ヴァンパイアの少年の戦い。

アビスの中でも一際小さい

ゴミ山が動いていた。


大きさは高さ50cm、横160cmの物体が

アビスの地面に吸い付くように

動いては止まって、動いては止まってを

繰り返していた。


ゴミ山をよく見てみると、

深紅の瞳が2つ見えた。


小さいゴミ山は人だった。


何故そんなことを

しているのかは分からない。


しかし、小さいゴミ山、いやヴァンパイアの

少年にとっては自らが被っているゴミは

命綱であった。


そしてヴァンパイアの少年はある一点を

見つめて止まった。


アビスにいる犯罪者集団のおっさん達が

本を読んでいたのである。


それも少年の大好きな軍法書を....


少年は軍師に憧れている。


それは少年の夢であり、希望であり、

可能性であった。



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少年にとって、犯罪者の持つ軍法書だろうが、関係ない。


アビスのようなこの世の地獄にそれがあるなら、それはリスクなど度外視にして欲しい。


だから、少年は躊躇わなかった。


アビスに来て半年、少年のプライドは

ズタズタに切り刻まれていた。


地を這ってでも手に入れる。

その為には殺すか、寝ている間か、

忘れて置いていくか、落とすか、

どれかである。


少年の知力は一般的には高い。

しかし、早熟な傲慢の大罪者にしては低い。


その為、アビス内では少年は

賢い部類に入り、犯罪者のおっさんを出し抜くなんて、簡単なことである。


それは、寝ている間の一択である。


あいつらは夜には必ず、酒と、

火をつけて蒸すことで酔いが回る何かを

使用して眠っている。


その状態で寝たら滅多なことでは起きない

というのはこの半年で知っている。


何故なら、少年は度々同じようなことをしているおっさん達から、寝ている間に食べ物を

盗んでいたからである。


その為、今回も楽勝であると少年は勘違いしていた。


その本が、犯罪者集団の参謀から借りた

大切な本である為、必ず一人は見張りがおり、浅い眠り、もしくは寝たフリをしているということを。


____________________


今回はアルスと、年齢の近いヴァンパイアの少年の話を書きました。


ちなみ時系列な話をすると、

アルスがチンピラを撃退し、仲間探しを始めた日の夜の出来事です。


今後、アルスとどのようにして関わるのか、

楽しみにしてください!



面白いと感じたら、いいね、コメント、

宜しくお願い致します。

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