2018年 9月20日
大学は自宅から三十分程離れたところにある。
そのため通学にはいつも電車を使っているのだが、今日のように早い時間に出る日は人込みに揉まれながら通学しなければならない。
大学の近くに住んでいればこのような苦労もしなくて済むのだが、都心に家を借りるのは学生にはかなりの贅沢だ。
地方に住んでいた身としては、通学時間が短くなっただけでも大分ありがたい。
定期を取り出し改札に通す。
「まずいな…」
電光掲示板を見た私は、電車の時刻まで残り僅かな事に気付き焦る。
改札からホームまでの距離を考えるとかなりぎりぎりかもしれない。
駅の構内は、同じように時間に追われている人々で溢れている。
息苦しい空間の中を、私は足早に駆けていった。
「…、何とか間に合った…」
電車に乗り込むと同時に、後ろで扉が閉まる。間一髪だった。
「ふう…」空いている席に座り、息を整える。
朝の電車には、通勤、通学の時間帯の為か、学生や社会人が大勢乗り込んでいた。
この時間はいつも混みあっていて席に座ることなどできないのだが、今日は運が良い。
席に座りながら、駅に着くまでの数十分、色々な人たちの仕草や、表情を観察する。
誰かの人生の、ほんの一瞬を覗いているようで、この時間が案外好きだったりする。
「今日もぎりぎりだったな…」
夢見が悪いのが原因ではあるが、ここ最近、時間に余裕を持って行動できていないことが多い。
何かしらの対処は、考えておいた方がいいかもしれない。
「まぁ…後で…いいよね」突然の眠気が私を襲う。
途切れかける意識の中、辛うじて、恋人にメッセージを送ると、そのまま携帯の音楽アプリを起動し、眠りについた。
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