素数の夢
こんな夢をみた。
私は1009という数が好きだ。なぜならば素数だからだ。世界中を飛び回り、なんどもその因数を探し歩いたが、1以外に見つからない。この数は(それ自身と1とを除く)他のどんな自然数によっても、割りきることができない。素敵で素的な数だ。私は人に言う。この数は素数だから素晴らしいのだ、と。人は言う。素数なら他にもあるではないか、と。
私はその通りだと思い、しばらく考えこむ。じっと、無言で1009を見つめる。なるほど、1000を越す最初の素数であるとはいえ、無限にある素数の一つという気もしてくる。なぜこの数に、これほど入れ込んでいたのだろうか。こうして、私はこの数に対して一度は情熱を失いかけたのだった。
そんなある日、私はこの数がa^3+b^3+c^3(a,b,cは自然数でかつ、どの二つも互いに等しくない)の形で二通りに表せる最小の数であることに気付く(a,b,c=1,2,10or4,6,9)。私は改めてこの数は素晴らしいと思うのだった。人にその事を伝える。人は、その式の形に何か意味があるのか、と言う。
意味は数と私との中に。
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