第15話 上田です。
バレー部マネージャーの上田です。中学は女子バレー部で部長、セッターを務め、高校では男子バレー部しかないため悩んだ末にバレーへの愛をマネージャーとして満たしてます。
三年ともなると、部員達は全員我が子の様なものです。だから私の彼氏は時々現れるOBの渋谷さん。彼のいた代は県大会まで行ったとか。私は入れ違いに入学したので、写真や賞状でしか、彼の当時の活躍は知らないけど将来、指導者を目指しているから後輩の指導に熱心で彼のサーブは見てるだけで痺れます。自分語りはこの辺で、私の可愛い蔵瀬亜理子ちゃんについて。
蔵瀬ちゃんは一年の時隣のクラスで、体育の合同授業で卓球のペアを組んで優勝して以来の仲。コントロールが優れていて、下回転サーブを決めるので、大人しそうなあの見た目に騙された相手がバッタバッタと負けていく。勿論、私も卓球部から勧誘が来るくらい強いんだけど。妙に気があって文理分けでクラスが離れても時々は連絡を取ったりしています。大人しいけど、芯が強くて時折面白いことを呟き可愛い声で笑いころげる、回りがつけたあだ名は所作の綺麗さから姫。その蔵瀬ちゃんが佐藤亘一を好きらしいと気づいた時は心底どうしようかと思いました。
だってあの佐藤だもの。
佐藤はバレーはアタッカーとして確かに強い。そりゃ、バレー部だから背も高いし(大崎は例外だが)黙っていればイケメンかもしれない。問題は中身。
いつから女子が敵になったのか女子への辛口批判が得意科目。
血が嫌いで見ただけで涙目になるし、ぢだとか公言するし。
人の名前を覚える気がない。
後輩部員全員に変なあだ名をつけて呼んでいて、いろんな部長絡み書類は私が訂正しなければ提出できない。
漫画オタクで漫画ならなんでも読む。この前は、コテコテの少女漫画を真顔で読んでいて恋愛知識は少女漫画仕込みとのたまい、女子でもひく臭いセリフをいつ使うつもりか練習。
かと思えば小学生レベルの下ネタを練習メニューのサブタイトルにしたりする。
あげれば限りない。
友達として私に何ができるであろう。
しかも佐藤のやつ、あれだけサクサクとアタックを決めるくせに、バレンタインに蔵瀬ちゃんから本命チョコをもらっても何もしない。
「私なんかきっと視界にも入ってないから。」と寂しそうに呟いた蔵瀬ちゃんは痛々しかった。佐藤はおすすめ物件じゃないし彼女が別の人に目を向けられれば良いと思って手出しは辞めたけど、3年になって2人はまた同じクラスになってしまっていた。
そしての今回の学ラン事件!!
ネタ元はあれかと部室にある少女漫画が頭に浮かぶ。佐藤にしてはヤル〜とは思ったが、この嬉しそうにお礼を考えてはしゃいでる蔵瀬ちゃんを私はどうしたら良いんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます