第8話 冬の幻人

「冬の幻人」


あなたに会いたい

あなたにはもう会えない

冬の夜空ほどの澄んだ心に

もう一度だけ触れてみたい


あなたに伝えたい

あなたにはもう伝えられない

冬の夕暮れほどの切ない思いを

もう一度だけ聞いてもらいたい


幻のような人だった

幻のような人だった

わたしにとっては冬のひだまり

わたしにとっては冬のまほろば


あなたを思い出したい

けれどもう

あなたを思い出せない


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