―失敗

 よし、[ おハロー!元気?だいぶ頭キてるね! ]と送ってみよう。

 カタカタとキーボードを叩き、さっそくDMを送信する。


 反応はあるだろうか。

 とりあえず、AI Dollsのガチャをもう一度回して、それから仕事に戻ろう。DMの返信や追加課金については、それらが片付いてから考えるんだ。


 私はベッドの上からスマートフォンを取り上げ、立ち上げたままのゲームアプリへ意識を集中させていった。



 …………………………


 ………………


 …………


 


「まるで、世界の終わりみたいだ」


 窓の外を眺めると、図ったようなタイミングで激しい雷鳴が轟く。

 一瞬の明るさの中、私は確かに見た。空一面を覆う、なにか巨大な生き物を。

 それはギョロギョロとした目玉を持つ不定形のなにかで、まるで暗黒の雲のように広がり、人間たちを、東京を、世界を見つめている。



 私達は11月を迎えることができなかった。

 やはり、この原因は彼女――眉國サヱコにあったのだろうか。

 彼女が持つ「偽書MacGuffin」に鍵があったのかもしれない。


 世界とともに、私の意識も滅んだ。



BAD END

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