死神メイドは、何をする?
霧とも ASL
第1話 死神メイドは、何をする?
「レイル様 起きてください」
「・・・おはようフォルン」
「おはようございます レイル様
朝食が出来ておりますので、付いてきてください」
私は、ここラーフィル辺境伯家で
ご子息レイル様の専属メイドを任されているレーリリック・フェルンです。
いつも私は、朝8時にレイル様を起こし
その後朝食を済ませ
掃除や洗濯 料理をしたりしています。
ですが、今日はレイル様が冒険に誘ってくれたのでついて行こうと思います。
なので、今日はどうな服を着て行こうか悩んでいると、
「フェイル 着いたよ」
「・・・あっ 申し訳ございません
フェイル様 ボーっとしていて周りが見えていませんでした。」
「珍しいね あのフェイルがボーっとしているなんて」
「そんなこと言わないで下さい もう」
「はは まぁとりあえず ご飯食べよう」
「・・・もう 分かりました 」
最近 私は、なぜかレイル様を見ていると胸の奥が熱くなってくる
ような気がします。
そのせいでいつもは、普通に出来ている事ができなかったり
さっきみたいにボーっとしたりすることが、増えてきています。
これが、恋なのでしょうか。
レイル様と出会ったのは、1年前森の中でした。
このラーフィル辺境伯領は、南側を魔族領と接していて
たまに魔物が、領内に入ってきます。
それを防ぐために一か月に何回か冒険者を派遣して、
調査や討伐をしています。
レイル様は、15才になり成人の儀を行い
その日に魔物討伐を行いに魔族領の森に入りました。
その時、私が瀕死の状態で倒れているのを発見し
助けてくれました。
それから私は、この家に仕えることになりました。
その日、私はレイル様の部屋に呼び出され
一つ聞かれました。
「なぜ君は、森に倒れていたんだい?」
私は、言いませんでした。
いえ、言えませんでしたの方が正しいでしょうか
言ったらこの家を追い出される
もしかしたら殺される危険性があったからです。
今もそのことを話せていません。
レイル様もその日以来 聞いてくることはありませんでした。
「フェイル 早く行こう!」
「はい レイル様」
私とレイル様は、朝食を済まし
レイル様と冒険へ出発する・・・・・はずなのですが、
「レイル様 いかがでしょうか?」
私は、今 他メイド達のせいで着せ替え人形になっています。
しかも あのレイル様の前で
「フェイル 可愛いよ」
「はう 」
うぅ 変な声出ちゃいました
それにしても恥ずかしすぎる
ってもうレイル様もそんなに見つめないで下さい
でも正直 嬉しいです。
レイル様に可愛いって言われて
「フェイル 早く 早く」
「はい レイル様」
ふう~ やっと終わりました。
よし これからレイル様との冒険デート頑張らないといけません。
「ここが、魔王領の森か
以前来た事があるが、いつ見ても恐ろしいな」
「そうですね ですが、大丈夫です。
私がいますから。」
「いやいや メイドに守られるような主には、
なりたくないよ。
まぁ危なければ逃げればいいさ」
「そうですね。では、私は基本的にレイル様のサポートをしますね。」
「ああ よろしく頼む」
「はい お任せを」
あぁ レイル様との初の共同作業
しっかり頑張らないと
「2時方向 レッサー・ウルフ下級狼二体です。」
「了解 【氷魔法:アイス・ランス《氷の槍》 二連射】」
グギャ
グギャ
レッサー・ウルフは、顔面から槍で貫かれ
絶命した。
「倒しましたね レイル様」
「ああ この調子でどんどん行こう」
その後もたくさんの魔物を倒し
帰ろうとしたその時
「・・・え なんで どうして」
「どうした フェイル」
「全方向より ゴブリン、レッサー・ウルフ オーガ大鬼が、200体
それにファイヤードラゴン、ウインド・ドラゴンなどが、接近しています。」
「なに 指揮者はいるのか?」
「分かりません」
「そう・・・か
ちなみにここから撤退するまでに追いつかれるか?」
「はい ・・・ですが、私が時間を稼ぎます。
その間にレイル様だけでもお逃げください。」
これが、私にできる最後の仕事
正直 レイル様に告白せずに死ぬのはいやだけど
レイル様が死ぬのは、もっと嫌だ。
それに こんな事になったのは、私のせい
だからレイル様だけでも
「そんなこと言うな
一緒に討伐するぞ それに俺だけ逃げてもお前がい」
グゴオオ―
ギャオオオ
ギャヒギャヒ
「ちっ もう来たか
フェイル お前だけでも逃げろ 魔法使えないだろ」
「そんなことできません
それに私は、魔・法・は、使えませんが戦えます!」
「そうか でも無理はするなよ」
「ええ レイル様もご無理なさらず」
「よーし お前からだ 【氷魔法:アイス・バレッド《氷の弾丸》〈連〉】」
ドドドドドドドドド
レイル様は、必死に戦っていた。
その効果は、絶大で魔物も近づく前に倒し寄せ付けてなかった。
対して私は、戦えると言ったのにレイル様の後ろに立って何もしていなかった。
いいえ出来なかったという方が正しいでしょうか。
この、私専用の武器と私専用の技スキルを使えば
魔物を全滅は出来なくてもレイル様の負担は、軽減できるでしょう
でも、これを使ったらレイル様に嫌われるかもしれない
そんな思いが、私の心の中で渦巻いていた
そのせいで、なにも出来なかった。
私は、何も出来ない・・・したくない自分に心底腹が立った。
私が、そう思ったその時
バタリ
「・・・え」
レイル様が胸から血を流し倒れた
「レイル様? レイル様 レイル様?」
私は、慌てて駆け寄り
体をゆすった
「フェイル 俺は、ダメ・・・そうだ
お前・・・だけでも・・・にげ・・・ろ」
「そんな レイル様を置いて行くなんてできません
レイル様も」
「おいおい そこのメイド
そんな雑魚男よりこのフェルブ様に仕えろよ」
「レイル様を レイル様を侮辱 するな」
私の心の中は、怒りと悲しみで真っ黒に染まっていた。
「おいおい 俺に向かってそんな態度とっていいのか?
その気になればお前もこの国だって滅ぼせるんだぞ」
フェルブは、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて
2体のドラゴンと一緒にレイル様と私に近づいてきた。
「それじゃお前の前でこの雑魚男にとどめを刺すか」
そして、フェルブの手がレイル様に触れようとした時私のこころの中で
もう一人の自分が言った
(このままレイル様が死ぬところを見るのですか?)
(何もせずにただ待っているのですか?)
(本当にこのままでいいのですか?)
(フェイル あなたの気持ちをレイル様に伝えずに終わるのですか?)
(そんなのイヤ でも、もしかしたら幻滅されるかもしれない)
(それでレイル様が死んだら幻滅どころの話じゃないですよ)
(でも・・・ でも・・・)
(フェイル あなたのレイル様に対する気持ちは、そんなに小さいのですか?)
(そんな ・・・いいえ大きいです。)
(じゃあ 幻滅されるかどうかよりも どうするか分かっていますよね?)
(ええ レイル様をしっかり助けます。
それでもし幻滅されたらその時はその時です)
(おそらくレイル様は、そんなことで幻滅されないと思いますが・・・)
「レイル様 今助けます!」
私は、心を落ち着かし 静に詠唱した
「【レイズ《死神化》】
召喚【デス・サイズ《死神鎌》】」
詠唱した瞬間私の体は、変形した
頭には、2本の角
口には、吸血鬼のような鋭い牙が、
目は赤く
背中には、黒い羽出来て、
服装もメイド服から漆黒のマントと服に変わった
武器は黒い大きな鎌が召喚された
そして、
「よくもレイル様を」
私は、羽を広げ 一瞬にして2体のドラゴンの近くまで飛び
【デス・サイズ《死神鎌》】で薙ぎ払った
ドラゴンは、声を上げることもなく一瞬にして灰になって消えた
「お前 死神か?」
フェルブは、尻餅をつきおびえていた
「それが 何か?」
私は、あえて答えず 挑発するように言った
「頼む 命だけはお助けを」
フェルブは地面に頭をこすりつけ懇願してきたが、当然許すつもりはない
私の大事な大好きなレイル様を傷つけたのだから
「分かりました 慈悲を与えましょう」
「そうですか ありがとうございます!」
フェルブは満面の笑みでお礼を言った
だが、次の瞬間絶望に変わった
「ええ 死神らしく死という慈悲を」
次の瞬間 フェルブの首が斬り落とされドラゴン同様灰になって消えた
だが・・・
「レイル様 申し訳ございません 騙すつもりはなかったのですが
どうしても幻滅されたくなくて」
「フェイル 確かに黙っていたのは嫌だったけど
幻滅なんかしてないよ」
「え 本当ですか?」
「うん だってフェイルの事好きだから」
「レイル様 私もレイル様の事、大好きです!」
やった 私はついにレイル様に気持ちを伝えられた
しかもレイル様から告白された
でも、私は気になる
「レイル様 今の私怖くないですか?」
客観的に見れば今の私の姿は怪物だ
頭には、2本の角
口には、吸血鬼のような鋭い牙、
目は赤く
背中には、黒い羽、
いくら解除すれば元通りになるからと
レイル様はこの姿を怖がらないのだろうか
「怖くないぞ フェイルはフェイルだ
姿形は変わっても俺は、好きだ。」
「レイル様!」
私は嬉しかった
故郷では、この姿が原因で友達を作くれなかったし
いじめもされていた
それをレイル様は怖がらないし 好きだとも言ってくれた
「フェイル 俺と結婚してください」
「レイル様 お願いします!」
その後は死神モードを解除して
メイド服に戻りラーフィル辺境伯家の屋敷へと帰った
帰る途中
「フェイル いくつか質問して良いか?」
「ええ なんでしょうか?」
「まず一つ目 本当にフェルブの言っていた死神なのか?」
「ええ そのとおりです。」
(やはりレイル様も聞いていましたか
レイル様も結婚相手が死神では嫌ですよね)
私が一人で落ち込んでいると
「そうか 分かった」
「レイル様 死神ですよ 嫌じゃないのですか?」
「フェイル さっきも言っただろう
俺は、フェイルが好きだ 別に死神だろうと関係ない」
「レイル様!」
「では、二つ目 なぜ森に一人で倒れていたのだ?」
「それは 私が死神だということで故郷では
いじめ 妬み 極度の期待感 与えられた使命
そういうのが嫌で逃げ出していたところ 魔物に襲われました。」
「魔族でも襲われることあるんだな」
「ええ 本来であれば魔物よりも圧倒的に強いのですが
あまり戦いを経験していなかったので戦い方が分からず」
「そうか では三つ目 種族は何なのだ?
死神なのと魔族なのは分かったが種族は何なのだ?」
「種族は吸血鬼です。
なので出来れば後で血をもらっても良いでしょうか?」
「ああ 良いぞ でも今まではどうしてたんだ?」
「今までは、牛や鳥 豚などを解体するときに出た血を飲んでいたのですが、
あまり美味しくないので
ってああ 別にレイル様もだめならダメでいいですので」
「いやだから飲んで良いって」
「分かりました ありがとうございます」
「ただ 出来れば今は逆に血が欲しいかもな
さっきの戦いで結構血がでたから」
「ああ そうでした
血を渡す事も出来ますが、そのためには」
「何をするんだ?」
「・・・キスを」
「・・・そうなのか」
「ええ」
「じゃあしよう」
「え?」
「フェイル 早く」
「え はい分かりました」
え まだ心の準備が出来てないのに
レイル様の唇が近づいてくる
そして、
チュッ
私とレイル様の唇が合わさった
正直ここまでの展開が速すぎたところがあるけど
嬉しかった
ついにレイル様と結婚できる
ただただ嬉しかった
「レイル様 どうですか?」
「フェイルごめん 嘘ついた」
「え?」
「実はそこまで血は出てなかったんだけど
フェイルとキスがしたかったから嘘ついた」
「もう そんなことしなくても良いのに」
私は頬を膨らませてレイル様を睨んだ
「フェイル可愛い」
「もう」
そうこうしているうちにラーフィル辺境伯家の屋敷へ着いた
その日はレイル様の部屋で寝て
次の日も一緒に起きた
そして、これからも一緒に
「レイル様 これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく フェイル」
「はい よろしくお願いいたします。」
「フェイル メイドは続けるのか?」
「ええ しばらくは」
「そうか じゃあ 死神メイドだな」
「もう レイル様 からかわないでください」
「はは ごめんごめん」
「早く リビングへ行っていてください」
「はいはい」
(ふふッ 死神メイドですか面白いですね さて今日は何をしましょうか?)
死神メイドは、何をする? 霧とも ASL @Kiritomo_sama
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