初めて #7

??「心愛ちゃんだよね?」


心愛「はっ、はいっ!」


??「なんで敬語になっちゃうの笑

うちは朝日あさひ りん 。同じクラスで席はあそこ!りんって呼んでねっ。」


さっきまでの表情とは変わっていきなり可愛らしい笑顔に変わり自己紹介を始めた。指差してる席を見ると一番前の廊下側の席だった。私もクラスの子1人1人を見ていなかったし席も離れていてこんなに美人な子がいることに気づかなかった。


心愛「り、りんっ...ちゃん?よ、よろしくっ!なんで私のことを...?」


凛「心愛ちゃん可愛くてすっごく話して見たかったんだけどなかなかタイミング見つからなくってさ〜笑 それにちゃん付け禁止!よかったら昼ごはん一緒食べない?」


心愛「り、凛...?私なんかとご飯!?嬉しい!」


こんなふうに話しかけてくれる友達は初めてだった。今までだったら距離をとっていたけどこの学校では気にしなくてもいいって考えると嬉しくなった。


凛「ほんと!?よかった〜!」


ガラガラッ

みんなが登校してくる教室のドアがまた開く


りょう「っはよ」


心愛「あ、お、おはよっ...」

(タイミング...気まずいし昨日のこと知ってるのかな...)


りょう「お前あいつの家行ったんだって?噂なってんぞ」


心愛「...!ち、ちがっ...それは...!」


りょう「昼休み。いつも話してるとこ来い。」


凛「無理。うちが先約〜」


気まずい空気が流れる中、座っている私の横に来て私の肩を組み、明るく言い放つ凛。


りょう「は?お前あいつらのグルになったんじゃねえのかよ」


そう言って女子A達のグループに目を向けるりょう君。


凛「ん?あ〜違うよ。あの子達から声掛けてきただけだし、付きまとってきていきなり離れたのは向こうだよ」


心愛「??」


りょう「まあお前らしいか。心愛。昼休みは俺に時間くれ」


心愛(あれ?この2人って仲良いの??)


どうしていいか分からず話しているりょう君と凛の2人を交互に見ることしかできずにいた。


------------キーンコーンカーンコーン------------

凛「あんたは放課後でもいいじゃん!とにかく今日は私が先約だから!」


チャイムがなると同時に急いで自分の席に向かいながら大声でりょう君に伝える凛。


りょう「なんだよあいつ。本当自分勝手だな...。」


その後も休み時間や、移動教室で移動する時、凛はついてきてくれて、女子A達は全く何も言わなくなっていた。


-------------昼休み-------------

凛「心愛!行こ!」


午前中を過ごすうちに、私と凛はいろいろな話をしていつの間にか距離感なく仲良く話す仲になっていた。


心愛「うんっ!!」


りょう(なんだよ。楽しそうにしやがって。それに昨日何があったんだよあの後。)


イライラしているりょう君を横に申し訳なくなりながらも凛と2人で教室を出ていく。私はのんびりできる屋上に行きたいと話して屋上に向かった。


-------------屋上-------------

心愛「なんで凛は私なんかと話したいって思ってくれたの?」


凛「私なんかって!こんなに可愛くて存在感あって、なのに控えめで不思議ちゃんって気になっちゃって笑」


心愛「それは言い過ぎだよ...!私なんて友達作ろうともせずにこんなことになっちゃって...」


凛「ん〜、うちには慣れようとすごく頑張って見えてたよ?それにうち友達っていう友達全然いなくてね。なんか心愛見たら素直に話せそうでさ。」


心愛「そ、そうなの!?明るいしみんなから好かれそうだけど...ほら、友達Aちゃん達とも仲良かったみたいな事さっきりょう君言ってたから...」


凛「うん!好かれてる!笑 けど絡んでたら悪口ばっかりであんまり馴染めなくて私からもう来ないでって言ったの。友達ってなんだろ〜って分かんなくなってね」


心愛「そこは自信満々なんだね笑 そ、その...何かあったの...?嫌だったら話さなくていいから!」


凛「うちに遠慮しないでよ〜笑 うちの家、両親いなくてね。昔から本音で話せる相手がいなかったんだ。だから本音で相手に接することが出来なくて、でもせめて明るく振舞おうって頑張ってたらこうなっちゃった笑」


心愛「そうだったんだ...。私は両親はいるけど出張続きで仲良い友達なんて作ったことなかったから、本音で話せないって気持ち少しわかるかも...」


凛「ほんと!?やっぱり心愛最高!」


そう言って横に座っている私に凛は飛びついて抱きしめてきた。勢いで座っていた私が崩れて2人で転けてしまった。


心愛「...!はっ...ははっ...きゃははっ笑」


何だかおかしくて自然と笑いが込み上げてきた。


凛「そんなに笑ってるところ初めて見た!絶対そっちの方がいいよ!」


突然私の頬を両手で包み私を見つめる凛。


心愛「え!?//」

(そう言えばこんなに声出して笑ったのいつぶりだろ...少し恥ずかしいなっ。)


体勢を整え、2人で座り直す。


凛「心愛ってさ、裏生徒会のメンバーなんでしょ?」


心愛「...!そ、それはっ...えっと....」


凛「隠さなくていいよっ。 それにこう見えてもうち結構頭が切れるからなんとなく勘でわかっちゃったっ笑 2人だけの秘密ってことでっ!」


心愛(凛だけなら言ってもいいかな...)

「う、うん...裏生徒会だよ...って言っても私もよくわかってないけど...」


凛「メンバーは?生徒会長にりく先輩、りょう君ってところかな?」


心愛「そこまで分かっちゃうの!?」


凛「見てたら分かるよ〜!いきなり心愛に3人ともくっついてんだもん!笑」


心愛「あっ...たしかにっ...」


凛「あれ?心愛って天然...?笑 そうだなー...心愛が話してくれたからうちも秘密教えるね!」


心愛「え!?そんな無理しなくても!」


凛「してないよ〜!だって心愛だけ話すの不自然じゃん!そうだ!うちね!りょうのこと好き!」


心愛「り、りょう君のことが好き!?好きってその好きだよね!?でもそれ私に話すのって...」


初日のキスのことや部活のこともあって動揺してしまった。教室で俺の女って言ってた時も凛はいたはずだった。


凛「そう〜!りょうとは中学でも同じクラスなったことあるけどその時からずっと片思いしてんの笑

あ、心愛に公開告白した人だから気まずいとか思ってんでしょ? 」


心愛「あ、そうだったんだ!そ、そのことは...うんっ...」


凛「心愛はりょうのこと好き?正直に!私はどっちでも心愛の友達だよっ」


心愛「ごめん...正直わかんない...ここ3日で色んなことが起きてわけわかんなくて...」


凛「そりゃそうか笑 あんなに3人寄られるとそうなるのも当たり前だよ笑」


意外な事実に一瞬焦ったけど、凛は芯がしっかりしていて、明るく笑ったまま話し続けてくれた。


心愛「その、告白...とかしないの?」


凛「そうだな〜、今は普通に仲のいい友達って感じだから、そのままグイグイりょうのプライベートゾーンまで踏み込んで、そのうちりょうの自分だけの場所を無くして...うちのことが全てにおいて必要になるまで...」


怪しい顔つきをわざとらしくする凛


心愛「ちょ、ちょっと怖いって笑」


凛「ははっ笑 楽しみだな〜笑」


心愛「ほ、本音じゃない...よね!?」


凛「まさかっ!でさ、ひとつ頼み事!お返しはするから!りょうともう1人男誘って4人で夏休みダブルデートってどう!?心愛がりょうのこと気になるってならやめとくけど!」


心愛(夏休み...!毎日忙しくて忘れてた...りょうとはなんだか少し距離を置きたいし、言いづらいけど本当のことを凛にしっかり言ってから決めよ。)


心愛「凛!!ごめん!!!」


そう言って私は深く頭を凛に下げる。


凛「!?なになに!?どうしたの!?そんなにダブルデート嫌だった!?」


心愛「ち、違うの...!りょう君のこと、実は...」


転校してから今まで部活であったこと、りょう君や先輩達からされたこと全てを話した。

ずっと片想いしていた凛を差し置いて自分のしてることの申し訳なさから話終える頃には涙が自然とポロポロ流れていた。


凛「ねえ泣かないで心愛。うちは何にも気にしないよ。それに絶対に今話すの勇気いるはずなのに全部話してくれてありがとうね。心愛も大変だったでしょ?」


心愛「う...うぅ...ごめんね...凛...」


凛「謝らない謝らない!うちね、むしろ今の話聞いてりょうのこと好きになっちゃった笑 それに何今までのシチュエーション...少女漫画じゃん!」


心愛「へ!?」


想定もしていなかった意外な言葉に思わず涙が止まる。


凛「だって〜!3人のイケメンから狙われて、生徒会長の部屋ではトップ2の2人から襲われて!? それにトドメはりょう!何!?部室で押し倒しされてキスって!うちもされたい〜!!」


少し笑いながら私の肩を揺さぶる凛


心愛「り、凛...ありがとう...気持ちがすごく軽くなった...トップ2って何...?」


凛「全部溜め込まないでうちに言うんだよ?それに進展聞きたいし...?笑 待ってまだ知らなかったんだ!トップ2はりく先輩とれん先輩!この学校でイケメンって人気でそう言われてるんだよっ!」


心愛「ありがとうほんとに...し、進展はっ...// そんな呼び名があったんだ...」


凛「まあもうすぐ昼休み終わるし教室戻ろっか!」


心愛「うん!」


この昼休みをキッカケに気持ちは軽くなり、お母さんにも自慢できるような友達ができた。

この学校に来てから初めて高校生らしい女の子同士の時間を過ごし、すごく心地のいい気分になった。それにしてもそこまで人気だったとは知らずに今までのことを考えると私のしてきたことで女子達から目をつけられてもおかしくないことが理解できた。

その後の授業も凛がいてくれたことからあっという間に終わった。けれどりょう君は朝話して以来、目も合わせてくれなかった。


心愛(凛にはいきなり色々相談乗ってもらったし夏休みのこと...りょう君に話したいけど気まずいな...)


------------放課後------------

心愛「り、りょう君...話があって...その...」


りょう「なんだよ。」


怒った威圧的な目に怖くなり、話しかけたことを少し後悔する。


凛「ねえりょう!夏休みダブルデートしない!?てか何その怖い顔、心愛怖がってんじゃん。最低〜」


どこから現れたのか気づいたら目の前に凛がいた。


りょう「...!うるせえよ。夏休みって...誰とだよ」


凛「心愛とうちとりょうと誰か連れて!」


りょう「はぁ...お前さあ...どうせ俺の相手は凜なんだろ?」


心愛(あれ...?凛とりょう君友達って聞いてたけど思ってたより仲良さそう...これっていい感じじゃないの?)


凛「もちろん!」


りょう「お前相手か〜、心愛ならな〜...?」


ニヤついてわざとらしく言い放つりょう君。

その瞬間...


ドゴッ


りょう「くっ...いってぇ...」

鈍い音と同時に痛がるりょう君。


白くて細い凛の指からは想像も出来ない音とスピードでりょう君の頭にゲンコツを思いっきり食らわす凛。


心愛「え、すごい音だったけど凛!?りょう君大丈夫なの!?」


りょう君は机に頭を伏せ、痛さからかひたすらうなっている。


凛「いつもの事いつもの事!こんなんで死なれたらうちのこの恋心一瞬で終わっちゃうよ〜笑」


りょう「お前力加減考えろよ、女だろ。恋心恋心ってほんっと諦め悪いよな。」


凛「だって〜その顔!どストライクだもん!それにさ、あんたが彼女アピールした心愛もついてくるんだよ?相手はうちでも少しでも心愛と一緒に夏休み過ごせんだよ?あんたにも得じゃんか!」


りょう「はぁ...分かったよ...」


心愛(え?凛がりょう君のこと好きなのりょう君は知ってる...?中学からとはいえもう付き合ってるくらい仲良いのに...りょう君はなんで私に...?)


凛「...こあ!...ここあ!心愛!」


心愛「...!ご、ごめん!少し考え事してた!」


凛「大丈夫!?」


心愛「う、うん!!」


りょう君「大丈夫かよ心愛。」


凛「朝から目も合わせようとしなかったくせに今だけ心配ってほんと薄情はくじょうだよね〜?心愛!」


心愛「え!いや、え、そんな、えっと...」


りょう「お前...困らせてんじゃねえよ...」


ため息混じりに呆れた表情をするりょう君。


凛「2人はこの後部活でしょ〜?あ、心愛!連絡先教えといてよ!もしタイミングあったら一緒に帰ろ〜!うちからメッセ送るから!」


心愛「あ、うん!」


りょう「は!?お前部活のことこいつに言ったのかよ!?」


凛「私が探っただけだから心愛は関係ない!それ以上心愛攻めるならもう1回ゲンコツいっとく?」


りょう「ご、ごめんって...」

(厄介なのがついたな...まあこいつならまだ安心か。)


ガラガラッ

りく先輩「ここちゃ〜ん!」


女子A「またりく先輩来たよ...しかもあの3人仲良さそうに話やがって...」

女子B「好きなりく先輩からトイレの時あんな目されたのほんとショック〜」

女子C「心愛ってあいつなんなんだよ。」

男子A「うわ〜、また来た...」

男子B「朝に続き心愛ちゃんモテモテだよなほんと...」

男子C「裏でお前たち全員に協力しようか?全員が好きなやつ手に入るぞ。俺らも裏生徒会ほんとにあるならめんどくせーし」

女子A「それありっ。」



凛「うわ〜♡ ほらほらっ!呼ばれてるよ!」


りょう「ちょっ...まてっ...お前...!」


りょう君の言葉をまるっきり無視して、りく先輩の前まで私の背中を押す凛。


りく先輩「君はっ?」

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