ーどこへも行けない
【XXX】
「まるで、世界の終わりみたいだ」
乗り込んだタクシーから窓の外を眺めると、図ったようなタイミングで激しい雷鳴が轟く。
一瞬の明るさの中、私は確かに見た。空一面を覆う、なにか巨大な生き物を。
それはギョロギョロとした目玉を持つ不定形のなにかで、まるで暗黒の雲のように広がり、人間たちを、東京を、世界を見つめている。
結局、私は彼女とは会えなかった。
私達は11月を迎えることができなかった。
やはり、この原因は彼女――眉國サヱコにあったのだろうか。
彼女はまだ渋谷のどこかにいたのだろうか。
今となってはわからない。
世界とともに、私の意識も滅んだ。
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