第7話 昇格試験
残念ながらその嫌な予感が的中した。ロイのやつ名指ししてきやがった。
「そのダークホースこそがこちらの朔夜だ!」
「そういえばあいつギルドで叫んでいた人だ」
「一之瀬様とお知り合いのようですがあの方も強いのでしょか?」
「フンッ俺の鍛え抜かれた強靭な肉体と比べるとまだまだ見劣りするような奴じゃないか」
「もしかしたら魔法タイプかもよ?」
「にしては杖を持ってないじゃないか」
というように猜疑の目が向けられていた。無理もないなギルドマスターとはいえ急にダークホース云々なんて言われても信じられないからな。突拍子もないことを言われて戸惑っているようだ。目立つのは一之瀬だけでいいから俺は自由にやろうと思ったんだけどな。
「お前らの鑑定スキル程度じゃ分からないかもしれないがこいつはなかなかの者だぞ」
「ギルドマスター鑑定使えないじゃん」
「勘だよ勘」
「ちょっと珍しいスキル持ってるだけで別に大したことはないな」
さすが腐ってもギルドマスターだなあながち間違いではないからなだが俺は影魔法と空間収納身体強化以外の魔法を見えなくしていてレベルとステータスも弱体化して表示しているから鑑定だろうと関係ない。
「百聞は一見にしかずだ今回の試験はトーナメントとする上位8人のみ昇格できることとする」
「初っ端からトーナメントとは可哀想だな」
「一之瀬はもちろんあの朔夜とかいうルーキーも注意しないとなあわよくばクランに招待したい」
「抜け駆けすんなよ」
・・・
「それでは31試合目はリアロゼ・リネルス対九条朔夜です。出場者は準備をしてください」
「ようやくお目にかかれるな」
「相手の美少女もなかなかの剣の使い手のようだな」
「魔法使いと剣士とは残念だったな杖なしの魔法使いなんて近接に速攻で叩きのめされるだけだろ」
「やっぱり期待のルーキー目当てで大手ギルドも集まってきてるな」
「色組も来てるな『赤炎の龍』や『黒煙の鴉』はいつものことだが『白閃の兎』まで来るのは珍しいな」
「それほどいい粒揃ってるってことだろ」
「なんかあのリアロゼちゃんどこかで見たことがある気がするんだよな」
「貴族か?」
一応ギルドマスターの太鼓判を押されたこともあって俺らはシードとして戦うこととなったそのために期待されていてかなり緊張する。しかも相手は貴族らしいし薔薇の装飾が施された美しい刺突剣を携えているし鎧も赤い竜の紋様が彫り込まれていて見る目を引くがリアロゼさん本人も視線を釘付けするような見目麗しい整った顔つきをしている。紅く烈火の如く燃えているようなロングヘアも美しい。一応買っておいた鉄製の剣を取り出しておく。
「準備が整いましたので試合を開始します出場者はフィールド内にお入りください」
「あれ?あいつ鉄剣持ってないか?」
「付け焼き刃だろ」
「それでは試合開始!」
リアロゼが開始の合図と共に刺突剣を構えて距離を縮めてきた
《
眩い光を纏った1突きが間一髪頬を掠める。
あれに当たったら怪我どころじゃ済まないな。鉄の剣を《変形》で盾にして猛追を防ぎ切った。
「剣を盾にして守りに徹したか」
「ここからどうやって反撃するんだ?」
《
「くッ!《
隙をついて拘束しようとしたが横方向に回転して斬る技によって影が切り刻まれた。だが上方向からの攻撃に対処はできないだろう《身体強化》で足を強化からの超ジャンプして拳に影を纏い攻撃終わりのタイミングでぶん殴った。女の子相手だから腕に身体強化はかけなかったが土埃をあげて場外へと吹っ飛ぶぐらいの威力はあった。
「勝者九条朔夜!」
歓声が沸き起こる。こういうのはされる側はちょっと恥ずかしいんだよな。
「おう九条乙カレー」
いつのまにかこいつも試験会場来てたようだ。
「お前も頑張れよお前とは決勝で戦うことになったからな」
とりあえずこいつに負けるのは癪だったのでボコボコに打ち負かすと誓った。その後の試合は全て拘束からのフルボッコで勝った。ついに決勝戦、一之瀬への八つ当たりをする時が来た。
「決勝戦一之瀬祐希対九条朔夜」
「準備が整いましたので開始します。それではスタート!」
先手必勝というからな俺は鉄の剣に《硬化》をかけて斬りかかったが一之瀬の持つ神級の刀の前では逆に刃こぼれしたしまった。距離をとって《影縛》を使うも地面ごと影が抉られた。
「どうだ九条この封暴の刀は?それだけじゃないぞ?喰らえ《
「チッ断ち切れ《
しかし包帯が鋼のように硬く切ることができなかったので《影潜伏》で回避する包帯はそのまま壁にぶち当たり風穴を開けた。
「そこまで勝者一之瀬祐希!」
「「「「「はぁぁぁぁ!?」」」」」
会場中でブーイングの嵐。審判によると影の中に潜ったのは場外扱いになるらしい。続行を望む者が多数いたけれどもこれはあくまで試験なので適応されなかった。結果的にランクは上がったのでいいがなんとも歯切れが悪い。
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