【世界を滅ぼす】

「世界はこのまま滅ぼして」

 私はユミハの姿をした邪神に、そう告げた。

「いいけど、本当にいいの?」

「うん。どっちでもいいし、なら滅ぼしても一緒かなって」

 ユミハは私の言葉を聞くと、楽しそうにカラカラと笑った。

「OK、わかった。じゃあこの世界は無くしちゃうね」

「偽物だけど、最後に陸兎ユミハにほんとに会えて良かった」

「偽物だけどね」

 ふわりと、ユミハが私の方に飛んでくる。そのまま私の動かない体を抱きしめる。

「さようなら、キァルさん」


 私の10月は、こうして終わった。

 11月を迎えられなかった世界で、私の意識は満足に包まれたまま霧散した。


「理由がなければ世界を滅ぼそうとしてはいけないの?」

 眉國サヱコの問いかけが頭に浮かんだ。

 全然いいよ。なんかさ、世界とか、試しに滅ぼしてみるくらいでいいんだよ。


 次の世界で、また会いましょう。



 END

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