第5話 バレエとスケート
二日目の練習はバレエレッスンと自主練習がメインになる。
朝食を食べるために食堂へやってくると、他のメンバーは動きがぎこちないような感じがしている。
「意外と、体きつくない? これから練習量が増えると思うけどね」
わたしは朝ご飯を食べていると隣にいるみたいで、
でも、同じなのは
「二人とも筋肉痛?」
「マジで……背中と肩がきついよ」
「
「はい。わたしは……あまり、そういうのはないです」
よく筋肉を使った運動をしているんだなと考えていると、東原
ちょうど多くの子がご飯を食べ終えて話し声が聞こえ始めた頃だったの。
「今日はお昼まではアイスダンスチームが曲かけをするので、シングルのチームは最初にバレエレッスンを行います」
「やった~。バレエのレッスン、楽しみにしていたんだ」
「それじゃあ。皆さん、着替えて四階のダンススタジオに集合してください」
「はい!」
食堂を出ると四階のダンススタジオにある更衣室で着替えて、レッスン着に着替えた。
わたしは少しや汗が流れてきていたけど、ひそかにバッグを確認するとちゃんとバレエレッスン用の服あったのでホッとした。
どきどき忘れることがあったりしたから……かなりドキドキしてしまう。
レッスン着はキャミソールにショートパンツとレギンスを履いて、バレエシューズを履いてレッスンを行うことになっている。
「あ、
「文花ちゃん。似合ってるよ」
文花ちゃんはスカートとレギンスという服装で、Tシャツを着ているのがわかっているんだ。
髪も丁寧に結ってからすぐに更衣室を出て、ダンススタジオに向かっていく。
わたしもパーカーを着てダンススタジオに向かうと男性と女性の講師が待っているのが見えた。
「おはようございます」
「はい。おはよう! それじゃあ。中高生と学生は奥の方で、小学生までの子は鏡の前に集合~」
女性の先生がみんなに声をかけて、小さな子は前の方に集まっていくのが見えた。
ざわざわとした声がしだいに収まっていき、加藤先生が紹介してくれるみたいだ。
「今日からバレエのレッスンをしてもらう、特別講師の葉山
「初めまして。主に男子の指導させてもらいます、佐々木悠です」
「はい。主に指導する葉山美音です。今日は簡単な基礎レッスンを行います。バーでのレッスンをします」
先生が最初にバーを使った練習をする前に柔軟体操などを行っていくの。
最初に開脚して前屈していくと、床に顔をくっつけて伸ばしていくのが見えた。
「
「確かにね……柔軟体操をしてるからね」
佑李くんは床にベターッと前屈をしていたのを見て、びっくりしてしまったの。
そのあとに簡単な姿勢のレッスンを行っていくことになるみたいだ。
すぐに音楽に乗って基本の姿勢で、リズムに乗っていくのは意外と楽しい。
そのときに文花ちゃんがとても楽しそうに練習をしているのが見えた。
休憩時間になると、水分補給をしてから再び柔軟をしてから文花ちゃんの方を向く。
向こうはボーッとしたまま休憩時間を過ごしていたけど、すぐにハッとして体育座りをして待っている。
「あ、伶菜ちゃん。どう?」
「うん。きつい……バレエのレッスンは必要だけど、筋肉痛のなかでやるのはきついよ」
伶菜ちゃんと友香ちゃん、紗耶香ちゃんと栞奈ちゃんは少し疲れたような表情をしている。
「でも、文花ちゃんはとてもすごいね。普通にバレエが上手いよ。バレエのプログラムを滑ったら、すごいと思う」
「そうなんだ……文花ちゃんってバレエが好きなんだね」
そのことを聞くと両手の動きが先生たちと同じような感じで、指先がピンとしているのがわかっているんだ。
文花ちゃんは本当にバレエの練習がとてもきれいだなとわかっているのが知っていた。
一つ一つ丁寧に楽しそうにレッスンをしているのが印象的だった。
「今日はここまでです。お疲れさまでした」
「ありがとうございました!」
バレエレッスンが終わってからすぐにお昼ご飯を食べることになった。
「文花ちゃん。バレエレッスン、とても良かったよ」
「清華ちゃん……ありがとうございます。バレエはスケートより早くに始めたんです。音楽に乗って踊るのは好きなので」
そう話す文花ちゃん笑顔がとても輝いているように見えたの。
「そうなんだ。プログラムの曲かけの練習、楽しみにしてるね」
「はい」
そのまま更衣室で練習着に着替えてから、食堂でご飯を食べてから各自時間帯ごとにスケートリンクへ向かった。
なんとなくだけど文花ちゃんが柔らかく接してくれるようになった気がする。
ウォーミングアップをしてから練習し始めた子が増えてきて、そのなかで文花ちゃんはジャンプの練習をしているみたいだ。
バッジテストは伶菜ちゃんと同じ五級で結城ひまわり杯のときは四級で試合に出ていたの。
最初にダブルアクセルを跳ぶ練習をしていて、跳ぶと三分の一くらい回転が足りていないように見えた。
六級に受かるためにはダブルアクセルを跳べなければならない……このダブルアクセルの壁はとても高い。
トップを目指して五歳頃から始めた選手でもあきらめたりする子もいる。
文花ちゃんはあと少しで跳べるみたいな感じで、すぐに立ち上がって跳び始める。
柔軟やストレッチをしていると加藤先生がこちらへ来るのが見えた。
「加藤先生」
「清華さん! 今日はフリップとルッツの練習をメインに、トリプルジャンプを完成させよう」
「はい」
わたしはリンクを周回するように滑っていくと、お手本のジャンプをイメージしていく。
バックスケーティングで滑っていくと、トリプルループから跳び始めたところだ。
「それじゃあ。曲かけをしていくよ」
「壁際によってね~」
文花ちゃんの順番に向けて練習をしていくみたいだけど、少し緊張したような表情でリンクの中央に立っている。
文花ちゃんの曲がかかると、バレエ音楽の『くるみ割り人形』だ。
彼女が演技している姿はとてもバレリーナのようで、ダブルサルコウ+ダブルトウループを降りた。
それを見ているともうトリプルジャンプも跳べそうなくらい余裕のあるジャンプ。
そのとき、文花ちゃんが真剣な表情でアクセルを跳んだの。
回転はきちんと二回転半していて、きれいに着氷していたの。
「文花ちゃん! ダブルアクセルを跳べてるじゃん」
伶菜ちゃんがとても喜んでいるのが見えたけど、文花ちゃんはそれに動じずに練習をしているの。
きれいにすべてのジャンプがノーミスで成功して、最後のスピンをして完璧な演技をしているのが見えて拍手が起こっていたの。
「文花ちゃん! ダブルアクセル、跳べてたよ」
「はい。今日はとてもきれいに跳べました……わたしはとてもうれしかったので」
目がとてもキラキラしていて、ダブルアクセルが跳べたことが嬉しそうだった。
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