*第41話 八犬士
ウルトラ遊撃隊は神出鬼没のゲリラ部隊だ。
先行調査隊の八犬士が標的を定め、
エルサーシアがゲートを開き、
転移と共に攻撃し速やかに撤収する。
ここはカーラン王国の山間にある農村。
どこもかしこも
一見のどかな風景だが正体は覚醒剤の原料畑だ。
坂道を下った所に大きな施設が建っている。
テロポンの精製工場だ。
ここを見つけたのは八犬士の一柱コブンゴ。
彼らは十二支精霊の十一番目、
八犬士達は潜入調査のエキスパートだ。
ウルトラ遊撃隊の活動を支える、
影の立役者達だ。
「ご苦労様ねコブンゴ、良い子ね。」
リコアリーゼが頭を撫でてあげる。
「
挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330667788081529
「じゃぁ私達は畑を焼き払って来るわね。」
「工場は二人に任せたよ。」
そう言ってリコアリーゼ達は空へと舞い上がる。
すでに三か所の製造拠点を破壊しているが、
シオンとリョーマンは見学していた。
初めての攻撃魔法の
緊張するぅ~~~
「ほら、練習の通りにやってみなさい。」
ルルナ教官と特訓した成果を見せる時だ。
「こ、こうだべが?」
人差し指をピンッと伸ばし親指を立て、
残りの指はグッと握る。
指鉄砲の形である。
「そうそう!両手で構えて!
さぁ!撃ちなさいっ!」
『私の思いを受け止めて!ズキュ~ン💗』
『俺のマグナムが火を吹くぜ!ドキュ~ン💗』
魔法弾には反動も発射音も無いが、
大気を切り裂く破裂音と、直後に着弾の衝撃音が響き渡る。
貫通力を重視した弾丸である。
「どんどん撃ちなさい!」
『
工場は穴だらけで、壁も柱もボロボロだ。
屋根の重みを支えきれずに、ガラガラと崩れ落ちる。
「こっちも終わったわよ。」
麻黄畑に
辺り一面が火の海と化している。
強烈な火災旋風が巻き起こる。
「さぁ!次へ行くわよ!」
これで四か所目の破壊が完了した。
残りは三か所だ。
*******
「カ!カヒは何所だ!」
カーラン王セトルは
半日だ!
半日でテロポンの製造拠点の全てが壊滅してしまった。
ついでと言わんばかりに鉱山の一つが爆撃されて崩れた。
とんでもない破壊力だ。
あからさまな警告だった。
もうパニックだ!
これ程なのか!
これが聖女の力か!
分かってはいたものの、これまでは対岸の火事であった。
先の大戦にも参加はしていない。
高みの見物を決め込んでいたのだ。
いざ我が身に降りかかってみると、
天変地異に
「ど、何所にも居りませぬ!」
「あ奴め!逃げおったか!」
朝方に大聖女から招待状が届いていた。
お茶会へのお誘いだ。
一国の王を呼びつけるなど無礼極まりない!
とその時は腹を立てたが、
今ではすぐにでも飛んで行きたい気分だ。
<カヒ・ゲライス閣下も是非ご一緒に>
要するにカヒを差し出して詫びろと言う事だ。
しかし、肝心のカヒが居ない。
屋敷はもぬけの殻だった。
「
「い、行くしかあるまい・・・」
面白半分で話に乗った事を後悔した。
どうすれば穏便に済ませられるだろうか?
聞いた話では大聖女は宝飾品には、まったく興味が無いそうだ。
「あくまで噂で御座いますが。」
「心当たりが有るなら申せ!」
「パンツを収集するのが趣味だと。」
「すぐに手配を致せ!特注で作らせよ!」
セトルの判断は大正解である。
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