ってきた女盗賊







「あああ、茜ちゃん? あのー茜ちゃんは……異世界に行って帰って来たってことなのかなあ?」



 茜ちゃんは大きく頷いた。



「そうなのよ。今年の一月、前の学校で三学期の始業式の途中にね」



「そうなの? それで茜ちゃんは『鑑定』って持ってるけど私達のステータスは見た?」


「うん見ちゃった。今回のアメリカ渡航で余りにも凄い扱いだからさ……アリスちゃんが何者なのか我慢できなくてつい見ちゃった。ビックリしたよアリスちゃんのステータスだけだとよく分からなかったけどミラ副園長のステータスを見たら分かったよ、亜神って書いてあるし。神様なんだね? 凄いわけだよ」


「アリスちゃん丁度よかったじゃん。茜ちゃんも見慣れないステータスながら私たちと同類? みたいだし。あんまり抵抗感ないかもよ?」


「うん、ごめんね黙ってて。私のステータス見て分かったと思うけど私は異世界イースのアレキサンドライト帝国の皇女姉という肩書きを持つ亜神アリスなのです。ステータスをもう一回見てくれる?」



名前 アリス・コーディ

種族 人(女性) 

年齢 16  体力G  魔力F

魔法 闇弾9水弾7光弾7土弾7風弾7

   火弾9恐怖9嘔吐9悪魔通信5

   竜通信5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5

   探知5魔法防御6念話5飛行8

   睡眠5魔物調教1動物調教5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性7麻痺耐性7毒耐性6

   恐怖耐性9嘔吐耐性9

   反応速度5防御7老化緩和6

称号 亜神アリス・コーディの依り代

   魔獣の調教師 動物の王

   在日本アメリカ大使館アドバイザー



名前 ミラ・アンダーソン  

種族 人 (女性)

年齢 20  体力 F  魔力F

魔法 水弾5光弾5土弾5風弾5火弾5

   闇弾5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5動物調教5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5老化緩和5

スキル ー

称号 合衆国海兵隊軍曹

   亜神(時空)アリスの第2使徒

   動物の王

   在日本アメリカ大使館アドバイザー

   大使館直営保育園副園長



「私の持ってる魔法とか見た目物騒なのがかなりあるけど、この依り代が持ってる魔法でね……神としてのステータスはそれはそれは神々しい立派なものだから……人間には見えないので見せられないけど。

それでミラ副園長も言ってたけど茜ちゃんのステータスってなんか私たちとタイプが違う。私は神様だから地球の人類が知らないようなことでも知っていていろんな異世界の仕様を知ってる訳だけど茜ちゃんのタイプは私の知識にない。

私が転写できる魔術とは根本的に体系が異なるみたい。

茜ちゃんが持ってるのはスキルとなっているけど私の持つ神の知識には当てはまる標準宇宙が無いんだよ……

ということは私を作り出した時空神とは異なる神が創り出した世界に由来するのか……?

茜ちゃんのスキルを眺めてみてなんとなくだけど消去はできそうだけどコピーは無理そうだね……」



「ちょっと待ってアリスちゃん。知らない情報が多くてついていけない……悪いけど順にお願いできる?」


「うん分かったよミラちゃん。どうせワシントンまでは15時間くらいかかるしじっくり話すよ。4時間くらいかかると思うよ覚悟して?」







 サーっと私のこの一年半の出来事を話した。日本人男性だったこと。全知全能の時空神に精神をコピーされて異世界イースのアレキサンドライト帝国マルチナ皇女の体の複製に転写されて亜神(時空)にされたこと。


 イースでは死にそうになったりしたけど無事にレベルアップして地球とイースの間に宇宙間ゲートを作れて地球に分身を作ったこと。


 その後に竜亜神に殺されてイースの本体は滅びてしまった。その代わりに地球の分身は本体になったけど神としてのレベルが下がったので宇宙間ゲートや分身の作成ができなくなったこと。ただしイースに居る分身とはリンクが繋がっているので意識は共有していること。




「そっか〜それでタンパのマクディール空軍基地に来たんだね。要するに地球儀にダーツを投げて偶然刺さったフロリダに出現した訳ね……ありがとうございます、ミラ・アンダーソン海兵隊軍曹は偶然に、たまたま使徒になれたという訳で本当にラッキーでした、感謝します……

しかしこれで解明されました。アリス・コーディ最大にして最重要の秘密をこのアタシ、アメリカ海兵隊軍曹ミラ・アンダーソンが聞き出した! これは相当の手柄だよね?」


「ミラちゃん?この事は使徒以外には秘密で頼むよ……今のところはね?」


「はいはいエマちゃんとコリンズさんはいいんでしょ? 大丈夫、任せて」



「そうかー。アリスちゃんが有朱遥香さんの旦那だったとは……アタシって遥香さんの旦那さんとここ二ヶ月つるんでたってこと?なんか微妙なんですけど」


「わー!そんなことないから!私はアリス! ア、リ、ス、ですから! 有朱宏治なんていう人の痕跡はカケラも残っていません! 彼は今も遥香ちゃんの旦那として健在です。私とは別人! 安心して、ね? ちゃんと私の最大にして最強の秘密を教えたんだから〜」


「はいはい冗談ですよ? ほんのちょっとモヤっとしただけだから」


「ホントに? 良かったー。じゃあ茜ちゃんの話聞かせて!」



「今年の一月……ここに引っ越す前の高校にいた時の始業式の最中にね……気がついたら異世界の侯爵家の次女に憑依していたのよ。なんの説明も無かったから最初は何が起こったのか全然分かんなくて。

その侯爵家の次女の子に憑依していたアタシのステータス上の称号が『女盗賊』でね。だから今のアタシの称号に『帰ってきた女盗賊』って表示されてるのよ。

なぜかアタシが憑依していた侯爵家の次女のステータスがバレていて勇者パーティーにぶち込まれてしまって。魔王を倒せって言われてホント嫌だった。パーティメンバーの勇者君が魔王を倒した瞬間に日本に戻れてほっとしたんだ。

あの白い世界の女性? 今から考えるとたぶん神さまと思うけど、地球にも人類の敵がいるからそいつ等から地球を守れって言われて怖かった。

でも半年経って何にも起きてないから大丈夫なのかなぁ」



「そうなんだ可哀想に……異世界でも心休まるような時はなかったんだね……でももう大丈夫! この亜神(時空)アリスが居るからには大船に乗ったつもりで安心していいよ。

何しろ私は異世界イースでは竜亜神2体を討伐した亜神(時空)アリスですからね!

それにあと半年経てば神としてレベルアップするから更に強くなるし。ざっと今の10倍の神力を使える様になるかなーー」



「でもね、聞いて驚かないで。私が異世界でパーティを組んでた勇者君が同じクラスの男子だったのよ。アタシと同じタイミングで異世界に行って勇者に憑依して帰って来たんだって」


「ホントに?そんな事あるんだね?」


「アリスちゃんに神様の事聞いたから思うんだけど、たぶん偶然じゃなくあの白い世界の女性が仕組んだんだろうね。

それともう一人。アリスちゃんとミラちゃんと同じタイプの魔法を持ってるステータス上の称号が『魔王』ていう子もいて私含めたこの三人で情報共有して協力してたんだ。

アリスちゃんのステータス見て大体能力の見当がついたのは『魔王』君の魔法がどんなだか知ってたからなんだ」


「なるほどねー。で、その白い世界の女が言ってた人類の敵って何なの?」


「それが『異世界から帰還したチート野郎や吸血鬼、死霊使い、そして凶悪な宇宙人』って言ってた。嘘かホントか分かんないけど……

少なくとも半年の間は見かけなかったね吸血鬼も死霊使いも宇宙人も。チート野郎は居たけど仲間になったから問題ないかな? 他にも居るかもしれないけど……分かんないけど」


「私は人類の敵では無いよ? 私の神のステータスにはハッキリと『人類の守護者』って書いてあるからね? だから私の使徒であるコリンズさんミラちゃんエマちゃんも人類の敵ではなく守護者だよ?」


「うん、心配しなくてもアリスちゃんが人類の敵である訳ないの分かっているから」


「そうかーー茜ちゃんの仲間だった人たちが二人居るのか」


「いや、いちおう今でも仲間であるとは思っているけどね……でもアリスちゃんやミラさんエマさんからは二段も三段も落ちるね……残念ながら」


「はははっ……そうでしょうそうでしょう。

それでその二人ってどこに住んでるの? 人類の敵に怯えながら震えているかもしれないから可哀想だね? 私が助けてあげようかな……彼らは苦境にあった茜ちゃんを助けてくれた恩人。ならば私にとっても恩人だから恩は返すよ?」


「彼らが住んでるのは千葉県のS市。私はK市に住んでたけどね」


「ああなるほどね、ちょっと遠いねえ。その子達の事は日本に帰国してから考えようか」


「うん。オタクな連中だけど悪い子じゃないから。お願い」


「では茜ちゃんにオファーだけど、私の使徒にならない?エマさんやミラちゃんみたいに。なってくれると嬉しいな」


「うん? 使徒? ちょっと待ってね」





「なるほどーなろうかな使徒に。してくれる?」


「分かった。じゃあサクッと使徒にしちゃいます。如月茜ちゃん私の使徒になってくれる?」


「うんなるよ」


「はあい、これで使徒になったはず……ステータス見てみて?」



名前 如月茜

種族 人(女性) 

年齢 16  体力G  魔力F

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 隠密5窃盗5気配察知5

   お宝探知5罠解除5死んだふり5

   身体強化5毒耐性5麻痺耐性5

   加速5短剣術5格闘5投げる5

   アイテムボックス5鑑定5

   異世界言語(万能)

称号 帰ってきた女盗賊

   亜神(時空)アリスの第4使徒



「確かにアリスちゃんの第4使徒になってるよ! よろしくねアリスちゃんミラちゃん」


「ふふふ、よろしく〜。やった! 茜ちゃんを遂に使徒にできた! 苦節一月半……ようやくに……長かったなあ」




「茜ちゃん? さっき使徒になる前に何か考えてた? ちょっと待ってねって言ってたけど」


「ああそれ? ミラちゃんのステータスを鑑定してたの。ステータスの表記を鑑定すると追加情報が出ることがあってね。『使徒』を鑑定したら追加情報が出てきたんだ」


「そうなの? なんて出てきたの?」


「えーとね『使徒は神の家族にして友。神と共に人類の守護者となる。同一宇宙において使徒、巫女、聖女は合わせて10名を超えない。使徒はいずれ神に至る』って書いてあるよ」



「おおー! やはり10人以内だったか。そして使徒は神に至る、か。そうじゃないかとは思っていたけど確信が持てたよ。ありがとう茜ちゃん」


「どういたしまして?」


「……そっか。使徒に人数制限があるとは……私はよくも第2使徒になることを拒否らなかったね……

あんななんも分かんなくてロクに説明もなかったのに。あの時の自分を褒めてあげたい。グッジョブ。

そして奥様に反対されて使徒になり損ねたマクディール基地司令のブラウン空軍大佐ドンマイです」


「そうなのよ。あっ! もうすぐ使徒の枠が無くなるじゃん!って思ったし悪いことなんも書いてなかったし。アリスちゃんもミラちゃんもエマちゃんも好きだからね。迷わず決めたよ? コリンズさんはあんまり分からないけど」




「よーし。じゃあ一気にミラちゃんベースで茜ちゃんを強化しようか? 茜ちゃん、魔法とか身体強化とか魔王君から聞いてると思うけど、いちおう私かミラ軍曹からレクチャー受けて訓練してから使ってね? 危ないから。では茜ちゃんにミラ軍曹ベースで魔術を転写!



名前 如月茜

種族 人(女性) 

年齢 16  体力G  魔力F

魔法 水弾5光弾5土弾5風弾5火弾5

   闇弾5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5動物調教5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5老化緩和5

スキル 隠密5窃盗5気配察知5

   お宝探知5罠解除5死んだふり5

   身体強化5毒耐性5麻痺耐性5

   加速5短剣術5格闘5投げる5

   アイテムボックス5鑑定5

   異世界言語(万能)

称号 帰ってきた女盗賊

   亜神(時空)アリスの第4使徒


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