第十八話

「そう!君はこれから赤虎組と戦ってもいらいます!」

 偉炎は恐れた。その赤虎組という言葉に。

「赤虎組ってこの町でかなり危ないと言われている・・・」

「え?そうなの?別にあんな奴らたいしたことないって!だいじょうぶいぶい!」

(今朝に母さんと赤虎組について話したばかりなのに・・・)

 切風が調子に乗っているなか、偉炎は今朝に母さんとの会話の中で赤虎組についての内容を雑に聞いてしまったことを思い出していた。そして、こうして危ない道に入っている現実を見て、もっと耳を傾けていればよかったと後悔した。確かにこの年で親の話を真面目に聞くなんて恥ずかしいし、馬鹿らしいようにも見える。ただ、そんな話をしてくれる親がいることがどれほど有り難いことか心の底から思い知らされることになったのだ。

「・・・本当に大丈夫なのか?」

偉炎は恐る恐る切風に再び質問する。

「最近になってまた勢いが増してきたようだけどね。まっ、何とかなるって。君ならやってくれることを私は心の底から願っているわ。」

切風は切望した。偉炎は絶望した。

「でも、一応知っておいた方が良いと思うから、赤虎組について君に色々と教えておくよ。」

そういうと切風は赤虎組について語り始めた。要約するとこうだ。


赤虎組。大災害以降この町に生息し始めたヤクザみたいな連中のやつだ。ただここで注意しておきたいのが、ヤクザと言っても少し前にあった反社会的勢力とかそういうものではない。表面上はきちんと登記なども行い、国から認められた正規の企業だ。名前も赤虎薬品株式会社となっていて、偉炎の住む町の一角には本社まである。しかし、ここで問題になったのが裏の事情だ。なんでもこの国では禁止されている薬物を密売しているそうだ。他にも無許可でのライフルや拳銃などの武器も所持しており、人身売買にまで手を染めているという噂がある。その結果かどうかはわからないが町では行方不明や怪奇殺人などが多発していた。そのため、町の人や世間では昔のヤクザを連想するかのように彼らを「赤虎組」と呼称するようになっていた。もっとも、十年前に赤虎組で内部抗争があったらしく一時期その活動が穏便になっていたが最近になってまたこの町で勢力を伸ばしてきているようだ。


そんなやつらをこれから相手しようとしているわけだ。普通を心から愛する偉炎にとってこれがどういう事か想像したくもない。

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