部活の目的 #3
ガチャッ
りく先輩が部室のドアを開けた。
れん先輩「お、ちゃんと来たんだな」
そう言うと、眼鏡を外し後ろに束ねていた髪を解きながらこっちに向かってくるれん先輩。昨日にも見た光景だった。
れん先輩「りくちゃーん。言うことあるよね?」
りく先輩「やっべ...笑」
れん先輩はそう言いながらりく先輩に手を伸ばしかけた瞬間りく先輩が部室内を走って逃げ回る。
りく先輩「ここちゃ〜ん助けて〜(泣)」
心愛(!?何が起こってるの!?)
れん先輩「おまっ、逃げんな!」
しばらく走り回り、疲れたのかりく先輩が走るのをやめた瞬間、れん先輩がりく先輩の耳を引っ張る。
りく先輩「いたた!痛い痛い!ごめんって〜!」
心愛「あ、あの...何かあったんですか?」
れん先輩「裏生徒会の事、こいつがお前の教室で堂々と宣言したってほんと?」
りく先輩「冗談だよ!噂なんだから!いたたっ!」
否定するりく先輩に耳を掴む手の力がさらに強くなるれん先輩。
心愛「え、そんなこと確かに言ってましたけど...」
りく先輩「ここちゃーん...味方してよぉ...(泣)」
れん先輩「お前...やってくれたなっ、俺の仕事増やしやがってこのっ」
りく先輩「ご、ごめんって!いてっ!」
れん先輩「とりあえず何があったか全部話せ」
そう言って耳を掴む手を離し、ソファに座り出すれん先輩。
痛そうに耳を抑えながられん先輩とは向かいのソファに座るりく先輩。すると自分の横をポンポンッと軽く叩きこっちに来てと言わんばかりに私を見つめてくる。
心愛(ど、どうしよ...れん先輩なんか怖いしりく先輩の横でいいのかな...)
そっとりく先輩の横に腰をかける
れん先輩「で、今日あったこと全部、
心愛(今名前で...?なんか昨日より雰囲気が優しい?気のせいかな...)
りく先輩「そんなに名前強調しなくても黙ってるからっ」
ガチャッ
話そうとしたその瞬間ドアが開き、りょう君が入ってきた。
りょう「心愛なんでここにいんだよ、探したんだぞ。」
心愛「あ、えっと...」
れん先輩「どうせりくがなんかして無理やり心愛連れてきたんだろ」
りく先輩「あ、ばれちゃった笑」
りょう「は?どういう事だよ」
りく先輩「僕から先生に、りょうが友達関係で悩んでるって相談されたから心配〜って伝えて呼び出してもらったんだっ。そしたらここちゃん放課後独り占めできるしさっ。」
りょう(だから担任意味わかんない事ばっか言ってたのかよ)
れん先輩「お前勝手なことしすぎだろ」
りく先輩「だってここちゃん好きになっちゃったんだも〜ん」
そう言って横に座ってる私の腰に手を回し、自分の方にグッと体を近づけるりく先輩
りょう「...は!?」
心愛「せ、先輩!?」
れん先輩「とりあえずなんでもいいから、お前も座って話を聞け」
りょう「どういうことだよ」
溜息をつきながらソファとは別の、近くにあった昨日縛られていた椅子に座るりょう君。
れん先輩「心愛、今日あったこと全部話して」
心愛「は、はいっ」
今日会ったことを全て話すと、朝のりく先輩のことを知らないりょう君はびっくりして、その後はずっとりく先輩を睨むかのような視線を感じた。私にはりょう君の気持ちがわからず不思議でしかなかった。
心愛「...ってことがありました...」
れん先輩「つまり、りくとりょうの公開告白で女に嫉妬されて放課後呼び出されたところ、りくが助けたってことだな?」
心愛「は、はいっ」
りょう(なんだよそれ。俺心愛に守るって言って全然守れてねえじゃん。)
れん先輩「りくは裏生徒会ってクラスみんなに伝えたんだな?」
心愛「はいっ...」
鋭い目付きでりく先輩を睨むれん先輩
りく先輩「うっ...ごめんってれん...」
心愛「その、裏生徒会ってなんですか...?」
れん先輩「裏生徒会はまあこの部活みたいなもんかな。」
心愛、りょう「??」
れん先輩「俺の1個上の学年が酷くてな、ヤリ部って名乗って学校の女食いまくって、女達みんな警戒してた時があったんだ。」
心愛「酷い...そんなことが...」
れん先輩「見てられなくて俺がヤリ部に入って誰がいるのか確認して全員学校を辞めさせた。」
心愛、りょう「!?」
りょう「辞めさせたって告げ口でもしたのかよ」
りく先輩「れんの家めちゃくちゃ金持ちの坊っちゃまだから、この学校に支援金払ってるんだよ。だから先生も誰も逆らえない。逆らえるのは僕くらいかなっ笑」
心愛、りょう「...!?坊っちゃま!?支援金!?」
れん先輩「だまれりく」
りく先輩「怒んないでよ〜、いいじゃん同じ部活なんだしそんくらい知っててもっ」
れん先輩「好きにしろっ。まあ、それでヤリ部には俺しかいなくなった、その後生徒会長になって何か裏でやってるやつは何かと処罰してる。それでいつの間にか裏生徒会って存在があるって噂がたってた」
心愛「じゃあ噂だけで実際にはないって事ですか?」
れん先輩「そういう事。でもどっかのバカが皆の前で『ぼくぅ〜裏生徒会の部員だからぁ〜』とか言ったらしいから作らないといけなくなったんだよ」
りく先輩「全然似てない!バカにしすぎ!」
れん先輩「お前、今日は俺に反抗すんのやめといたがいいじゃない?」
りく先輩「れん怖すぎるってその目...」
れん先輩「だから決めた。やり部を裏生徒会にする。」
りく先輩、りょう、心愛「!?」
りく先輩「まって、それほんとに言ってんの?」
れん先輩「ほんと」
りょう「何するんだよ」
れん先輩「特にすることはない、なんか裏でイジメなりテストの時の不正なり見つけたら教えてくれるだけでいい」
りょう「なんだよそれ、ヤリ部ってのは結局ないってことか?」
れん先輩「あーそれ、俺の1個上のあいつらが勝手に名乗ってただけだからそのまま使ってただけ。元々部活でもないしなんもしてねーよ笑」
りょう「はぁぁぁぁ!?」
心愛「え!?」
りく先輩「ヤリ部って名乗る気分どんなだろ〜ってなって、れんと話しててさ、からかっちゃった♪」
りょう「ふざけんなよ...じゃあ昨日心愛にしたことはなんなんだよ」
れん先輩「それはなんでもいいだろ、あんまり聞くな」
心愛「あ、あのよくついていけないんですけど...イジメてる人を見つけたらいいってことですかっ?」
れん先輩、りく先輩、りょう「.....」
りょう「お前ってさ...バカなの?」
ギュッ
りく先輩「もうほんと可愛い〜食べちゃいたい〜」
そう言って強く私に抱きついてくるりく先輩
りょう「ばかっ、やめろってそーゆーの」
りく先輩「なんで〜?好きなんだもん〜」
れん先輩「そこまでっ、とりあえず今日は最初に裏生徒会がやることを言う」
りく先輩、りょう、心愛「...」
れん先輩「りょう、りくは裏生徒会を明日からみんなの前で名乗れ」
心愛「え、えっと...私は...」
れん先輩「心愛は大人しく過ごすことがすること」
心愛「ええ、他には...」
れん先輩「りくとりょうは心愛にどうせひっつき回ってんだから何かあった時すぐに俺に言うこと」
りく先輩「...なるほどね、それで今日みたいな奴らを見つけるってことか。」
れん先輩「そういうこと」
りょう「それなら....やってやるよ...」
れん先輩「おぉ、心愛のことになると急に素直になんだなお前笑」
りょう「う、うるせぇ!」
心愛(れん先輩って昨日こんな感じだっけ?昨日より優しいし、皆の前では凄く堅い感じだったのに目の前にいるれん先輩は笑ってる...?)
れん先輩「ん?心愛どうした?そんなに俺のこと見て。俺に惚れちゃった?」
心愛「そ、そんなことっ...!」
れん先輩「そこまで否定されたら俺も傷つくわ〜」
心愛「ごめんなさい...いや、みんなの前ではすごい堅い人に見えたからこんなに笑ってるの不思議だなって思って...」
りく先輩「れんはね、スイッチがあるんだよっ」
心愛「スイッチ...?」
りく先輩「そうそう、昔から切り替えが凄くてね、今の切り替えは眼鏡と髪型!眼鏡をして髪を結んでいる時は生徒会長スイッチ。それがなくなると今みたいになるんだっ。」
れん先輩「そんなことねえよ」
りく先輩「ずっとそうじゃんか〜、それに狙った獲物は逃がさないからここちゃん気をつけといた方がいいよ〜」
心愛「え、獲物...!?」
れん先輩「あんまり変なこと言うなって。俺が恐がられるだろ。」
りょう「あのさ、ずっと気になってたんだけどよ、お前らどういう関係?」
りく先輩「幼なじみだよっ。保育園から何故かずーっとれんが付いてきてさ、気づいたら高校まで一緒いた♪」
れん先輩「ついてきたのはお前の方だろ!」
りょう「でも学年違うんだよな?」
りく先輩「あ、僕留年してるから本当は今頃3年っ。恥ずかしいからあんまり聞かないで〜っ。」
りょう「プハッ、お前バカなんだ!」
りく先輩「ば、ばかって!違う!大体お前も先輩に敬語使えないバカじゃんか!」
りょう「なんだと!?」
ガヤガヤ...
ソファに座っていたりく先輩が立って椅子に座っているりょう君の方に向かい、言い合いが始まった。
れん先輩「心愛。こっちおいで。」
心愛「ええ!?」
ソファで向かい合わせにいるれん先輩が話しかけてきた。
れん先輩「なに?俺の事怖い?」
心愛「そ、そんなこと...!」
れん先輩「じゃあ俺が行く」
そう言ってれん先輩が私の隣に座った。
りく先輩とりょう君はどこか楽しそうに言い合いして全く気付かない。
チュッ...
心愛「ヒャッ」
いきなり顔が近づいて来たかと思えば、私の顎と頭を抑えて耳を舐められた。そのまま辞めることなく私の耳をれん先輩の舌が
心愛(な、なにこれっ...力が抜けちゃう...)
クチュ...チュ.....
心愛「も、もう...やめ...」
りく先輩「あぁぁぁぁぁ!!!」
こっちに気付いて急いで近づいてくるりく先輩とりょう君。それにも関わらずやめないれん先輩。
心愛「んんんっ」
力が抜けしゃべることもままならなかった私は抵抗するできなかった。
りょう「おま、やめろ!」
りく先輩「ずるーいっ。僕のここちゃん〜」
そう言ってれん先輩を辞めさせるりょう君。
その隙にりく先輩が近づいてきて...
チュッ
心愛「!?」
耳に軽く触れるキスをしたりく先輩。
りく先輩「消毒っ♪」
りょう「おまえっ...!」
れん先輩「お前ら必死すぎ笑 まあ今日はこの辺で帰るか。外も暗くなってきたし。」
りく先輩「まぁ...そうだねっ。ここちゃん一緒帰ろ〜!」
心愛「え!えっと...」
(りょう君すごく怖い顔でこっちみてる...)
りょう「お前放課後一緒に部活行ったなら次は俺の番だろ!」
れん先輩「違う。俺の番。」
心愛、りょう「!?」
りく先輩「それなら納得っ。」
りょう「は!?さっきみたいなことするやつに任せれねえよ」
れん先輩「ほら、帰んぞ」
いきなり私の腕を掴み、私のバッグをもって足早に部室の外に連れていかれる。
ガチャッ
心愛「あ、あの...」
れん先輩「どうした?」
部室の中からはりょう君が何か言っていて、りく先輩がそれを止めている様子が聞こえる。
心愛「なんでれん先輩が...?」
れん先輩「お前のことが気になる」
心愛「!?」
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