2018年 9月20日

「人間臭い?」丁策は頭を傾げる。


「ん―、上手くは言えないのだけど。

ユングは、何かこう…、合理的でちょっと冷めたような考えをしているけど、フロイトやアドラーは、ユングよりかはどこか感情主義で、人間味が感じられるような…」

ない頭を絞って何とか言葉にする。


「ああ、なるほどね。

うん、何となくわかる気がするよ」

彼は、そんな私の言葉にも、しっかりと理解を示してくれる。

「フロイトとアドラーの理論となると、『性の理論』と『権力への意思』のことを藍河は言っているのかな」


「そうだね。その二つが勉強しているときにちょっと出てきたよ」


「君は、その二つの考えだと、どっちを支持するの?」


「え、難しいな…。

きちんと理解している訳ではないし…」

丁策の質問に、私は頭を抱える。

「そうだな…。

しっくりくるのはアドラーの考え方かな…。

でも支持したいのはフロイトの方かも」


「何故?」


「フロイトの方が、何か、温かいなって。

アドラーの方は、悲しい考え方な感じがした」

言ってすぐに、「ごめん」と私は謝る。

「これじゃ、きちんとした答えになっていないね」


丁策はそんな私の答えに、優しい表情で笑っていた。

「いや、君らしいと思うよ。とても」

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