その三、デラルト、誘うのこと

 以上5つだ! 頭の中に必ず叩き込んでおけ! 


 それから! コレも覚えておけ!

 どんなに女と仲が良くなっても事前許可なく船まで連れてくるなよ!

 現地住人でも許可申請を出さないと税関の外国船区画には入れない規定だ!

 たまに女にいい顔しようと船自慢する阿呆が出る!


 いいか!?

 シャルム-ズの女どもはガキの頃から帆船なんて飽きるほど見飽きてる! 喜んでいるように見えても、それは〝お世辞〟だ! 

 絶対にバカを晒すなよ! 覚えておけ!


 シメに俺個人として言わせてもらう事がある。


『お前さんたちは母国の名誉とメンツもしょっている』って事を忘れるな!


 バカをやれば国の名前に泥を塗る事になる! そうなればあとから来る連中に多大な迷惑がかかる。それが嫌なら今言った5つの決まり事は絶対に守れ!

 

 なにか質問はあるか? 無ければこれで終わりだ。

 それでは俺の部下が臨検を行ってる間に、診療所での検査を受けてくれ。それが終れる頃には臨検も終わる。そうすれば酒場で旨い酒がたらふく飲めるぞ!


 ん? なんだ?

 そこの若いの! なにか聞きたいのか?

 おう、女か?! おお! もちろんいるぞ!


 女は港町シャルムーズの華だからな。安いのから高いのまで色々だ!

 娼館住まいや辻に立ってたり酒場で客待ちしているのまで色々居る。街を歩いていればかならず見つかる。

 ただし! 我が国の女どもは礼儀と流儀に煩いからな、あまり無作法だと蹴られるぞ! それだけは注意しろ!


 シャルムーズはいいぞ!

 酒や女以外にもお気に召す見どころが必ずある!

 休暇が出たら宿に籠もらずに歩き回ってみろ!

 ようこそパルフィアへ! 楽しんでいってくれ!



 よぉ、船長!

 それに通訳のマシュウだったか。

 今、船員たちの照らし合わせと、船内の目視確認を行ってる。

 それが終われば、先程の書類は問題無かったから、

 入港臨検は問題無くおわるぜ。

 この分なら、優良船舶のお墨付きも出せるだろう。


 それより、

 あんたら仲が良いんだな。船に乗る前からの付き合いか?

 

 やっぱりな。親友同士っていうのは雰囲気でわかるんだ。

 それで、このあとはどうするんだ?

 行きつけの場所とかはあるのか?


 あぁ、船長はアテがあるが、そっちの通訳さんはアテが無いのか。

 ふうん、酒場で女探しね。

 ならいい店知ってるぞ!

 花街の南西の端のリースタルト横丁と言う街区に行くといい。

 そこにエベルダって女将が切り盛りしてる白かめも亭って酒場があるんだ。

 客待ち女がよく顔を出す店でな、女将の器量もあって繁盛してる。それを宛てに女たちが集まるってわけだ。

 

 手持ち無沙汰で座ってれば、酒を飲んでる間に女の方から声をかけてくるさ。

 それに、お前さん、女にモテそうな面相してるしな。

 

 良かったら店まで送るぜ? この船で今日の仕事は終わりだしな。

 そうか、それじゃ決まりだ!


 医師の検査を受けててくれ、終わる頃に迎えに行くよ。

 それじゃまた後でな!

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